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「うー、朝か?」
ふと気付くと世界が明るくなっていた。
「う"-。」
これは完全なる朝だな。
だが目は覚めても頭がなかなか覚醒しない。
「・・・顔、洗ってこよ。」
仕方なくもそもそと布団から這い出る。
なんだか体がダルい。
(あれ、ここって・・・どこだっけ?)
なんだか部屋の様子がおかしい。
ここって・・・
私の家じゃない?
・・・あ、そっか。
昨日からこっちに住むんだったな。
昨日の夜は・・・
あぁそうだ。
あいつらと飲んで---
「えーと・・・」
最後の方はぼんやりとか思い出せない。
こんなの久しぶりだ。
結構楽しく飲んでたんだな私。
「だからぐっすり眠れたのかぁ。いい気分だふぁぁ!」
軽く着替えを済ませ、あくびしながら1階へ降りた。
そして顔を洗ってリビングへ。
「今何時だ・・・?」
そういえば時計も見てない--
「・・・よぉ。」
「へ?」
ふと、声が飛んできた。
キョロキョロ周りを見回すと
リビングのソファーに
杉浦真樹。
「・・・おはよう。今日は休みなのか?」
杉「あぁ。」
「ふーん。」
冷蔵庫から100%オレンジジュースを取る。
朝はやっぱり100%だろ。
「うーん、うまい!君もいるか?」
杉「いらねぇ。」
「そ。」
できるだけ他愛もない会話を選ぶ。
こいつは猛獣っぽいからな。
二人きりの時は当たり障りなく過ごそうと思う。
それに昨日あんなことがあったばかりだからな。
警戒警戒。
杉「おい。」
「へいっ!」
杉「・・・・なんだ今のは。」
「い、いや。寝起きなんで。なんでもないっす。」
急に話しかけんな。
思いっきり声が裏返っちまったよ。
「で?」
杉「・・・。」
「で、なんだ?」
杉「・・・。」
声を掛けたくせに一向に話し出さない杉浦君。
なんだなんだと奴の方へ向かう。
(・・・・・?)
何も言わない奴に対面してソファーに座る。
一応警戒は怠らず・・・
ま、ここまで離れてたら大丈夫だろ。
「あの、杉浦君?」
杉「累が昼には戻るから待ってろだと。」
え、累が?
「なんで?」
杉「・・・・引越しの手伝いだろうが。」
「あ、あぁそうか。昨日言ってたな、そういえば。で、累はどこに?」
杉「さぁ。学校じゃねぇか?」
そうか。
昨日のギャルとの一件で今日も手伝ってくれるって言ってたな。
律儀な奴だ。
「そっか。それで、杉浦君は?」
杉「何が。」
「手伝い。」
杉「は?なんで俺が。」
「休みなんだろ?」
杉「そうだが。」
「今日は荷物多くて大変なんだよなぁ。」
杉「知るか。」
やっぱダメかぁ。
今日はでっかいのを運びたかったんだけどな。
馬鹿力孝様に手伝ってもらおうと思ったんだが『仕事だ』と一蹴された。
「気が向かないか?」
杉「向かねぇな。」
くそぉやっぱダメか。
ノリの悪いヤツ。
だが・・・
人手が足りねぇのも事実。
(杉浦真樹・・・)
なんとかてめぇを
吊り上げてみせる。
「あーあ、そうっすかー。残念、今日はマジで大変なのに。」
杉「残念だったな。」
「--------。」
てめぇが言うなよ。
「孝様が手伝ってくれれば何の問題もなかったんだけどなー。あの馬鹿力め、こういう時に力を使わずどこで使うんだ。」
杉「孝?」
「ま、杉浦君も力に自信がないなら手伝ってくれなくて結構ですけどね。」
杉「・・・。」
---俺が孝に負けるわけねぇだろ
言え、食らいつけ。
そして手伝え!
杉「なんで--」
キターーー!
よーし!思い切り吊り上げてやるー!!!
杉「なんで孝が馬鹿力って知ってんだ。」
「え、そっち?」
杉「昨日は手伝ってねぇだろ。」
逆上したところ一気に釣り上げる!を狙ったんですけどね。
食いつき悪ぃなこいつ。
やっぱり少しは大人なんですね。
杉「なんでだって聞いてる。」
「え?まぁ、なんて言うか・・・」
杉「・・・。」
「昨日の夜、孝君をからかって怒らせちまったんだよ。そしたら首絞められて殺されかけて酸欠地獄でさ。」
杉「・・・。」
「暴れてもピクリともしないし。あんな細身のどこに力を隠してんだろうなあいつ。」
接吻のクダリは言わない方がいいような気がしたので伏せておく。
昨日の二の舞になるのはゴメンだ。
警戒警戒。
それにしても思い出したら酸素が足りなくなってきた。
あんのヤロー思い切り締め上げやがって。
覚えてろよ。
いつか必ずギャフンと言わせてやる。
「そんなこんなで奴に力があると判明したわけで---」
杉「それで?」
「は?」
途中で話を遮られた。
ていうか、それでって何。
杉「それだけじゃねぇだろう。」
(え・・・あ、あの・・・)
あ、相変わらず美しいっすねぇ。
あんたが一番!
いやいやそうじゃなくて。
なんすかその顔。
なんか黒い。
なんか笑顔が黒いっすよお兄さん・・・
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