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「・・・はい。」
辰『あ、透ちゃん?仕事終わった?』
「終わった。」
辰『そう、お疲れ様。』
「どうも。」
辰『ところでさ、俺が迎えに行こうと思ってたんだけど仕事が押しちゃって。晋に行ってもらったから。』
----シン?
「誰だそれは。」
辰『この前バーに一緒に来てたんだけどね。ほら、葵くんが力説してただろ?透ちゃんも見たはずなんだけど。』
「覚えてない。」
辰『・・・だろうね。まぁでも大丈夫。あいつ目立つからすぐ分かるよ。』
「は?」
辰『5時に迎えに行ってって伝えたから多分もう着いてる。』
「え。」
辰『じゃぁ後で。』
「おい!ちょっと---」
ちょっと待てちょっと待て。
そんなワケの分からん説明で人を探せと!?
辰『あ、そうだ。』
「おいコラ、もうちょっと詳しく---」
辰『逃げんなよ。』
「・・・・・・・・・・。」
なぜかいきなり豹変する変態。
そして、電話が切れた。
「・・・・・・・・。」
香「誰~?」
「・・・・・変態。」
香「変態と話してたの!?」
「そうだ。」
香「へぇ!」
とりあえず外に出よう。
そしてシンって奴が見つからなかったらさっさと帰ろう。
出来れば見つからないことを祈る。
香「で、どうする?私は彼氏が迎えに来てるけど・・・待ち合わせ場所まで送っていこうか?」
「いや・・・迎えが来るらしいからいいよ。」
香「そっか!」
「・・・うん。」
来てなければいいのに。
「迎えって誰??私の知ってる人?」
無邪気に聞いてくる香織になんて答えたらいいか分からないまま一階へ向かう。
「もしかして彼氏できたの!?」
とんでもないことを言う香織の頭をガシッと掴んで出口に到着。
彼氏なんて可愛いモンじゃない。
今から会うのは心のネジが緩みまくってる変人達なんだよ。
もう・・・マジで憂鬱。
『ちょっと見た!?すっごいイケメン!』
『公園前にいた長身イケメンでしょ!?モデルじゃない!?』
『うちの会社の子を待ってるのかなぁ!いいなぁ、あんな彼氏・・・』
『えー!?誰の彼氏だろ!!』
出入り口に向かうにつれて聞こえてくる声。
どうやら外から帰ってきた女子達が騒いでいるようだ。
まぁ、嫌な予感しかしない。
そして嫌な予感は当たるってのが世の中の常識だ。
(すっごいイケメン。待ってる・・・)
いや、無い。
無い無い無い無い、絶対無い。
ていうかそれだけはやめてくれ。
香「えー!イケメンだって!見に行こうよ!」
「絶対嫌だ。」
香「もう!そんなこと言わないで付き合って!」
「えっ・・・・」
野次馬・香織に引っ張られて会社から出た。
香「あ!あの人じゃない?」
「・・・・・・・・・・。」
会社の向かい側にある公園。
その駐車場に停まってるピカピカの高級車。
そして車に背もたれて立っているスーツ姿の長身男子。
携帯片手に・・・どうやら電話中らしい。
まさか・・・あれが「シン」じゃないだろうな。
香「野次馬がすごいね!ていうか遠目で見てもカッコイイ!!」
きゃぁきゃぁ盛り上がる香織。
確かに・・・すごい。
会社側の道路にも女子による人だかりが出来ている。
香「あ、彼氏だ!」
同じ公園の駐車場。
一人の男がこっちに手を振っている。
どうやら香織の彼氏らしい。
香「透の迎えはまだ来てないの?」
「あー・・・・」
(迎え・・・ねぇ。)
まぁ、恐らく確実にアレだよな。
目立つからすぐ分かると聞いてはいたが・・・
これは目立ち過ぎだろ!!
「ま、まだ来てないみたいだ。電話してみるから、お前は彼氏のとこに行けよ。」
この野次馬に見られながらあいつの車に収容されるなんて真っ平ゴメンだ。
明日からの私の会社生活に関わる。
辰巳さんに電話してなんとかしてもらおう。
香「透の迎えが来るまで待ってるよ!彼氏のトコで待ってよう?紹介するから!」
「え!」
彼のトコ=あいつの近く?
同じ駐車場だし・・・
自然、そういうことになるよな。
それは------まずいぞ!
「いやいや!ま、また今度な!」
香「どうして?せっかくだから、ね?」
「ちょ、ちょっと待て!!」
こういう時の女子はとっても力が強い。
なんて感心してる場合じゃない。
小さいくせにとんでもパワーで腕を引っ張り、野次馬の中を掻い潜っていく。
ちょっと押さないでよぉ~!という女子の声に謝りながら、しばらくすると視界が開けた。
目の前には横断歩道。
そしてタイミング悪く信号が変わり、真っ直ぐ歩き出す香織。
もちろん私の手を引っ張りながら----
(でで電話・・・変態の番号!)
