ライブ・本番!

ライブ・本番! 08 SAKURA∞SAKU second

---要---





有「・・・・・・元彼だ。」

「「「---------。」」」








まぁ-----

普通にビックリした。





まさか有希の元彼に会うことがあるなんて思ってもみなかったし

ただでさえ有希は男の臭いがしないから『元彼』って言葉がすっげぇリアル。

正直いい気分はしない。

そして---






有希が震えているという現実に

言いようのない苛立ちを感じる。






遼「言えよ!美咲はどこにいる!?」

新「・・・・・・。」

遼「新名っ!!」






有希の発言に一瞬大人しくなった遼が再び復活。

だが-----俺達にはまだ話が見えない。






真「遼、落ち着いて説明---」

有「久しぶりだな--------薫。」






震える手で俺を強く握りしめる有希。

それとは裏腹に、落ち着いた声色で新名に声を掛けた。






(おいおい大丈夫か----?)






震えが半端じゃない。






新「有希・・・」

有「・・・・なんか用でもあったのか?」






震えながら新名に真っすぐ視線を向ける有希。

強がってる様子が痛々しい・・・

出来れば目を塞いで抱き寄せてしまいたい。






新「・・・ずっと---あの時のこと謝りたくて・・・お前のこと探してた。」

有「-----。」






有希の体が、ビクッと硬直した。






遼「----謝りたいだと?謝って済むとでも思ってんのか!?」

新「それは---」

遼「時間が経てば許されると思ったのかよ!お前----どれだけ有希が傷ついたと思ってんだ!!」

新「--------。」






遼の言葉に表情を歪める新名。

そして再び、俺の隣にいる有希を見据えた。






有「--------。」

新「--------。」






正に静かな睨み合い。

お互い視線に押されながらも視線を返す。






有「お前は・・・私がお前を恨んでると思ってるのか?」

新「・・・・・・あぁ。」

有「そうか。それなら安心しろ。私はお前を恨んだりしてない。」

新「・・・・・・・・・・・・。」

遼「-----っ有希!!」






(そうか・・・)






新名・・・

お前は有希に恨まれるようなことをしたんだな。






有「恨んでなんかない。お前のことなんてなんとも思ってねぇよ。」

新「-----っそれなら!」

有「・・・?」

新「それなら今度こそ-----俺にお前を守らせてくれないか!?」

有「・・・・・・・・・・・・。」






・・・・・・・は?






新「一生かけてお前に償いたい!今度こそ守るから!もう一度俺と--」

有「それは出来ない。」







即答だった。








一瞬、ドキッとした。









昔、何かあったのは予想してた。

内容も、ある程度予想してる。







その予想の一つが『過去の男への未練』







その男がこいつだったら・・・?








そう思った。









有「お前のことは恨んでない。でもお前を好きになることは・・・・・二度とない。」










謎の多すぎる返事。

だが新名への拒絶は明確だった。





俺にとっては救いの言葉。





もちろん、この部屋にいるヤロー共にとっても同じだ。






新「有希・・・」

有「私を探してたって言ったな。」

新「・・・あぁ。」

有「あれから何があったか知らねぇが・・・お前も色々悩んだんだろ。それも・・・今日で終わりにしよう。昔のことも私のことも忘れろ。」

新「っ---」

遼「有希・・・」






苦しそうに表情を強張らせる新名。

逆に空気が抜けた風船のように脱力する遼。

それに気付いて孝と真樹も遼から手を離した。





だが






冷静でいるようで、有希の手にはどんどん力が篭っていく。






有「私は・・・・・・やっと吹っ切れそうなんだ・・・」

新「・・・・・・・。」

有「色んな意味で・・・・私は今幸せだ。だからお前も解放されろよ。全部忘れて・・・幸せになれ。」

新「---っ!」





新名が目を見開く。






(なんだよ・・・)






やっぱり--------ワケ分かんねぇ。






新「俺と・・・・・俺と一緒になってくれる可能性はないんだな?」

有「無い。」

新「・・・・・・・・そうか。」

有「私には・・・・守ると言ってくれる・・・大切な奴らがいるから。」

新「え?」






(・・・・・・・・・・。)






倒れないように踏ん張る有希。






もう・・・もういいよな?






お前ももう、限界だろ?







「新名君、そういうことだから。有希を守るのは俺らがやるんで。」

孝「同情装ってるお前に入る隙はねぇ。指くわえて身を引け。」

真「今更過去の男に譲るわけねぇだろ。愚かだった自分を後悔するんだな。」






俺様コンビの容赦ない攻撃。

まぁ、気持ちは分からないでもない。






有「・・・薫、お前にもう一回会えて良かったよ。」

新「有希・・・」

有「でも、これが最後だ。」

新「・・・・・・・。」

有「後は・・・・・・遼に任せるよ・・・」






そう言って






有希は俺に身を任せてきた。






(・・・・・・・・・っ!)






遠くからはきっと分からない。






だが俺の胸に顔を埋めてきた有希の細い肩が

耐えるように小さく震えている。







とにかく







強く抱きしめた。