秘密

秘密—3 SAKURA∞SAKU first

(・・・絶対何か勘違いしてる。)

 

真樹のヤツ・・・
私が戦場に行くとでも思ってるのだろうか。

 

というのも

 

駅について車から降りる時、腕を掴まれ脅す勢いで命令された。

 

真「携帯を離さず持っておけ。そして用が終わったら電話しろ。分かったな。」
「え、えぇ?あの・・・?」
真「・・・・・・・。」
「・・・・・了解です。」

 

無言の圧力はやめてくれ。
こいつといい孝といい、俺様ヤロー共のプレッシャーは心臓に悪い。

てか終わったら電話しろって・・・
お前仕事中だろうが。
気が引けるんですけど。

 

(ったく・・・)

 

そんなに切羽詰って見えたんだろうか私は。

だって真樹があんなに心配するなんて珍しい…
というより初めてだ。

嬉しい気もするがある意味不安にもなる。

 

(ま、いっか。)

 

今は真樹のことを考えている場合ではない。

ただ今、MIKAMIミュージックまでウォーキング中。
もちろん足取りは重い。

『断る』行為って考えるだけでなんでこんなに疲れるんだろうな。
あー、早く解放されたい。

 

時刻は14時15分。
MIKAMIミュージックに到着。

 

(さてさて、それじゃぁ行きますか!)

 


 

「何度も言ってますが・・・・これっぽっちもやる気はないです。」
『そこをなんとか!』

 

目の前にはコーヒーの缶が2本。
そしてMIMKAMIミュージックの夏目さん。

 

「あのぉ・・・ちゃんと話を聞いてもらえないっすか。ずーっと同じ会話を繰り返してるんですが。」
『聞いてますよー!お願いします!助けると思って!一度だけでもいいんです!』
「・・・・・・。」

 

(全然聞いてねぇじゃねーか!!!)

 

ふざけんなよ貴様!
同じ事を一体何回繰り返せば気が済むんだ!
もう17時だぞ!
2時間近く話してんのに何の進展もなしかよ!?

 

「とにかく、やりません。そしてそろそろ帰ります。」
『えっ!?そんな!お食事しながら話しましょうよ!夕食ご馳走させてください!』
「い、いえ!すみませんが用事もあるんで!」

 

晩飯だと!?
冗談じゃねぇ!
こんな状態で飯が食えるかっ!

 

(くそ!埒があかん!!!)

 

ため息をなんとか飲み込み、バッグを持って立ち上がった。

 

『ま、待ってください!』
「あのですねー。何回言われても気持ちは変わらないです。それに、歌うんだったら遼のバンドでって初めから決めてたんでそれ以外で歌うつもりもないです。他に何か言うことありますか?」
『・・・・・。』
「じゃあ帰ります。」

 

一方的かもしれないが仕方あるまい。
話を聞いてくれない相手に何を言っても無駄だ。

どうもと頭を下げて出口に向かう。
そしてドアを開け--

 

 

『・・・遼さんの為になるかもしれないですよ?』
「・・・・・・・。」

 

 

---ったく。
なんでそこで遼なんだよ。

 

「・・・・・どういうことですか?」
『せっかく人気が上がってきてるんだ。有希さんが表に出ることで話題性を提供できると思いますよ。知名度も一気に上がるはずです。』

 

テンションも雰囲気も急に変えやがって。
なんて大人だ全く。

 

「そういう理由なら遼と既に話し合って解決してるんで。」
『逆に!』
「・・・・。」
『有希さんが協力してくれないことで機嫌を悪くする人もいるかも・・・』
「・・・。」

 

夏目は少ししまった!という顔をした。

あららら、うっかり口が滑っちゃった感じっすか?

 

(おろおろしちゃって・・・・・)

 

あからさまに焦りを見せる夏目。

どんな裏事情があるのか知らないが、おそらく言ったらいけないことだったんだろう。

 

見ていて可哀想ではあるが…

このチャンス、逃す手はない。

 

「それってどういう意味か伺ったほうがいいですか?」
『い、いや・・・あの・・・・・』
「なんか物騒だなぁ。夏目さん、気をつけた方がいいですよ。ほら、実際にドア全開だし。誰か聞いてたら勘違いしちゃいますよ。」
『あ・・・』
「今のは聞かなかったことにするんで。食事誘ってくれたのにすみませんね。では、失礼します。」

 

ポカンとこっちを見る夏目に軽く会釈して

 

足早にその場を離れた。