ライブ・本番!

ライブ・本番! 09 SAKURA∞SAKU second






ビックリした。





マジで・・・・びっくりした。





突然現れた薫。





突然でもなんでも、二度と会うことは無いと思ってた。

まさかあいつが進んで会いに来るなんて思ってもみなかった。







正直、二度と会いたくなかった。







あいつを好きだったことは事実。






だけどその延長線上にある思い出も

そしてあのことも







---思い出したくない。







要「新名君、そういうことだから。有希を守るのは俺らがやるんで。」

孝「同情装ってるお前に入る隙はねぇ。指くわえて身を引け。」

真「今更過去の男に譲るわけねぇだろ。愚かだった自分を後悔するんだな。」






要、孝、真樹の言葉にも

代わりに殴ってくれた遼にも





マジで感謝してる。





私一人だったら---

一体どうなってただろう






遼「とにかく新名・・・・美咲のこと教えろよ。」






(--------!)





新「・・・あれから連絡取ってないから詳しくは知らない。」

遼「・・・・・・・・・。」

新「でも・・・最近この街に戻ってきたって、そう聞いてる。」

遼「へぇ、そうか・・・」

新「俺が言うのもなんだけど・・・気を付けて--」

「も、もういいだろ!!」






遼に任せるって

確かに言ったのは私だけど





(聞きたくない-----!!)





これ以上はもう・・・嫌だ!






要「遼・・・」

遼「・・・あぁ。」






ごめん要・・・

迷惑掛けっぱなしだ。






新「・・・じゃぁな、有希。・・・・・本当に悪かった。」

「もう・・・・・いいから。」






要に埋もれたままなんとか言葉を返す。

まともに薫の顔を見れない。





確かに薫のことは好きだった。

別れたのも望んだことじゃなかった。

でも未練は無い。

あいつに再会して、改めてそう思った。



そして恨んでもない。

さっき言った言葉も心からの言葉だ。

嘘は無い。






ただ---






ただもう、会いたくない。






薫はそれ以上何も言わず部屋から出て行った。

ドアの外で拓海の緊張気味の声が聞こえたけど、その声も徐々に遠ざかって行った。






部屋の中に、静寂が訪れた。







要「・・・大丈夫か?」

「・・・あぁ、ごめん、もう大丈夫だ。」






ゆっくり、要から離れた。

ずっと目を閉じていたからか視界がチカチカする。






「皆、ありがとな。それと・・・迷惑かけてゴメン。遼は-----手、大丈夫か?」






視線を下げると傷ついた拳。

アーティストのくせに素手で殴りやがって・・・






遼「・・・なんで許したんだよ。」

「え?」

遼「お前・・・あんなに苦しんだじゃねぇか!!」

「・・・・・・。」






怒りの籠った叫び。

なんだか、泣いてるようにも聞こえる。