「へぇ、ベッドとか運べたんだ。」
ドアを開けて小さい灯りをつける。
見渡すとすっかり部屋が出来上がっていた。
ま、女のかけらも感じさせない部屋だけど。
有「運べたっていうか・・・累と真樹が運んでくれた。」
要「ふーん。」
有「・・・・・・。」
あの真樹がねぇ…
帝王を動かすなんて、さすが変人有希ちゃん。
今日もなかなか面白い物が見れて楽しめたし
しばらくは退屈しなくて済みそうだな。
「そうだ有希ちゃん、水飲まなくて--」
大丈夫?
そう続けようとした、その時
トン、と胸に軽い衝撃。
「・・・・・・・・・・・・。」
下を見ると俺の胸に崩れ落ちる有希。
まぁ…眠いんだよな。
それは分かってる。
分かってるけど・・
さっきからちょっと…
煽り過ぎなんじゃないの?
「こらこら…」
軽く閉じられた目
ほんのり濡れた艶やかな唇
そして力の入ってない無防備な体。
(こんなの見せられたらお前・・・)
まぁ、勝手に煽られちゃったわけなんだけど
こんな風に上手い具合に女を出されるとさすがに俺も・・・ねぇ?
簡単に言うと
何かが少し----キレた。
有「あれ・・・・ごめん、眠ってた…ありがと要ちゃん、ここでいいよ。後はベッドにダイブするだけだから…」
なんとか目を開いて下ろしてくれと促す有希ちゃん。
どうやら一瞬落ちただけだったらしい。
「・・・・・・。」
ここが境界線だった。
『イイ奴』と『そういう奴』
どっちを選ぶかの境界線…
(あぁ、なるほど…)
---すぐばれる
今になって真樹の言葉が頭を過ぎる。
つまり有希が俺の本性に気付くってことじゃなくて
俺が我慢できなくなるって意味だったわけね。
真樹の奴…もっと詳しく欲しかった。
分かってたならこんな遠回しなことしなかったのにな。
有「-----要ちゃん?今、鍵閉めた?」
下ろしてくれとの言葉は無視。
そのまま部屋に入り…
鍵を閉めた。
「あぁ、閉めた。」
有「…なんで?」
「さぁ、なんでだろ。」
"なんで?"
そんなの決まってんじゃん。
誰にも邪魔されない為だろ。
(あーあ、さっきまでシナリオ考えてたのにねぇ。全部パーだよ。)
今なら多分、まだ間に合う。
でも
どうせ我慢できないなら今でもいいや。
心の中で自己完結。
そして有希の顔わざと見ないままベッドへ向かう。
(さてさて…)
どんな表情を浮かべるのか…
ベッドの上でゆっくり見させてもらおうじゃないですか。
有「-----ぅわっ!なっ・・・何す----」
少々乱暴にベッドに下ろした。
ベッドに散らばる乱れた髪
ほんのり紅い頬
そして酔いと眠気で虚ろな瞳
あぁヤバい…
めちゃくちゃ煽られる。
有「あっ・・・・・ん・・・!」
抵抗する体に腕を絡みつけ
艶めかしく濡れる唇を
躊躇なく奪った。
(あぁ、こりゃ・・・やばいわ。)
柔らな感触が気持ちいい。
体が勝手にもっと…と求めてしまう。
有「んぅっ・・・・ん---!」
酔ってるせいで力が出ないんだろう。
胸を押し返してくる力は笑えるほどに弱々しい。
そんな小さな抵抗を押さえつけて
深く、激しく舌を絡ませる。
有「ちょっ・・・要ちゃ・・・やめ・・」
(聞こえないね…)
あいつらも下にいることだし最後までヤるつもりはないけど
でも---もう少し堪能させろよ。
有「やめ----ろ----ぁ・・・ん…!」
(こらこらちょっと・・・)
そんな可愛い声出したらダメだって。
我慢出来なくなっちゃうでしょ。
「…ずいぶん可愛い声出すんだな。」
これ以上味わっていたら絶対止められない。
非常に…
非常に残念だが
仕方なく唇を離した。
有「かな・・・・・っ!?」
(・・・・・シルシつけとこ。)
綺麗な白い首筋に唇を寄せ
柔らかな肌にキツく吸い付いた。
(あらら…)
こんなことしちゃって…
俺もおかしくなったんじゃね?
"自分のシルシ"なんて頼まれてもつけたことなんてなかったのに。
もしやこいつ・・・男を狂わせる天才か?
それとも俺ら限定?
(あーあ…明日から俺もあいつらと同じ扱い受けるんだろうなぁ。)
ま、我慢が出来なかった俺がいけないんだけどね。
有「かな・・・・!」
首筋から漂う甘い香りが堪らない。
誘われるまま耳元に唇を寄せ、可愛らしいソレを甘噛する。
(もう少しだけ味見させろよ…)
こうやって近づけるのもこれが最後かもしれないしね。
今のうちに存分に堪能しとこ。
有「----っ!」
ピクッと跳ねる体。
あ、耳弱いんだ。
有「や・・・・やめ・・・!」
「カワイー。やっぱ有希ちゃんも女なんだな。」
感度良好。
また一つ情報ゲット。