間違いない。

間違いない。—8 SAKURA∞SAKU first

---純---

 

 

 

『------悪かった。』

 

 

 

小さな声が聞こえた。

 

 

『悪かった。本当に。』

 

 

床に目を向けたまま

繰り返し
繰り返し

男が『悪かった』と呟く。

 

 

どのくらい時間が経ったんだろう。
あまりの衝撃に時間の流れが分からなくなってた。

 

この男が謝り出したのにもビックリしたけど
やっぱり姫の行動と剣幕に圧倒されてしまった。

 

妹の千秋ちゃん。

心にも体にも傷を付けられてどれだけ苦しいか・・・
想像もつかない。

 

そして姫にとって大切な『家族』

そんな人が傷つけられてどれだけ心が痛いか・・・
想像もできない。

 

 

千「・・・・・・・・もう、いいよ。」

 

 

遼に支えられながら
千秋ちゃんが弱々しい声で答える。

 

『本当に悪かった。』
千「もういい。」

 

何がもういいのか・・・
いいことなんて何もないのに。

何かしてあげることも出来なくてやり切れない気持ちになる。

 

『ちゃんと償うから。』

千「・・・・・・・もう帰れ。」

『・・・償わせてくれ。』

 

その言葉が本物だって思いたい。

 

同じ男として

この男はやっちゃいけないことをしたんだ。

 

今となっては取り返しのつかないことだけど
千秋ちゃんの心も体も傷ついてしまったっていう事実は残ってる。

ちゃんと・・・・・償って欲しい。

 

 

『連絡するから待っててくれ』

そう言って男は帰って行った。

 

 

そして、千秋ちゃんは床に座り込んだ。

 

 

遼「大丈夫か・・・・千秋--」

有「千秋。」

 

 

遼を遮るように姫が千秋ちゃんを呼ぶ。

そして座り込む彼女に近づいて--

 

 

 

パンっっ!!!

 

 

 

遼「有希!」

 

 

(な、なんで----?)

 

 

思わず目を見開いた。

だって---姫が千秋ちゃんの頬を叩いたから。

 

でもその後

 

姫は座り込む千秋ちゃんをぎゅっ、と抱きしめた。

 

 

 

有「あんなヤローに泣かされてんじゃねぇよ!!」

千「-------っごめ・・・・・」

 

 

 

(あぁ・・・・・)

 

 

 

姫。

 

 

 

姫って、やっぱりカッコいいよ。