孝「有希・・・ペース速すぎ。ゆっくり飲め。」
真「ほら、とりあえず水も飲んどけ。」
有「大丈夫だって。今日は早く酔えそうなんだ。そしたら私も皆も早く眠れるだろ?」
真「…そうか。」
孝「・・・・。」
(あれ・・・・・)
とりあえず夢の話も終わって飲み会再開、と思ったんだが
今度は真樹と孝…
特に孝の様子がおかしい。
(まさか孝…いやいや、ない、それはないわ。)
有り得ない推測に迷わず首を振る。
だって孝と真樹がマジになるのは有り得ない、はずだ。
はず…というか考えられない。
有「何なんだよ孝!いきなり大人しくなったら気持ち悪いだろうが!」
孝「------んだと・・・」
真「残念だったな。てめぇはお呼びでないんだと。さっさとあっち行け。」
孝「真樹・・・てめぇ・・・」
忙しい奴らだな。
今度は言い合いが始まった。
おまけにあからさまに孝を挑発し、有希の肩に手を回そうとする真樹。
なにそれ。
お前ら、マジライバル同士に見えるけど。
明らかに普段と違う俺様共を目の当たりに少々引き気味。
前からこいつらの好みが被りやすいのは知ってるけど…
有希は二人の好みから大分外れてるし
俺様コンビが本人の目の前で"取り合う"なんてリアルに有り得ない。
(とは言え…こんなの見せられたらねぇ…)
どうやらこいつらが有希ちゃんを狙ってるのは現実らしい。
しかも寄りによって仲良く二人揃ってだなんて。
ったく…初めは興味ないって顔してたくせにさぁ。
(なんか面倒臭くなってきた…)
何度も言うが最近どうもやる気がでない。
もうダメかもしれない。
おっさんに変貌する前兆かもしれない・・・
有「ったくてめぇは!油断も隙もねぇな!」
突然、勢い良く立ち上がる有希。
なんだ、何事だ。
真「おいコラ戻れ。」
有「嫌だ!」
(あはは、やっぱ面白ぇ。)
どうやら真樹に肩を抱かれるのが気に食わなかったらしい。
グラスを引っ掴みその場を離れていく。
さてさて、一体どこに行くんですかぁ・・・
有「要ちゃんが一番安全だ。てめぇら…そこ動くなよ!」
い・・・いらっしゃいませ。
「いやいや…参ったね。」
彼女が向かった先はまさかの俺だった。
普段ならしてやったり!なんて思うとこなんだろうけど
色々考えてたんですっかり不意を突かれてしまった。
有「要ちゃんは最後の砦なんだ。しっかり守ってくれよ!」
ほう・・・
どうやら俺のことを少しは信用しているようで。
チラッと視線を向けると不機嫌極まりない真樹と孝。
そりゃそうか。
ここまであからさまに拒否られたらねぇ。
真「最後の砦だぁ?有希、てめぇ頼る相手を間違ってるぞ。」
孝「そうだ。こっちに来い。そいつはただの野獣じゃない。超野獣だ、手に負えない。」
有「お前らが言うんじゃねぇよ。要ちゃんは絶対---私の味方だぁ!」
(よ、酔ってきちゃった?)
どっかーんとテンションを上昇させる有希ちゃん。
泣き上戸はないと思ったが典型的なハイテンション変身系か。
それにしても孝。
俺がなんだって??
「その通り!俺は有希ちゃんの味方だ!」
有「そうだろー?さすが要ちゃん!話が分かって嬉しいぞ!」
「「「・・・・・・。」」」
誰も助けてくれないので自分で援護した。
それにしてもなんだよその沈黙は。
一人くらい俺を助けてくれてもいいんじゃね?
ま、性質悪いのは認めるけど。
(ざまーみろー。)
俺様共に向かって思いっきりドヤ顔を送ってやった。
ますますふて腐れる奴ら。
いい気味だぁ。
有「ささ!どうぞどうぞ要さん!」
「いやいや、すみませんなー。」
累「・・・オヤジじゃん。」
余計な外野は放っておいて・・・
おっさんへの変貌はもう少し我慢するとしよう。
やっぱりこの女、なかなか面白い。
---あいつにはすぐばれるぞ
真樹の奴、なにがすぐばれるだ。
バレるどころか完璧信用してくれちゃってるじゃないの。
やっぱりこいつは
俺の獲物だ。
そんな俺に気付きもせず、有希は終始俺の隣から離れなかった。