変人だって。医者だって。

変人だって。医者だって。10 SAKURA∞SAKU second




「有希・・・・・悪かった。」

有「-----っ」






俺と繋がっていない、自由な手で目を覆う有希。

華奢な肩は小さく震えて

溢れてくる涙がキラキラしながら落ちていく。






(・・・・・・・最低だ。)






こいつのトラウマを知っていながら

欲望のまま自分をぶつけて一番泣かせたくない奴を泣かせるなんて。

しかも泣かせた後に正気に戻るとは---

救いようのない大バカだ俺は。






「マジで悪かった。もう何もしないから・・・」

有「っ----、」

「なぁ・・・・泣かないでくれ。」

有「・・・・・・っ、っ」






身体を震わせる有希にどうしたらいいか分からない。

どうすれば泣き止んでくれる・・・?






「有--」

有「・・・・違、う・・・!」

「・・・?」






違う?

って、なにが・・・?






「・・・有希?」






乱れた髪に触れるてみる。

嫌がる様子は-----ない。






有「お前が---謝る、な・・・・違うんだ・・・」

「・・・・・・?」






ゴシゴシ目を擦る有希。

乱暴に涙を拭いて、潤んだ目で見上げてくる。





(-------------)





見事に赤くなった目。

まるで鷲掴みにされたように心臓が痛い。






有「・・・・・う、嬉しかったんだ。」

「・・・・・・・・・・・は?」






うれしかった
ウレシカッタ

嬉しかった?




------?




意味分かんねぇ・・・






「・・・どういうことだよ。」






人生最大のショックと後悔を味わったんだ。

ちゃんと説明してもらわなきゃ立ち直れねぇ。






有「どういうことって・・・・いや・・・あの・・・」






何を考え出したのか、なぜか有希の頬がどんどん紅くなっていく。

そしてしまいには顔まで逸らしやがった。






(それじゃ困るんだよ・・・)






俺にとっては死活問題。

答えてくれねぇとマジで困る。






「頼むから・・・・・言えよ。」






促すように髪に触れてみる。

もし許してもらえるなら・・・

この際なんだっていい。







有 「あ、あの・・・・あのっ・・・・・あ、あ、愛してるなんて言われて嬉しくない奴はいないと思う!」








(・・・・・・・・・え。)









有「だから・・・その・・・っ、嬉しかった。じーんときて・・・・涙が出てきた!」















・・・・・・・なんだそりゃ。















「・・・・・お前・・・・紛らわしいことすんな。」

有「・・・・え?」







てことは・・・あれか?

嫌で泣いたわけじゃないってことか?

俺に怯えたわけじゃないってことか?



それじゃ---







「・・・・・・ビビッた。」

有「えっ!?」






脱力して有希に倒れ込んだ。

そりゃそうだろう。

力も抜ける。






「お前なぁ・・・心臓、止まったかと思った。」

有「な、なんでだよ。」





なんでだよって・・・





「俺に抱かれるのが嫌で泣いたのかと思った。」

有「------この状況で・・・過激な表現だな。」

「ありのままだろうが。」






とにかく





マジで良かった。





拒否られて泣かれたなんてことになったら・・・

リアルに立ち直れねぇとこだった。

ていうか---






「そんなことで泣くなよ。」

有「だ、だってお前が----ぁ、あ、愛・・・・とか言うから。ビックリして・・・・・」

「・・・・・・・・。」

有「・・・・・・・いや・・・・素直に嬉しかった。・・・・ありがとう。」

「・・・・・・・・。」






まさか嬉し泣きだったとは・・・

めちゃくちゃ振り回された。

だが・・・






「嬉しい」って部分では







俺も同じだ。