間違いない。

間違いない。—11 SAKURA∞SAKU first

千「なぁ遼。」
「んー?」

 

あれから色々準備して、現在千秋の家に向かって運転中。

 

千「有希、なんかあっただろ。」
「・・・・・・・・・。」
千「言えない・・・・ってわけか。」
「悪い。」

 

たった数日でもあんなに酒を浴びる姿を見たら気付くよな。

 

千「お前が・・・・ずっと傍にいたんだな。」
「え?」
千「新名って奴がいなかったから・・・・」
「・・・あぁ。」

 

新名、ね。

久々に聞いたな。

 

千「有希って・・・弱いとこ見せるの苦手だから。」
「分かってるよ。」
千「・・・・・迷惑な姉貴。」
「そりゃお互い様だろ。」
千「・・・・・そうか。」

 

性格も似てます。

 

千「で。あのスペシャルイケメンズはなんだ?有希を狙ってるように見えたんだが。」
「あ、あぁー。」

 

スペシャルイケメンズ。

そうです。
スペシャルなんです。

 

「狙ってるみたいだなぁ。」
千「あっそ。相変わらず鈍いようで。」

 

クスクス笑い出す。
笑い事じゃないんだよー。

 

千「遼もあいつが好きなんだろ?」
「え!お、俺ってそんなにばればれなのか?」
千「まぁ・・・・分かるな。」
「・・・そ。」

 

自分では良く分からないんですが・・・
第三者から見たら分かるようです。

 

千「罪な女だな。いや、男か?」
「お前が言うなよ。」
千「私は女だ。」
「・・・お前ら2人とも男前だぞ。」
千「そりゃどーも。」

 

マジで。

 

千「まぁとにかく。初めに家に入った時はイケメンハーレムにビビッたけど----」

 

え、ビビってたの?

うそ。このうそつきめ。

 

千「あいつら、いい奴らなんだな。ちょっとだけ安心した。」

 

 

そう・・・

 

 

「そうなんだよねー。悪い奴でも困るんだけどよ。これがまたいい奴ら過ぎても困る。」
千「そうだなぁ。」
「そうなんだよ。俺ってば、一体どうすればいいんだろ。」
千「遼はそのままでいいよ。」
「へ?」

 

そのまま・・・・
そのままでいいって。

どういう意味?

 

千「お前は十分いい奴だよ。変わらないといけないのは有希の方だろ。」

 

あぁそういう意味か。

------って。

え。

 

「千秋。お前もいい奴だな。俺、元気出てきた。」
千「有り難く思え。」
「---------アリガトウゴザイマス。」
千「心が篭ってねぇなー。」

 

反応が有希そっくり。

やはり姉妹。
血のつながりを深く感じる。

 

千「でも安心した。お前も含めてあいつを守ってくれそうな奴らがたくさんいて。」
「ん?」
千「一応心配なんだ。妹として。」
「お前のこともちゃんと守ってやるぞ。兄ちゃんとして。」
千「有希より強くなってから言え。」
「・・・ごもっとも。」

 

再びクスクス笑う。
今の一言は非常に痛い。

 

千「ま、一月に一回顔出せとか言われたし。また近いうちに遊びに行く。」
「あぁ来い来い。そんでもってスペシャルイケメンズの誰か一人でも引き取ってよ。そしたらライバル減るし。」
千「はぁ?私には無理。」
「なんで。」

 

千「なんでって・・・私が有希に勝てるわけないじゃん。」

 

こ--

 

 

(こいつぅ・・・!)

 

 

男前のくせに・・・
なぜか時々可愛らしいことを言うんだよな。

有希が聞いたら泣いて喜ぶと思う。

 

「そんなことないぞ。頑張ってくれよ。」
千「無理。大体あいつらの有希を見る目、好きかもーじゃなくて惚れてんじゃん。気付かない有希がおかしいんだよ。」
「そ、そうですよね。」
千「まぁ、イケメンズの中にも気付いてない奴らがいるみたいだけど・・・顔が良いのに鈍けりゃどうしようもねぇな。同情する。」

 

あはははと豪快に笑う。

だから笑い事じゃない。
ていうかお前が言うな。

 

千「まぁ、有希は元々そっちの方は鈍い奴だったからな。遼センパイも苦労しますね。」
「うわ・・・・やめてその呼び方。」
千「なんで。」
「なんか・・・・・なんか変な感じ。」
千「ふん。」

 

そういえばそんな風に呼ばれてたっけ・・・

 

なんて考えながら走らせていたらあっという間に千秋宅に着いた。

 

「マジでまた会いに来い。」
千「あぁ、来月行く。」
「毎週でもいいんだぞ。」
千「バーカ、そんなに暇じゃねぇよ。」

 

千秋はクスクス笑いながら車からおりた。

 

千「ありがとな、送ってくれて。」
「気にすんな。」
千「それと--」
「ん?」

 

千「あいつのこと。宜しく。」

 

「---------あぁ。任せろ。」

 

イラッとするくらいカッコよく口角を上げて
ヒラヒラ手を振りながら家に入っていった。

 

 

「大丈夫。ちゃんと守るから。」

 

 

そんな千秋に独り言をぶつけて

 

 

車を出した。

 

 

俺は今までもこれからも変わらずあいつを守って

 

 

そして、あいつが好き。

 

 

それだけ。

 

 

 

 

 

-------間違いない。(完)