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有「ここなら・・・・誰も来ねぇな。」
会場から出て、曲がって、曲がって・・・
やばい。
絶対戻れなくなる自信がある。
自慢じゃないけど俺もまじめに方向音痴です。
街頭の灯りが頼りない。
結構飲んだからな・・・
情けないことに息が少し上がった。
「なに?秘密の密会か?」
ちょっと休憩させて。
壁に背中を預けて有希と向かい合う。
有「ばぁか、そんなんじゃねぇよ。」
ニコッと笑いながら見上げてくる。
やめて。
そんな可愛い顔向けないで。
有「なぁ、遼。」
「ん?」
(え・・・)
数秒前の表情とは一変。
真っすぐで、真剣な目。
なに-----え、まさかの告白ムード?
有「さっきは・・・・ありがと。」
「・・・・さっき?」
さっきって・・・なに?
俺、なんかしたっけ。
有「・・・代わりに殴ってくれた。」
「・・・・・あぁ。」
新名のことね。
「別に、お前の代わりになって殴ったわけじゃねぇ。勝手にやっちゃったんだよ。」
有「それでも・・・・お前が殴ってくれたからすっきりできたんだと思う。」
「・・・・・そっか。」
有「うん。」
視線を逸らさず真っすぐ見上げてくる有希。
その目は灯りを映してきらきらししてて・・・
マジで・・・・・そんな目で見るなよ。
有「お前には本当に心配ばっかかけてるよな。本当---ゴメン。でも、これから頑張るから!」
俺、そんなに飲んだかな。
それともライブとさっきの興奮が冷めないのか?
「・・・・・・・。」
有希に対する衝動が溢れてきて
止まらなくなる。
「お前さぁ、マジで・・・・なんでそんなんなの。」
有「えっ-----ご、ごめん・・・」
あー、違う。
そうじゃなくて・・・・
「なんでそんなに可愛いのかって聞いてんの」
有「・・・・・・は、はぁ?」
それ。
その顔も・・・・・やば過ぎでしょ。
「今まで抑えに抑えまくってきたから・・・あんまり可愛い顔すると我慢できなくなるって。」
有「・・・え・・・ぇ・・・・?」
だから・・・
そういうのやられちゃうとさぁ・・・
「はぁ・・・・・」
有「りょ、遼・・・?」
顔、見れねぇ。
これ以上見てたら絶対止まらなくなる・・・・
「・・・お前が許しても俺は新名を許さない。」
有「え?」
「でも、お前が何もするなっていうなら何もしねぇ。約束する。」
有「・・・・・・。」
苦し紛れの話題変更。
落ち着け俺。
全神経を明後日へ飛ばしてしまえ。
「ていうかさ、そろそろ戻ろう。多分みんな心配してる。」
有「遼、こっち見ろ。」
「---へ?」
有「こっち向け。」
「い、嫌だ。」
有「遼!」
「ダダ、ダメだってば!」
有「・・・・・。」
ちょっと待って有希。
お願いだから落ち着かせてくれ---
「--------っっ!!」
有「なんで、そんな顔してんだよ・・・」
有希の手が伸びてきて
ひんやりした指が、頬に触れた。
有「私が・・・・・そんな顔させてんのか?」
うっかり、目を合わせてしまったわけだけど---
(・・・・ちょ・・・・ちょっと・・・・・・)
女だ。
やっぱりこいつ・・・
"女"になってきてる。
「・・・・・・・・・・。」
有「遼・・・・・」
今にも泣き出しそうな、悩ましげな表情。
俺のこと心配してくれてんの?
俺がそんな表情させてんの?
お前の中は今、俺でいっぱいだって
そう思っていいわけ・・・?
(ダメ・・・・・・だって・・・・・・・・)
「・・・・・・・有希。」
有「------っ!」
抑えられない。
止まらねぇ---
有「----待・・・・っ!」
最後まで聞く余裕すらない。
何か言おうと開いた唇に引き寄せられるように
自分のそれを重ねた。
(--------っ!)
細い腰を強く引き寄せ
背中に回した手を伸ばし髪に指を絡ませる。
そして
甘い甘い唇に食らいつく。
有「・・・・っぁ・・・りょ、ぅ・・・・・」
息がつけず漏れる吐息。
そんな小さな声に耳からも煽られて
理性が弾けそうだ---
(気持ちいい・・・・・・・)
貪るように重ねた唇は溶けそうに甘くて
こいつとのキスは
狂いそうになるくらい気持ちいい。
「有希-----」
俺だけを見て欲しい。
俺だけの、ものに・・・
「----!!」
突然、有希の体から急に力が抜けた。
(やべ・・・・・)
ゆっくりと、唇を開放した。
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