変人だって。医者だって。

変人だって。医者だって。13 SAKURA∞SAKU second






「うわ------っ!?」

孝「捕まえた。」






言われるがまま近づくとあれ不思議。

腕を引かれて孝の身体にぶつかった。

あ、あれ、なんか捕まっちゃった~



じゃねぇだろ!






「ぎゃー!なな、なにしてんだ!」

孝「なにって・・・・・・捕獲?」

「ちち近ェよバカ!」

孝「構わねぇ。」

「構え!」






せっかく離れたのにまた密着する身体と身体。

さっきまでの心臓バクバクがよみがえってしまう。

頼むから速やかに止めて頂きたい!





(そそ、そうだ-------!)





英語!
英語の話をしよう!

話を反らせ!

とにかくこの状況から脱出するぞ!





「ププっ、プリーズ・・・ハナセ---!!」

孝「・・・何言ってんだお前。」

「Hiiii!Yameroooo!」






腰に手が回りがっしりホールド。

押しても叩いてもびくともしない。

それどころかグイグイ引き寄せられて距離を縮められる。

もう-----マジで勘弁してくれ!






孝「熱。」

「は!?」

孝「熱は?」






ね、熱?

熱って・・・

あ、そっか。
こいつ風邪引いてたんだったな。


様子を見ろとでも言うようにデコを寄せてきたので

恐る恐る額に手を当ててみる。






「うーん、まだ少し熱い気がするけど。今朝よりはずっといいんじゃねぇ?まだフラフラするか?」

孝「する。」

「・・・・・・・じゃあ寝ろ。」

孝「お前も一緒。」

「あほ!」






何がフラフラだ。
ほぼ全回復してんじゃねぇか。

力も強ぇし、顔色も良くなってきてるし。






「薬飲んで寝なさい。」

孝「お前が寝るなら寝る。」

「バカかてめぇは!ほら!薬取るから放せ!」

孝「薬はいらねぇ。このまま寝る。」

「こ、こらこらこらこら!!!」






再び腕が絡まってきた。

暴れてみるが・・・

回復したこいつの力に敵うはずもない。






「こ、孝様!マジで勘弁してください!」

孝「なんで。」

「いやあの・・・・・っ、ちょっと-----!」






たた、頼むから耳元で話すのは止めてくれ。

ぞわぞわするっていうか

さっきのを思い出すっていうか・・・






孝「思い出した。」

「・・・へ?」






な、なにを?







孝「さっきのお前・・・すっげぇ可愛かった。」







(・・・・・・え。)







さっきの?

ミーっすか?






孝「俺に触れられて感じてただろ。」

「は・・・」

孝「マジで可愛かった。」

「・・・・・・。」













な・・・・・・






(---------------------。)






もう・・・

消えてなくなりたい。







「※□×▽*△※□*ーーーっ!!!!!」

孝「なんだ?」







こっ、言葉にならーーーん!!

この天然俺様ヤロー!

恥ずかしいことをペラペラと口にしやがって!






「はっ放して※□△*×ーっっ!」







パニック。

いいや大パニックだ!!

母ちゃんにエ○本見つかった時の比じゃねぇ!

いやいや私は持っても隠してもないですけどね!!






孝「有希。」

「・・・・・・ぅっ!」






ぎゅっ、と抱きしめられた。

だだだだだから---

無駄にドキドキさせるのはやめてくれ--










孝「愛してるぞ。」











・・・ちーん









誰か・・・こいつを止めてくれ。








(・・・・・・・・・気絶したい。)






顔が熱い。

今なら火吹くどころかビーム打てそう。

頼むから誰か穴掘って私を隠してくれ。

PC一台あげるから・・・








「ああああありがとー!!」








とりあえずお礼は言っておこうと思う。










それから奴らが帰ってくるまで

どうやって過ごしたのか未だに思い出せない。










初めに帰って来た累に孝から引き剥がされ

胸元からひょっこり顔を出していたらしいキスマークに機嫌を損ねた真樹に捕まり更に数を増やされ

その状況から純君に助けてもらい

要からは『携帯持ってなさいって言ったでしょ!』と怒られ

孝様は『続きは今度な』なんて爆弾発言を投下した。






もう嫌だ。

やっぱ怖ぇ。
今更だが怖ぇよ桜館。






あんなに熱が高かったにも関わらず、結局あのまま熱が引き、孝は一日で回復しやがった。

看病なんていらなかったんじゃねぇのか。

結果論だがほったらかしとけば良かったと思う。







ちなみに余談だが







あんだけ風邪菌と一緒にいたにも関わらず







やっぱり私に風邪は移らなかった。


















・・・変人だって。医者だって。(完)