緊張したぁ

緊張したぁ 04 SAKURA∞SAKU second






「よし・・・もう大丈夫。落ち着きましたぁ。」






どうにかこうにか涙を引っ込めた。


やっぱ人前で泣くのはめちゃくちゃ恥ずかしいな。

そして泣き止んだ後の謎の気まずい空気がこれまた辛い---






遼「よし!それじゃ行くか!!」

「・・・・え、行く?」






行くって・・・

どこに。






遼「どこにって・・・練習だよ練習。」

「練習・・・?」

遼「そう、歌にダンスにその他もろもろの練習。」

「・・・・・・・・・・・・・・・鬼!!」

遼「なんとでも言え。なんせライブは来週だ。時間がねぇ」

「来週・・・・そっか。それはヤバイな。」





ライブの事すっかり忘れてた。

ほとんど眠ってないが・・・
練習しないとマジでやばい。




それに今日は何かしておきたい気分でもある。




何かと思い出すことがたくさんあるんで。

ピンからキリまで。





遼「お前らはどうする?」

要「俺は仕事残ってるから今日はパス。」

真「俺もだ。」

孝「俺は・・・・」

「お前は眠ってなさい。昨日寝てないんだからな。」

孝「・・・・・そうする。」

純「俺は行くー。」

累「俺もー。」

「え、来なくていい---」

純・累「絶対行く。」






もー・・・来なくていいってのに。

結構恥ずかしいんだぞ。





遼「よし。じゃぁ俺の車で行こっか。」





・・・ま、いっか。





純「じゃぁ準備してくるから。」

累「俺も色々取ってくる。」

遼「じゃあ近くまで車持って来るわ。」

純・累「うん。」

「あ、待てよ遼。私も行く。」





準備するもんもないし、部屋で一息ついたら寝ちまいそうだし。

遼と車を取りに行くことにした。





要「終わったら遼も帰って来いよ。」

遼「あぁ、メシの用意宜しくお願いします。」

孝「ふぁ・・・早く帰って来いよ。」

真「そうだ。酒が無いからいるなら買って来い。」

「マジ?オッケー、了解。」





(うーん・・・)





家族だ。
家族の会話だ。






「じゃ、行って来る。」






まるで昨日のことが嘘のように
いつも通りの時間が流れ出した。

アレは夢だったんじゃねぇか?

マジで考えてしまいそうになるから不思議だ。






(こいつらがそう思わせてくれてるんだ。)






靴を履きながら見送りに玄関まで来た3人をチラ見する。






そして







「ほら。」







さり気なく左手を差し出す遼。







「・・・・あ、あぁ。ありがと。」







自分よりずっと大きな遼の手。

その手を取ると、優しく握り返してくれた。



思い返せば、辛い時なんか特に遼は壊れ物を扱うように優しく接してくれた。



今もそうだ。

気遣ってくれてんのが痛いほど分かる。





孝「・・・・・なんか・・・・ムカつく。」

遼「ムカつけ。そして諦めろ。」

孝「・・・・・殺す。」

遼「スミマセンデシタ。」

真「お前が言うとシャレにならねぇ。」

要「あぁぁ。孝には気付いて欲しくなかったなぁ。」

遼「行ってきまーす。」

「・・・行って来る。」






ワイワイ騒ぎ始めたヤロー共を後に






遼と共に家を出た。