緊張したぁ

緊張したぁ 06 SAKURA∞SAKU second







「好きだ・・・・・有希・・・・」







優しく押し付けられた唇は酸欠になる前に離れていった。

そして耳元に寄せられたソレが

絞り出すように囁いた。






さっきも聞いた言葉。






でも今のはまるで

遼が流れ込んできたみたいで・・・






全身が、ゾクリと震えた。







「・・・・遼っ」

遼「・・・・すっげぇ・・・・好きだ。」






背中に回された腕に力が篭った。






遼「長かったなぁ・・・やっと言えたー。」

「長かったって・・・・お前・・・・」

遼「新名と付き合ってる頃から好きだったからな・・・・」

「え-------!!!!!?」






思わず遼を見上げる。

だって薫と付き合ってる時からって・・・






「嘘・・・だろ・・・・」

遼「ほんと。」






ちょっと・・・待て。

それが本当なら・・・どんだけ長い間・・・・・






遼「引くくらい長いだろ?まぁ、色々あったし・・・今も完璧解決してるわけじゃねぇけどさ。」

「・・・・・・。」

遼「でも、やっとスタートラインに立てたって思っていいよな?」

「・・・・・・。」





なんで

なんでなんだよ・・・

なんで・・・・なんで------?





「なんでここまで・・・・・なんで私なんか好きになったんだ!!私・・・・・・・お前に酷いことたくさん・・・」

遼「今はまだ、男を意識するのが怖いだろ?」

「・・・・・?」

遼「でも・・・・・俺は男だ。」

「!」

遼「意識してくれるだけで十分。今まではそれも許されなかったからさ。」

「・・・・・・」

遼「全く、我慢するの結構大変だったんだぞ。」

遼「え・・・」





そ、そうだったのか・・・

ごめん、全然気付かなかった。






遼「だから・・・あいつらには感謝してる。すっげー強敵ライバルだけど。」

「え?」






感謝って・・・

変態住人達に?






遼「分かんなくていいよ。これ以上あいつらに塩を送る必要はねぇもんな。」

「・・・意味分かんねぇ。」

遼「だから分かんなくていいって。」






クスクス笑い出す遼。
マジで意味が分かりません。






遼「とにかく、有希。」

「なんだ?」








遼「お前は、俺のモノにするからな。」

「-------!」









遼「好きだよ。有希。」











向けられた笑顔は見慣れたもの。

昔から変わらない居心地の良い笑顔だ。






だけど次の瞬間






額に、唇・・・・






「え・・・」






遼に対して警戒なんてしたことが無い。

されるがままだ。







「こ、こら-----」

「こらぁぁ!!遼!抜け駆けすんな!!」







突然、怒鳴り声が割り込んできた。







遼「あーもぉーー。もっとゆっくり準備してくれば良かったのに・・・累たん。」

累「調子に乗るなよ遼。俺も孝に負けないくらい力強いよ。やっちゃうよ?」

純「うわぁ、こわーい。でも遼も強そうだよね。」

遼「俺だって結構やるよー。ぎゃふんと言わせてやんぜー!」

累「言うか!」





こらこら・・・
くだらないことで喧嘩すんじゃねぇよ。





「止めなさいガキ共!ケンカなら私が相手してやる!!」

遼「へっ、お前なんか瞬殺だー。」

「んだと?よーし、言ったな?じゃあ勝負するか?お前が負けたら最新PC買ってくれよ!?」

遼「いいぞー!お前が負けたら2曲追加な!」

「どーんと来い!負ける気がしねぇ!!」

純「もー!いい加減にしなさい!!!」

「「・・・ごめんなさい。」」






・・・怒られた。








(・・・・・ぷっ・・・バカみてぇ。)








でも、こんなバカみたいな絡み合いも悪くない。









好きだと言ってもらえて

安心感まで与えてもらって

こいつらには感謝の気持ちでいっぱいだ。






きっと、少しだけ前進程度。






これからもマイペースに

適当に生きていくのには変わりない。








・・・待っていてくれなくても構わない。








こんな気持ちにさせてくれただけで

私は十分だ。











(とりあえず・・・・・・・・・)












ライブ・・・・練習しなきゃ。









ヤバイ。





















・・・・・緊張したぁ SAKURA∞SAKU second(完)