軽ノリすんな・孝

軽ノリすんな・孝—1 SAKURA∞SAKU first




「いいお湯でしたー」






なぁんて独り言。


昼間にたっぷり働いたから今日のお風呂は格別だった。

なんだかんだ言ってあんなに重いもん運びまくったんだ。

そりゃ汗もかくわ。






(さーて・・・)






髪を拭きながらリビングに入る。

風呂も入ったし、ガッツリ飲みますか!






累「お、上がったか。こっちに来いよ。」

「ああ。」






累たんが待っててくれた。

こいつも風呂に入ったのか。

髪が少し濡れてる。


ちなみにこの家にはシャワールーム2つと大浴場まで備わっている。

規模のでかさにとことん意味が分からない。

ちなみにリビングにはもう一人。






「お疲れさん、五十嵐君。」

「・・・あぁ。」






ソファーにどっかりと腰を下ろし、なっがい足を優雅に組んでいる男。

黒い野獣、五十嵐孝。

今日も相変わらず不健康で不機嫌そうだ。






「五十嵐君も飲むか?」

孝「くれ。」

累「珍しい。」

「何が?」

累「孝は家であんまり飲まないもんな。」

「ふぅんそうなんだ。ほらよ、ビール。」

孝「あぁ、サンキュ。」






珍しかろうがそうでなかろうがそんなことはどうでもいい。

それぞれグラスを手にする。

時刻は22時。

さぁ、夜はこれからだ!






「んじゃ!何も思いつかないけど…何かにカンパーイ!」

累「なんだそれ。」

孝「元気な奴。」

「はいそこの2人。お姉さんをバカにする発言は控えてくださーい。」

累「誰がお姉さんなんだよ。」

孝「どう見てもガキじゃねぇか。」

「・・・ムカつくぞてめぇら。年上をもっと労われ。」






失礼な奴らめ。

どう見てもお前らの方がガキじゃねぇか。






孝「-----お前、飲むの速すぎ。」

「え?あぁ…今日は早く眠りたいんでね。明日も頑張らないといけないし。」

孝「?意味分かんねぇ。それなら飲まずに寝ろよ。」

「-----。」






まぁ、そうなんだろうけどね。

飲まずに・・・が出来るなら私だってそうしたい。






「なぜか飲まないと眠れないんだよ自分。特異体質なのかも!」

孝「そんな人間はいねぇ。」






んだよ、やけにずばっと言い切るんだな。






「そんなの分かんないだろ。世の中にはそんな人間を研究しているお医者さんとかいるかもしれないし。」

孝「聞いたことねぇな。」

「ま、お医者さんの世界だからな。五十嵐君が踏み込める世界じゃないよな。」

孝「俺は医者だが?」

「だーかーらー・・・え?」









・・・なんですと?









累「孝はT大付属病院の医者だぞ。」

「は・・・はぁぁぁ?」

孝「-----なんだその反応は。」

「い、いやはやお医者様であらせられましたかぁ!全然見えねぇ!」

孝「・・・・・。」

累「あははっ!」

孝「笑うな、累。」

累「ははっ、悪い悪い。」






(こ、こいつがお医者様・・・?)






お医者様って善良な人がなるもんじゃなかったっけ??

目の前のお医者様・・・

黒い、オーラ黒いよ。

正にブラック。






孝「全く・・・お前と話してると調子が狂う。どうにかしろ。」

「----どこの俺様の発言だよ。」

孝「孝様だ。」

「んだそりゃわけ分かんねぇ。いっぺん死んで出直してこい。」

孝「俺は死なねぇ。」

「俺様孝様お医者様ですもんねぇ。そりゃ死なねぇな。」

孝「・・・・・・。」

累「くっ・・・・あはははっ!」






累が笑い出した。

逆に五十嵐君からは睨まれる。






「孝様怖いっす。目で殺られます。」

孝「安心しろ。そんな死因は聞いたことがねぇ。」

「じゃぁ私が第一号ってことで。」






累が腹を抱えだした。

もう酔ったのか?

もしや笑い上戸?



それにしても五十嵐君が医者とはねぇ。

累に続きこいつも頭いいんだ。

すげぇな。



でももし病院に世話になることがあってこいつが担当医だったら?

・・・軽くこのブラックオーラで殺される自信がある。

病院って弱ってるから行くんだぞ。

弱ってる時にこの黒いオーラはねぇよな。

健康な時でも十分凶器だ。






孝「・・・・てめぇ、今失礼なこと考えてるだろうが。」

「あれ、なんで分かったんすか。もしやお医者様は心の中まで覗けるんすか。」






そんな怖い顔で睨まないでくれよお医者様。

寿命が縮まるじゃないっすか。









孝「-----このヤロ・・・」









五十嵐君が小さく呟いた。

あれ、もしや怒っちゃった?


だがこうなったら止まらないのが悪いくせ。

ここまで来たら止められない。

とことん調子に乗ってやる。






「んー?なんか言ったかぁ?」






聞こえねぇなーと言わんばかりに聞き返してや--








「ぐぇっ!!」









(え-------)







首が---

く、苦しい。







え、苦しい!?










(こ・・・・・こいつ!!)