ライブ・本番!

ライブ・本番! 02 SAKURA∞SAKU second


—–純—–


『自分、”RYO”が結成した当初からのファンなんす!』

『俺もです!』

「当初からの?すごいね。毎回ライブに来てるの?」

『もちろんっす!小さなライブハウスでやってた頃から欠かさず!』

「へぇ!」

『こんなにファンも増えて・・・やっぱりRYOさんはすごい!』

『右に同じ!永遠の憧れっす!』

「そっかぁ、あの遼がねぇ。」

『『へ??』』

「いやいや、なんでもないよ!」





ライブ本番、5分前。

ドキドキが治まらなくてソワソワしてたら、ふと隣の男子二人組と目が合った。

二人の手には”RYO”と描かれたBIGタオル。
「遼のファンなの?」と声を掛けたら話に火が付いた。

出てくる出てくる遼にまつわる数々の伝説。

普段はふわりんぽわりんしてるのに・・・
遼ってば実はすごい奴だったんだね!






「それにしても・・・始まる前からすごい熱気だね!」

『毎回こんなかんじっす!』

『始まったらもっとすごいですよー!』






とにかくお客さんの数が半端じゃない。
360度見渡す限り人人人。

そしてその集団から生み出される熱気。

これはヤバい。
最早ヤバい以外で表現できない。






(やっぱりこっちに来て正解だったな----!)






遼がゆっくり座って見れる席を用意してくれてたんだけど、俺と累は近くで見たくてステージに近い場所を貰った。

ちなみに要と真樹、孝はここにはいない。

あいつらはぎゃーぎゃー騒ぐタイプじゃないからね。

それに奴らの真っ黒オーラはこの熱気さえも凍てつかせてしまう。
そんなの周りのファンにも迷惑だし俺も嫌だ。






累「純!俺ヤバいかもー!」

「累たん安心して—俺もヤバい!」

累「あー緊張するー!」

「お前が緊張してどうすんの!」

累「あっ!」

「!」






バチン!という音と共に照明が消えた。






『RYOーーー!!』
『SHOTAーーー!!』
『YUUKIーーー!!』
『KAEDEーーー!!』






ファン達から溢れ出すうねるような歓声。

そしてそのうねりを貫くように、暗闇の中から音が流れ出す。

瞬間、悲鳴にも似た歓声が上がる。






(うわぁ・・・!)






ライブの、始まりだ!






「やっほーみんなー。元気だったー?」






一曲目の後、遼による気の抜けた第一声。

そして遼の声に応えるように歓声が一際大きくなる。






(す、す—すごい・・・!)






なんでだろう。

今日はいつもの5倍、遼がカッコ良く見える。






遼「今日は後からお客さんも来てくれるんで、楽しみにしててくれよー。」






それにしても相変わらずのほほんマイペースな話し方。

客席は燃え上がるような熱気に包まれてるのに、遼から流れてくる空気はなぜかほんわり。

こういう雰囲気、ほんと姫にそっくりだな。






(あ、これってRYOの曲だったんだ!)






ライブが進む中で、知ってる曲が何曲もあった。

真樹も言ってたけどRYOが上昇グループって本当だったんだな。

なんだか急に遼が遠い存在になった感じ・・・
ステージ上の遼がすっごく眩しい。






累「遼って---、-----んだな!!」

「ごめーん!!全然聞こえないよー!!」

累「なにー!?ぜん---こえな----!」







累が昂った様子で何かを叫んでる。

・・・けど意味不明。



でも別にいいんだ。

今は累なんてどうだっていい。

とにかく-----遼ってカッコいい!!






遼「ではでは、ちょっと疲れたんで。そろそろスペシャルなゲストさんに交代しちゃおうかと思います。」






疲れたから交代なの?

お客さんは慣れてるのかクスクス笑ってる。

なるほど、いつもこんな感じなんだね。
こういうのが許されるところも遼らしい。


いやいやそんなことより---






(あぁぁ----とうとう姫の登場かぁ!)







どんな登場してくるんだろ。

曲と共に姿を現すの?
それともまずはトークから?

どちらにしてもドキドキする。
心臓持たないよ—–!









なーんて想像してたんだけど・・・









「どーもー!FORMでーす!」









出てきたのは、FORMだった。






累「あれ・・・有希じゃなかったのか?」

「俺も姫かと思ったんだけど・・・」






一瞬現実に戻った俺たち。

裏腹に、FORMの登場でお客さんの熱はどんどんヒートアップしていく。






累「・・・・・・・!!-----!!!」






もはや隣の累の声すら微かにも聞こえない。

あー、やっぱりFORMっていいなぁ。
改めてファンになっちゃったよ。


それにしても遼ってば・・・








順番、間違ったんじゃないの?








だってFORMっていったら人気絶頂の有名グループだよ?

普通に考えたら『 姫→FORM 』の順番で最後に盛り上がってフィナーレってもんでしょ。

だって人気度の差がありすぎる。

FORMの後に出るのってツラくない?
え、次はあなたなの?みたいな雰囲気になったりして。






累「有希、大丈夫かな。」

「・・・・心配だよ。」






歓声が引いた時を見計らって累と会話する。

姫ってば舞台裏で絶対怒ってるはず。

『順番間違ってんじゃねぇ!?』とか言って。






累「でも!FORMも堪能しなきゃな!!」

「そうだそうだ!」






姫も心配だけど・・・俺らFORMが好きなんで。

とりあえず思い切りSOULを感じます。






(姫!ちゃんと姫のこと考えてるからね!)






半分言い訳しながら周りの皆と一緒に熱に身を投じた。

あー、やっぱFORM最高!