焦って携帯を取り出す。
とにかくシンとやらに連絡してもらおう。
こんな大勢の女子の注目を浴びるのは絶対嫌だ!
焦りとは裏腹にグイグイ手を引っ張って向かい側へ歩いていく香織。
一歩、また一歩、ヤツとの距離が縮まっていく。
(変態番号---発見!)
思い切り通話を押す。
とりあえず出ろ。
仕事なんかしてる場合じゃないぞ!
(あのヤロー・・・なんで出ないんだよ!!)
コールするのに電話に出ない。
まさか・・・・無視してんじゃないだろうな!
香「や、やだ・・・あの人本当にカッコいいよ!」
か、香織ちゃん。
お願いだからあんまり見るな。
気付かれたら困る----
(あれ・・・・・・?)
ふと、思った。
こいつって私のこと知らないんじゃないか?
今日初めて会うわけだし。
だって今から顔合わせだし・・・
(・・・・・・・・。)
そうだよ知ってるはずがないじゃないか!
ってことはあれだ。
私が話しかけない限り奴に気付かれることは無い。
そういうことかー!
(良かったー!)
全身が安心感で満たされていく。
そしてどっと疲れた。
とりあえず辰巳さんと話そう。
裏で落ち合うように伝えてもらいたい。
それにしても・・・出ない。
何をやってるんだあの変態は。
-----パチッ
(・・・・・・・え。)
横断歩道を渡り終えるというところで
「シン」と思われる人物と・・・目が合った。
ヤツは一瞬、ビックリしたような表情を浮かべた。
だがそれは一瞬。
次の瞬間、睨まれた。
そして思わず睨み返した。
香「ちょっと透!イケメンがこっち見てる!」
香織が興奮気味で服を引っ張ってくる。
こっち見てる!って当たり前だろ。
睨み合ってるんだからな。
ていうかなんで睨むんだ。
その前に早く電話に出ろ変態!
香「や、やだっ!こっちに来るよ透!!」
「-------!?」
(お、おいおい・・・・・)
携帯を耳に当て、やっぱり私を睨んだままこっちに向かってきやがった。
まずい。
これはまずいぞ!
(ダメ!止まれ!来るな!!)
必死でジェスチャーを送る。
だがヤツは止まらない。
鋭い目を更に鋭くして睨んでくる。
ヤバイ。
ヤバイヤバイヤバイ。
------逃げよう。
「香織ごめん忘れ物した!取ってくる!」
香「えっ!?透!」
「・・・透。」
「-----!!」
逃げようと足を動かそうとした時
香織とヤツから名を呼ばれた。
香「えっ・・・・え?---えぇっ!?」
香織・・・・パニック。
もちろん、私もパニック。
「遅ェよ。今何時だと思ってやがる。」
17時20分ですが・・・・
とは言えなかった。
とりあえず逃げようとするとヤツが目の前に立ちはだかる。
「聞いてんのか、透。」
「---------っ!!」
(名前を呼ぶなー!)
あくまで他人のフリを貫き通そうとジェスチャーを送る。
[公園の裏で落ち合おう!!]
気付け。
頼むから大人しく車に戻れ!ハウス!
「何やってんだお前・・・あぁ、ほらよ。」
「は・・・?」
「それ、辰巳にかけてんだろ。」
「え・・・」
「電話、辰巳だ。」
「・・・・・・・・・。」
ズイッと携帯を突き付けられる。
ディスプレイには[進藤辰巳]の文字。
(-----なるほど。)
お前と電話してたから・・・・
変態は出なかったんだな。
辰『もしもし透ちゃん?ちゃんと晋に会えたみたいだねー。良かった良かった。』
携帯を受け取り耳に当てると間の抜けた声が聞こえてきた。
「この------」
辰『え、なに?』
「このっ----役立たずがぁッ!!」
辰『え・・・えぇぇ!?』
「覚えてろよ!!」
辰『ちょ・・・透ちゃ----』
切った。
プチッと切ってやった。
「くそ・・・どいつもこいつも迷惑なヤローばっかりだ!」
晋「さっきから何言ってやがる。行くぞ。」
「あぁぁ----もう!!」
香「え・・・・えっ・・・どういうこと!?」
「聞くな!」
晋「早くしろ。」
「おい、引っ張るな!」
グイッと腕を引っ張られる。
放心する香織に軽く手を振り
野次馬の叫びを思い切り浴びて
ヤツの車に収容された。
もう
マジで勘弁してくれ。
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