ナ・イ・ト・ワ・-・ク Part1

ナ・イ・ト・ワ・-・ク Part1—–12 SAKURA∞SAKU second

---お前が好きだ

 

突然、真樹の口から出てきた言葉。

 

それがスルッと心に入り込んだと同時に
心臓が全力爆走し始めた。

 

(すす、好きだと?私を?真樹が?なな、なんで?)

 

好きってなんだったっけ
どんな時に遣う言葉だったっけ

お菓子が好き
パソコンが好き

好き、スキ、すき、SUKI ・・・

ダ、ダメだ。
パニック過ぎて答えが見えない。

 

しかしそんな私に構うことなく

 

空気を読めない心臓はガンガンドコドコ加速していく。

 

(げ、減速しろー!!!)

 

ていうか真面目に好きだなんて言われたら誰だってこうなるだろ?

大体こいつは私で遊んでるだけじゃなかったのか?
そんなオモチャな私に恋愛感情なんて生まれるはずがな・・・

 

 

『恋愛対象』として見られてるわけが無いって思い込んでること。
すっごい自分勝手。

 

 

なぜか、前にあっ子に言われた言葉を思い出した。

 

(--------。)

 

真樹の態度にからかいや嘘は感じない。
少なくとも・・・そう感じる。

それじゃなんだ。
本当に好きでいてくれてるって事か?

私を-----『女』として?

 

(・・・・・・。)

 

ちょっ、ちょっと待てやめろやめろ。

変なこと考えるな。
心臓が吹っ飛んじまう!

 

真「有希。」
「な、なんすかっっ!?」

 

声裏返った!
しかもでけぇ!

 

「-----!------!?」

 

腕の力が緩んだ。

助かった!と思ったら真樹の方を向かされた。
そしてすかさず大きな手に頬を包まれた。

 

「まま、真樹?」

 

ヤバイくらいヤバイ。
もはや日本語もヤバイ。

もう・・・マジで頭が沸いてしまう!!

 

(ぅ、わ・・・・)

 

頬を伝う手
こっちを見下ろす切れ長の目

そして、なんだこれ・・・

 

 

(色っぽい・・・)

 

 

薄暗い路地も
頼りなく灯る街灯も

少し冷たい空気も
軽く流れる風も

全部が真樹に味方しているような・・・

そんな気がする。

 

男にもこんな『色気』があるんだな。

 

上から見下ろすこいつに
うっかり目を奪われてしまう。

 

(俺様の・・・くせ、に・・・)

 

心の中の悪態も失速していく。

反らしたいのに・・・
真樹から目が離せない。

 

 

「お前の心も体も、俺のモノにしたい。」

 

 

まるで活字を読んでいるように
真樹の言葉がスルリと頭に入ってくる。

 

「有希。」
「------。」

 

 

「俺に、惚れろよ?」

 

 

もう一度

心臓がドカンと鳴った。

 

 

そして

真樹の唇が

軽く触れた。

 

 

もう、無理だ。

 

 

この心臓の暴走を

 

 

どう処理したらいいのか、分からない。