ナ・イ・ト・ワ・-・ク Part1

ナ・イ・ト・ワ・-・ク Part1—–10 SAKURA∞SAKU second

真『出たか?』
「あぁ、どこにいるんだ?」
真『-----目の前。』
「へ?」

 

なるほど見えないはずだ。

よくよく見ると女子3人に囲まれてる真樹。
こんな短時間で絡まれるってどれだけ目立つんだあのヤローは。

女子達を後にしてこっちに近づいてくる。

はい、女子のギラギラ視線が刺さりました。
致命傷っす。

 

真「お疲れ。」
「あーどうも。お前もな。」
真「は?」
「疲れただろ?」
真「別に。」
「そっか。」

 

こういう店は慣れっこってか?
私は非常に疲れたぞ。

 

「河野さんは?」
真「あいつは仕事。」
「え?今からか?」
真「あいつの仕事は時間が決まってねぇからな。」
「ふーん、大変だなぁ。」

 

遼のことも知ってるって言ってた。
宜しくやってくれるとありがたい。

 

「なぁ、歩いて帰っていいか?ちょっと風に当たりたいなーなんて。」
真「構わねぇよ。」

 

街からは少し離れているが歩いて帰れない距離じゃない。
秋に入ったのもあって夜の空気が冷たくて気持ちいい。

 

しばらく歩くと人通りが少なくなっていった。

 

少し前を歩く真樹。

コンパスの長さが違うからこいつの方が歩くの早いはずなんだが・・・
速度を合わせてくれているのが分かる。

 

(やっぱり優しいとこあんだな・・・)

 

いつもはイジワルな俺様なんだけど
実は優しい心を持った俺様なのだ。

 

(なーんでちゃんとした女作らねぇんだろ)

 

最近は女遊びも止めてるみたいだし、私で遊ぶ暇があるんなら彼女作ればいいのにな。

言い寄ってくる女子の中にも素敵な女の子はたくさんいるはずだ。
選り取り見取りじゃねぇか羨ましい。

今は特別な女はいらねぇってことか?

まぁ、余計なお世話か。

 

『いいなぁ』

 

ふと思い出した。

そういえば女子がさっき言ってたっけ。

でも・・・カッコいい男が知り合いならなんで『いいなぁ』なんだ?

確かにイケメンは目の保養にはなる。

あ、もしかして目の保養がしたいのか?
たまに呼び出して「充電!」とかに活用するんだろうか。

そういえば遼もしれっと人気あるんだよな。

余談だが遼に近づきたくてまずは私に近づく女子もたくさんいた。

基本的に女子は好きだがそういうのは苦手だ。
彼女らは遼の顔や肩書きしか見てねぇんじゃないかって思えてしまってさ。

まぁ、それがきっかけになるんならいいのかもしれねぇけどな。

 

(あれ ・・・ )

 

結局何がどうなればいいんだっけ?
・・・良く分かんなくなってきた。

 

真「なに百面相してんだよ。」
「うぉっ!」

 

急に真樹のアップが目の前に。
思わず後ろに飛んでしまった。

 

「な、なんだよ!びっくりするじゃねぇか!」
真「面白ぇ顔してたからな。」
「面白ぇって・・・・」
真「で、何考えてたんだ?」
「・・・別に。」

 

どうでもいいことだ。
話題にもならない。

 

真「なんだよ。」
「 え・・・ 」

 

わざわざ足を止めてこっちを見つめてくる。

 

(うーん・・・ )

 

なぜか知らんが最近こいつは心配性なのだ。

随分気に掛けていただいているようで ・・・
そんなに危なっかしいですかね私は。

 

「・・・どうでもいいことなんすけど 。」
真「いいから話せ。」
「え、とですね・・・さっき 店の女子からカッコいいお前と知り合いで『いいなぁ』って言われたんだ。」
真「・・・それで?」
「・・・そんなもんなのかなぁと思って。」
真「は?」

 

とりあえず話してみた。

ほらほら、そういう反応になるでしょうが。

 

「いやぁ・・・そのいいなぁっていう意味が分かんねぇっていうか。私はさ、お前としばらく一緒にいてイイ奴だって分かったけど、店の子達はそんなの知らなくて言うわけだろ?」
真「・・・・・・・。」
「あれちょっと待て。つまり彼女らはすっげぇ人を見る目があるってことか?」
真「・・・・・・・。」
「・・・うーん、何が言いたいのか分からなくなってきた。止め止め、無かったことにしよ。終わりー。」

 

自分でも良く分からないことを人に説明できるわけが無い。

面倒だからもういいや。
これにて終了。

 

「帰ろー。」

 

立ち止まる真樹を追い越し前を歩く。

 

「世の中謎だらけだなぁ。」

 

空に向かって呟いてみた。

お、星が綺麗だな。

なんとなく肌寒いしこの調子だと明日も晴れそうだ。
そういえばもうすぐ冬だな。

 

それにしても・・・
夜のバイトは初日から思い切り出鼻を挫かれてしまった。

正直もう行きたくない。

やはり今更蝶になるなんて無理だったんだ。
私なんかアリンコで十分っす。

 

真「有希。」
「ん?」

 

後から声がぶつかった。
蝶とアリンコを頭から追い出し振り向く。

 

いや

 

振り向こうとした。

 

「えっ?」

 

背中に

 

熱を感じた。