間違いない。

間違いない。—10 SAKURA∞SAKU first

---遼---

 

「え!?帰るのか!?」
千「あぁ。もうすぐ仕事も始まるし。」
「だ、大丈夫なのか?」

 

次の日の朝。
朝食の席で帰宅宣言する千秋。

 

あんなことがあったばっかりだってのに・・・
本当に大丈夫なのか?

 

千「有希のおかげですっきりした。それにつらくなったらまた来る。」

 

桜館に来てから初めて笑ったかもしれない。
久々に千秋の笑顔を見た気がする。

ガキのころから人見知りで
笑わせようと必死になった昔が懐かしい。

 

要「いつでも来い。」
累「うん。いつでもおいでよ。」
純「待ってるからね。」
真・孝「・・・・・・・。」

 

さすがに俺様コンビはそんな優しい言葉をかけることは出来ないらしい。
2人とも箸を持った手をもてあそばせている。

 

有「一月に1回は顔見せろ。」
千「・・・面倒だ。」
有「煩ぇな。いいじゃねぇの。」
千「・・・分かった。」
有「ん。」

 

どこの世界にこんなに男勝りな姉妹がいるよ。

でかくなったら変わるのかと思いきや全然変わらない。
逆に磨きがかかってんじゃねぇの。

 

「有希は今日外出なんだろ?」
有「あぁ。」
「じゃあ千秋は俺が送ってく。」
有「マジで?頼むよ。」
千「サンキュ、遼。」
「いえいえ。」

 

お安い御用ですよ。

 

純「それじゃ千秋ちゃん、またね。」
千「あぁ。」
累「今度はミー子に会わせてね?」
千「楽しみにしてろ。」

 

朝食を済ませたヤロー共。
それぞれ千秋に声をかけて仕事へ向かった。

 

有「千秋。」

 

最後は有希。

珍しく朝から用があるらしい。
スーツを着て玄関で靴を履いてる。

 

千「なんだ。」

 

靴を履き、すっと立ち上がる有希。
そして振り返って---

 

 

千「ちょ・・・・・どうしたんだよ。」

 

 

千秋に抱きついた。

 

有「お前が泣くと・・・辛い。」
千「・・・・・。」
有「・・・傷つかないでくれよ。」
千「・・・あぁ、ごめんな?」

 

(なんだかなぁ・・・)

 

やっぱこいつらっていいな。
言葉数少ないけど。

 

千「お前も泣くなよな?」
有「・・・あぁ。」

 

お互いぽんぽんと背中を叩いて

 

有「じゃぁなー!遼、宜しく頼むぞ!」

 

有希は元気に出ていった。