軽ノリすんな・要

軽ノリすんな・要—1

--要--

 

「どーも、世話になります。」

 

新しくやってきた"管理人"。

その名も有希。

まぁ、随分若い女が来たもんだと思った。

 

(うん、なかなかイイかも…)

 

---率直な第一印象
---なんとなくの直感

 

そういうのって時々あるだろ?

ま、こういう色気ないなーって女が好みってのもあるんだけど。

 

(ふーん…)

 

他4人はどうだか知らないがあまり乗り気には見えない。

そりゃそっか。
あいつらのタイプと全然違うもんな。

 

ではでは

 

今回の担当は俺ってことで。

 

---暗黙の了解

 

そう思ってた。

 

(はは、変な奴・・・)

 

とにもかくにもまずは情報収集…

ってことで静かに有希観察開始。

するとこの新管理人…

初対面も壮絶なインパクトだったんだが、越してきて数日足らずでかなりの変人っぷりを大発揮している。

 

見た目は普通の女。

だが男みたいな喋り方に女らしからぬ行動。
おまけに男5人に囲まれて物怖じする様子もない。

 

それどころか…

まぁ、もしかしたら強がってるだけかもしれないけど

 

振り向かない女はいない我々住人の誰一人として

 

彼女の目に留まることはできなかった。

 

(面白ぇ女…)

 

個性的なヤツだからってのもあるけど、この短期間でかなりの情報が手に入ったと思う。

が、とりあえずまだ始めたばかりだし

みてるだけでも結構楽しいし
もうしばらく観察続けることにしますか。

 

それに、たまには長期戦もいいと思う。

最近何かとやる気が起こらないし
もしかしたら俺も徐々にオヤジ化してるのかも知れないし

今回は趣向を変えてのんびり攻めるのも有りだよな。

 

なーんて思ってたら不測の事態。

 

男達の様子が、おかしい。

 

(んー、んん…?)

 

純と累はともかく、孝と真樹の俺様達まで有希に懐いているように見える。

なんとも異様な光景だ。
軽く寒気を覚える。

逆に当の有希はというと至って普通に生活に溶け込んでいる。

累と純とは友達のように
ついでに俺様コンビを足蹴に・・・

あぁなんて恐ろしい。

 

そして何度もいうがこの女、やはり誰にも"男"を意識している様子がない。

まさかこいつ、自分を男だと思ってんじゃ…

 

(んんん…?)

 

そして気付けば累と真樹は完璧ロックオン状態。

孝に限っては明らかにいつもと様子が違う。

 

(ふーん・・・)

 

まだまともに話す機会はない。

だが男共の様子を見て興味が募る。

だって奴らがすぐすぐモノに出来ないってことは、マジでこいつらに興味が無いってことだろ?

面白ぇじゃん。
なかなかいないよそんな女。

 

---女には困っていない
---でもどうせなら愉しめる女がいい

 

こんな軽い気持ちでしか女を見れなくなっちゃって…

いつからこんな悲しい子になっちまったんだろうね俺は。

 

累「・・・遅い。」
純「え?あぁ、そういやそうだね。まさか孝の奴・・・」

 

そういや今日は有希の歓迎会。

ここに住みだして既に一ヶ月近く経ってるんだけど今更の歓迎会ってわけで。

なんで今更歓迎会なのかって?

それは多分…
管理人としてこんなに長く持つなんて誰も想像してなかったからだと思う。

もちろん俺も思ってなかった。

 

真「孝の奴、手ェ出しやがったらただじゃおかねぇ。」
純「え?もしかして真樹・・姫のこと好きになっちゃったの?」
真「好き?何言ってんだ。あいつは俺のオモチャだ。」

 

あーいやだいやだ。
病んでる、心が病んでるよあの人。

良かったー。
上には上がいるって実感できる。
俺はまだまだ大丈夫。

 

累「オモチャだと!?真樹!そんなつもりで有希に手ェ出すのはやめろよ!」
真「そんなの俺の勝手だろ。」
純「うわ!自粛するって約束は!?俺、ずっと我慢してたのに!」
真「知るか。」
累「真樹!絶対許さねぇからな!」
「はいはいそこまでー。止めなさい君達。」

 

ガキ共め。
騒がしいんだよ。

 

真「煩ェよ。この猫被りヤローが。」
「なにー?何か言ったか?」
真「とぼけんじゃねぇよ。あいつにはそんなのすぐばれるぞ。」
「今までばれたことないから大丈夫。」
真「・・・そういう意味じゃねぇ。」
「は?」
真「・・・・・・。」

 

何言っちゃってるの真樹ちゃん。

『いい人だと思ってたのに!』

期待を裏切ってそう言われるのが俺。

相手に心から信用されるまで本性は出さない。
それが俺のスタイル。

 

今まで誰一人として疑いの目を向けてきた女はいない。

 

そして裏切られた時、最高に綺麗な涙を流す

 

俺はそんな女が好きだ。

 

まぁつまり…

自分でも思う。

 

変態だな。