ライブ・本番!

ライブ・本番! 11 SAKURA∞SAKU second

-----真樹-----




有「あ・・・・・あれれ・・・」

要「お、おい---」






変な声と共にへなへなと座り込む有希。






要「大丈夫か?」

有「な、情けねぇ・・・力が抜けちまったみたいだ。」

要「すっげぇ力入ってたもんな、お前。」

有「い、言うなよ。」






どうやら脱力してしまったらしい有希。

ため息と一緒に座り込んだ要にポンポンと肩を叩かれている。






孝「バカだなお前。殴れるモンならそこら中にあっただろ。」

遼「頭ん中真っ白になっちまって。・・・・・ちょ、孝様、その発言超怖いっす。」

孝「あ?」

遼「・・・いえなんでもないっす。」





遼は孝に拳を診られてる。

全く・・・普段はボーっとしてるくせに有希が絡むと獣になるんだなこいつも。






有「うわ・・・・・なんだ、これ・・・」






目を向けると、有希が自分の手を目の前にかざしている。





「どうした?」





近づくと---

その手は小さく震えていた。






有「なんだこりゃ・・・勝手に震えやがる・・・」






不思議な顔で自分の手を見つめている有希。

見るところパニックに陥っているようには見えない。

だがまぁ・・・アレだな。

体は素直に反応してるってことだろうな。






「怯えなくていい。」

有「----っ!」






震える小さな手を取って、自分へと引き寄せた。






有「・・・うん、サンキュ。」






("元彼"、ねぇ・・・)





正直、かなり動揺した。


-----もう一度・・・

新名そうが言った時、焦りが体中を占めた。

今でも有希が新名のことを想っていたら?

やり直したいと望んでいたら?





それでも-----絶対行かせない。





そんな独占欲に駆られた。





そして怯えて固まる有希を見た時





新名に対して抑えがたい怒りを感じた。





(ヤベェな・・・)






分かってたことだが・・・

やはり俺は、有希に惚れてる。

こいつのことになると簡単に感情を揺さぶられちまう。





有「ご、ごめんな・・・大丈夫だと思ってたんだが勝手に震えやがる・・・」

「もっと頼れ。お前一人で抱え込む必要はねぇんだ。」

要「そうだぞ。」

有「!!」






再び有希の肩を叩く要。

こいつも有希に対しては気持ち悪いくらい優しい表情を向けるよな。






有「・・・・・・・・・・泣く。」

「あ?」

有「な、泣きそうだ・・・」

「な、なに?」

要「えっ!?」






なんだどうした何があった?






孝「てめぇら・・・泣かしてんじゃねぇだろうなぁ。」

「「---------。」」






有希の目にはみるみる涙が溜まってくる。

可愛い、と思うぞその表情。

だが待て泣くな。

お前が泣くとどうしたらいいか分からない。






有「ぅ・・・・ぅぅー。」

要「あー!有希ー!」






眉間に力を込め天井を睨み、なんとか涙を落とさず耐え切った有希。

良くやった。

お前のそれは凶器だ。

致命傷を受ける自信がある。






「・・・どうした?」






不意に手を握り返してきた有希。






そして一度深く深呼吸して






ゆっくりと顔を上げた。