ライブ・本番!

ライブ・本番!17 SAKURA∞SAKU second



有「ここなら・・・・誰も来ねぇな。」






会場から出て、曲がって、曲がって・・・

やばい。
絶対戻れなくなる自信がある。

自慢じゃないけど俺もまじめに方向音痴です。



街頭の灯りが頼りない。

結構飲んだからな・・・

情けないことに息が少し上がった。






「なに?秘密の密会か?」






ちょっと休憩させて。

壁に背中を預けて有希と向かい合う。






有「ばぁか、そんなんじゃねぇよ。」






ニコッと笑いながら見上げてくる。

やめて。
そんな可愛い顔向けないで。






有「なぁ、遼。」

「ん?」






(え・・・)






数秒前の表情とは一変。

真っすぐで、真剣な目。

なに-----え、まさかの告白ムード?






有「さっきは・・・・ありがと。」

「・・・・さっき?」






さっきって・・・なに?

俺、なんかしたっけ。






有「・・・代わりに殴ってくれた。」

「・・・・・あぁ。」






新名のことね。






「別に、お前の代わりになって殴ったわけじゃねぇ。勝手にやっちゃったんだよ。」

有「それでも・・・・お前が殴ってくれたからすっきりできたんだと思う。」

「・・・・・そっか。」

有「うん。」






視線を逸らさず真っすぐ見上げてくる有希。

その目は灯りを映してきらきらししてて・・・

マジで・・・・・そんな目で見るなよ。






有「お前には本当に心配ばっかかけてるよな。本当---ゴメン。でも、これから頑張るから!」






俺、そんなに飲んだかな。

それともライブとさっきの興奮が冷めないのか?






「・・・・・・・。」






有希に対する衝動が溢れてきて






止まらなくなる。






「お前さぁ、マジで・・・・なんでそんなんなの。」

有「えっ-----ご、ごめん・・・」






あー、違う。

そうじゃなくて・・・・






「なんでそんなに可愛いのかって聞いてんの」

有「・・・・・・は、はぁ?」






それ。

その顔も・・・・・やば過ぎでしょ。






「今まで抑えに抑えまくってきたから・・・あんまり可愛い顔すると我慢できなくなるって。」

有「・・・え・・・ぇ・・・・?」






だから・・・

そういうのやられちゃうとさぁ・・・






「はぁ・・・・・」

有「りょ、遼・・・?」






顔、見れねぇ。

これ以上見てたら絶対止まらなくなる・・・・






「・・・お前が許しても俺は新名を許さない。」

有「え?」

「でも、お前が何もするなっていうなら何もしねぇ。約束する。」

有「・・・・・・。」





苦し紛れの話題変更。

落ち着け俺。
全神経を明後日へ飛ばしてしまえ。






「ていうかさ、そろそろ戻ろう。多分みんな心配してる。」

有「遼、こっち見ろ。」

「---へ?」






有「こっち向け。」

「い、嫌だ。」

有「遼!」

「ダダ、ダメだってば!」

有「・・・・・。」







ちょっと待って有希。
お願いだから落ち着かせてくれ---





「--------っっ!!」

有「なんで、そんな顔してんだよ・・・」






有希の手が伸びてきて

ひんやりした指が、頬に触れた。






有「私が・・・・・そんな顔させてんのか?」






うっかり、目を合わせてしまったわけだけど---






(・・・・ちょ・・・・ちょっと・・・・・・)








女だ。









やっぱりこいつ・・・

"女"になってきてる。






「・・・・・・・・・・。」

有「遼・・・・・」






今にも泣き出しそうな、悩ましげな表情。

俺のこと心配してくれてんの?
俺がそんな表情させてんの?





お前の中は今、俺でいっぱいだって






そう思っていいわけ・・・?






(ダメ・・・・・・だって・・・・・・・・)







「・・・・・・・有希。」

有「------っ!」







抑えられない。

止まらねぇ---






有「----待・・・・っ!」







最後まで聞く余裕すらない。






何か言おうと開いた唇に引き寄せられるように

自分のそれを重ねた。






(--------っ!)






細い腰を強く引き寄せ

背中に回した手を伸ばし髪に指を絡ませる。

そして






甘い甘い唇に食らいつく。






有「・・・・っぁ・・・りょ、ぅ・・・・・」






息がつけず漏れる吐息。





そんな小さな声に耳からも煽られて





理性が弾けそうだ---






(気持ちいい・・・・・・・)






貪るように重ねた唇は溶けそうに甘くて





こいつとのキスは





狂いそうになるくらい気持ちいい。






「有希-----」






俺だけを見て欲しい。







俺だけの、ものに・・・







「----!!」







突然、有希の体から急に力が抜けた。






(やべ・・・・・)






ゆっくりと、唇を開放した。