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—–純—–
『自分、”RYO”が結成した当初からのファンなんす!』
『俺もです!』
「当初からの?すごいね。毎回ライブに来てるの?」
『もちろんっす!小さなライブハウスでやってた頃から欠かさず!』
「へぇ!」
『こんなにファンも増えて・・・やっぱりRYOさんはすごい!』
『右に同じ!永遠の憧れっす!』
「そっかぁ、あの遼がねぇ。」
『『へ??』』
「いやいや、なんでもないよ!」
ライブ本番、5分前。
ドキドキが治まらなくてソワソワしてたら、ふと隣の男子二人組と目が合った。
二人の手には”RYO”と描かれたBIGタオル。
「遼のファンなの?」と声を掛けたら話に火が付いた。
出てくる出てくる遼にまつわる数々の伝説。
普段はふわりんぽわりんしてるのに・・・
遼ってば実はすごい奴だったんだね!
「それにしても・・・始まる前からすごい熱気だね!」
『毎回こんなかんじっす!』
『始まったらもっとすごいですよー!』
とにかくお客さんの数が半端じゃない。
360度見渡す限り人人人。
そしてその集団から生み出される熱気。
これはヤバい。
最早ヤバい以外で表現できない。
(やっぱりこっちに来て正解だったな----!)
遼がゆっくり座って見れる席を用意してくれてたんだけど、俺と累は近くで見たくてステージに近い場所を貰った。
ちなみに要と真樹、孝はここにはいない。
あいつらはぎゃーぎゃー騒ぐタイプじゃないからね。
それに奴らの真っ黒オーラはこの熱気さえも凍てつかせてしまう。
そんなの周りのファンにも迷惑だし俺も嫌だ。
累「純!俺ヤバいかもー!」
「累たん安心して—俺もヤバい!」
累「あー緊張するー!」
「お前が緊張してどうすんの!」
累「あっ!」
「!」
バチン!という音と共に照明が消えた。
『RYOーーー!!』
『SHOTAーーー!!』
『YUUKIーーー!!』
『KAEDEーーー!!』
ファン達から溢れ出すうねるような歓声。
そしてそのうねりを貫くように、暗闇の中から音が流れ出す。
瞬間、悲鳴にも似た歓声が上がる。
(うわぁ・・・!)
ライブの、始まりだ!
「やっほーみんなー。元気だったー?」
一曲目の後、遼による気の抜けた第一声。
そして遼の声に応えるように歓声が一際大きくなる。
(す、す—すごい・・・!)
なんでだろう。
今日はいつもの5倍、遼がカッコ良く見える。
遼「今日は後からお客さんも来てくれるんで、楽しみにしててくれよー。」
それにしても相変わらずのほほんマイペースな話し方。
客席は燃え上がるような熱気に包まれてるのに、遼から流れてくる空気はなぜかほんわり。
こういう雰囲気、ほんと姫にそっくりだな。
(あ、これってRYOの曲だったんだ!)
ライブが進む中で、知ってる曲が何曲もあった。
真樹も言ってたけどRYOが上昇グループって本当だったんだな。
なんだか急に遼が遠い存在になった感じ・・・
ステージ上の遼がすっごく眩しい。
累「遼って---、-----んだな!!」
「ごめーん!!全然聞こえないよー!!」
累「なにー!?ぜん---こえな----!」
累が昂った様子で何かを叫んでる。
・・・けど意味不明。
でも別にいいんだ。
今は累なんてどうだっていい。
とにかく-----遼ってカッコいい!!
遼「ではでは、ちょっと疲れたんで。そろそろスペシャルなゲストさんに交代しちゃおうかと思います。」
疲れたから交代なの?
お客さんは慣れてるのかクスクス笑ってる。
なるほど、いつもこんな感じなんだね。
こういうのが許されるところも遼らしい。
いやいやそんなことより---
(あぁぁ----とうとう姫の登場かぁ!)
どんな登場してくるんだろ。
曲と共に姿を現すの?
それともまずはトークから?
どちらにしてもドキドキする。
心臓持たないよ—–!
なーんて想像してたんだけど・・・
「どーもー!FORMでーす!」
出てきたのは、FORMだった。
累「あれ・・・有希じゃなかったのか?」
「俺も姫かと思ったんだけど・・・」
一瞬現実に戻った俺たち。
裏腹に、FORMの登場でお客さんの熱はどんどんヒートアップしていく。
累「・・・・・・・!!-----!!!」
もはや隣の累の声すら微かにも聞こえない。
あー、やっぱりFORMっていいなぁ。
改めてファンになっちゃったよ。
それにしても遼ってば・・・
順番、間違ったんじゃないの?
だってFORMっていったら人気絶頂の有名グループだよ?
普通に考えたら『 姫→FORM 』の順番で最後に盛り上がってフィナーレってもんでしょ。
だって人気度の差がありすぎる。
FORMの後に出るのってツラくない?
え、次はあなたなの?みたいな雰囲気になったりして。
累「有希、大丈夫かな。」
「・・・・心配だよ。」
歓声が引いた時を見計らって累と会話する。
姫ってば舞台裏で絶対怒ってるはず。
『順番間違ってんじゃねぇ!?』とか言って。
累「でも!FORMも堪能しなきゃな!!」
「そうだそうだ!」
姫も心配だけど・・・俺らFORMが好きなんで。
とりあえず思い切りSOULを感じます。
(姫!ちゃんと姫のこと考えてるからね!)
半分言い訳しながら周りの皆と一緒に熱に身を投じた。
あー、やっぱFORM最高!
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