秘密

秘密—11 SAKURA∞SAKU first

(遼が、歌・・・?)

 

普通に驚いた。

実は『RYO』というバンドも良く耳にする。
ファンも多い実力派の上昇株。
まぁ、安易なネーミングには触れないでおこう。

 

それにしても聞いたことがある。
RYOで飛び入りで歌う--

 

--- YUKI

 

それがまさかこの有希だと誰が思う?

それよりこいつが歌えるってのにも驚きだ。
どう想像しても上手いとは思えねぇ。
絶対適当に歌ってるに違いない。

 

有「まぁ、私はカラオケ気分で参加してただけなんだけどさ。真面目にやってる奴に失礼だったよな。こんなことになって・・・ばちがあたったのかもしれねぇ。」

 

やっぱり適当なんじゃねぇか。

 

(ただの飛び入りにスカウト・・・?)

 

少し興味をくすぐられたがやはり上手いとは思えない。
正直聞きたいとも思わない。

 

有「とりあえず・・・今日のことは遼に言わないでくれよ?」
「・・・・・・・・。」

 

---遼

 

まただ。

 

なぜか、感情に波が立つ。

 

長い付き合いで築いたものなのか、話を聞いているとこいつがいかに遼を大切に思っているかが良く分かる。

そういえばMIKAMIで抱きしめた時何の抵抗も見せなかった。
お互い協力という名目もあったが確かな違和感を感じた。

 

(・・・あいつの為だったからか?)

 

なぜだ。

 

無性に腹が立つ。

 

「なぁ・・・」
有「ん?」

 

お前が遼を「大切」に思ってるのは分かった。

だがそれだけか?
それとも・・・

 

「・・・お前、遼が好きなのか?」
有「あぁ、好きだぞ。」

 

相変わらず速いペースで酒を煽る有希。
そして相変わらず間抜けな顔で即答した。

 

ていうか違う。

俺が聞いてるのはソレじゃねぇ。

 

「遼に惚れてんのかって聞いてんだよ。」
有「惚れてる?バカか、あいつはそんなんじゃねぇよ。」

 

何言ってんだこいつとでも言いいたいのか。
訝しそうに眉を寄せやがった。

 

だが、はっきり聞きたい。

 

あいつを「男」として見てるのか。
それとも---

 

 

「惚れてんのか?」
有「・・・・・・・。」

 

 

眉間のシワが更に険しくなった。
そして探るように俺を見つめ、呆れたようにため息を一つ。

 

有「前にも言ったけど・・・好きとか惚れるとか、今はそういった感情と無縁なんだよ。遼のこともダチとして好きなだけだ。」
「・・・・・・。」

 

・・・はっきり言い切りやがったなこいつ。

 

 

だがその答えに俺の感情は

 

 

酷く、安堵した。

 

 

(おいおい、なんだこれは・・・)

 

他人の言葉に左右されるのは気分のいいもんじゃない。

 

「・・・お前にとって遼はなんだ。」
有「私にとっての遼?そうだなぁ・・・悪友、なのかな。」
「・・・・・・。」
有「長い付き合いだし、なんだかんだでずっと一緒にいるし・・・ここまで来るとやっぱ悪友だな。」
「・・・夢は?」
有「へ?」

「夢のことも知ってんのか?」

 

(相変わらず性格悪ぃな俺は・・・)

 

この質問は---ずるい。

 

遼は夢のことを知っている。

 

それを分かった上で、敢えてこいつに答えさせようとしてる。

 

有「・・・・知ってるよ。」

 

有希の顔に影が落ちた。

 

「俺には---」
有「ん?」

 

 

あー

やばい。

 

 

「俺には話せねぇの?」

 

 

・・・やばいかもしれねぇ。

 

 

こいつの返答は分かってる。
そして答えを聞いたら分かってしまう気がする。

 

 

有「・・・ごめん真樹。話すようなことじゃねぇし・・・知られたくないんだ。」

 

 

やばいんじゃねぇの、俺。

 

 

ずっと気になってたこのイライラ感。

 

これって・・・

 

 

 

嫉妬・・・?