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(うー!)
力が緩んだので孝の下から転がってベッドから離れた。
そして胸元を押さえ
ホッと一息・・・
してる場合じゃない。
電話だ!
(携帯携帯--------あった!)
本の下に隠れていた携帯を掴む。
そしてバシッと通話を押す。
「おお、お疲れ様です要さん!」
要『・・・・なにどもってんの。』
「いや別に!」
要『ふーん。孝は?』
「元気だぞ!」
要『・・・・・そう。』
不自然!
まさに不自然!!
自分でもよーく分かる!!
元気ってあんた。
熱出して仕事休んでんのに元気はないでしょうよ!
「え、えーと。孝、熱は?」
孝「熱?あー・・・下がった。元気だ。」
孝を見るとベッドに胡坐かいてこっちを見てる。
「ね、熱下がったってよ。」
要『そう。』
「はい。」
要『・・・・・・・・。』
な、なに。
なんすかこの沈黙は・・・
要『何されたか簡潔に言え。』
「ぶっ!」
思わず吹き出す。
怪しかった?
やっぱ不自然すぎたか!!
「なな、なんもねぇよ!」
要『嘘つくな。お前の嘘はすぐ分かる。』
「なんもねぇって!大丈夫大丈夫!てか孝の心配をしろよ!」
要『お前の身の方が心配だ。帰ろうか?』
「えっ?」
さすが桜館野獣代表。
皆さんのこと良く分かってらっしゃるんすね。
「と、とにかく大丈夫だから。心配してくれてサンキュー。」
要『本当か?』
「本当だ。仕事頑張れよ。」
要『・・・・・携帯を肌身離さず持ってろ。片時も手放したらダメだぞ。いつでも電話できるようスタンバイしておきなさい。』
「りょ、了解しやした。」
お、お父様。
お父様だ。
孝「・・・ったく、やっぱりお前の心配してやがったか。」
「お、お前のことも心配してたぞ。」
孝「ついでだろ。」
「ついでって・・・」
そう言いながらもなんとなく嬉しそうだ。
弱ってる時ってささやかな気遣いが非常に嬉しく感じるもんだよな。
あんまり弱ることはねぇがちょっとは分かるぞ。
「そ、そういえばさ、お前の父ちゃんと母ちゃんってどこにいんの?」
孝「親?なんで。」
「別に理由は無いけど。なんとなく聞いてみた。」
孝「挨拶にでも行くつもりか?」
「お前のバカも治んねぇな。もっと熱出して寝込んでみろ。奇跡が起こるかもしんねぇぞ。」
孝「・・・言いたい放題だな。」
少々の失礼は許せ。
喋ってないとこの空間に耐えれないんだよ。
だってさっきまで・・・あああんな状況だったわけですし!?
ほら見て!
手が震えてボタンが留められない!
(ひぃぃぃぃ-------!)
要が電話してきてくれなかったらどうなってたことか・・・・
考えただけで顔から火が立ち上りそうだ。
孝「親父はどっかで生きてると思うが・・・お袋はガキん時に死んだ。」
「へっ?」
ボタンに集中していた手が止まってしまう。
孝を見るといつも通りの表情で見つめ返してくるが・・・
なんとなく、少し悲しそうに見えた。
「あーごめん。簡単に聞いたらいけなかったな。」
孝「別に構わねぇよ。」
「そ、そっか?」
沈黙は嫌だ。
でも-----簡単に他の話題も思いつかん。
「と、父ちゃんと母ちゃん。どっちが美形だったんだ?」
孝「・・・なんだその質問は。」
・・・・・・で、ですよねー。
でも他に思いつかなかったんすよ。
孝「お袋はハーフだったからな。モデルだったみたいだし。美形だったんだとは思う。」
「も、モデルさん!な、なるほど色々と納得。どこの国の人のハーフだったんだ?」
孝「イギリス。」
「へぇ。お前も行ったことあんの?」
孝「行ったことって・・・15まで住んでた。」
「えっ!?」
住んでた!?
じゃ、じゃぁ-----
「お前っ-----英語ペラペラ!!?」
孝「・・・・住んでたんだ。当たり前だろ。」
「はっ・・・ははぁー!!」
孝「どんなリアクションだよ。」
英語話せるのかこいつは!
すげぇ奴だったんだな!!
自分、学校で勉強はしたんだが、性に合わなかったのかどうも英語は苦手だ。
反動からか英語が出来る奴は無条件で尊敬してしまう。
「じゃ、英語圏に旅行に行く時はお前がいれば安心なんだな!」
孝「まぁ、言葉はな。」
「ああああのさぁ!海外行ったことねーんだけど!行ってみたいっていうか!」
興奮。
「で!お前が行きたいところでいいんで!英語喋る国にお供させてもらえないっすか!!」
孝「いいぞ。」
「まままままじっすか!!」
孝「マジだ。それより有希、こっち来てみろ。」
「うす!」
私は忘れていた。
自分が学習をしないおバカさんだということを。
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