変人だって。医者だって。

変人だって。医者だって。01 SAKURA∞SAKU second





・・・おかしい。






何がおかしいのかって?






何が、というか・・・

うん、全てがおかしい。






「あ、あの・・・それ、マーガリンっすけど・・・」

「あ?・・・・・あぁ、そうみたいだな。」

「そうみたいだなって、お前・・・」






現在、午前7時。

今日も清々しい朝。

皆で朝食タイムだ。





たがおかしい。

変だ。

いや、確かにいつも変なんだが・・・

今日はいつもと比べられないくらい変だ。






要「あいつ、なんかあったの?」

真「さあ・・・」






どうやら皆も異常に気付き出した。






純「いつも変だけど、今日は絶好調に変だよね。」

累「孝、なんかあった?」






そう。

様子がおかしいのは俺様孝様。

累が声を掛けるが---返事もない。






(おいおい大丈夫かよ・・・)






つい数十秒前、コーヒーにマーガリン突っ込んでクルクルかき混ぜてた俺様。

お前はいつもブラックでしょうが。

そもそもマーガリン入りのコーヒーってあんた・・・



そして残念なことになったコーヒーを入れ替えにキッチンに行った孝。

その後、音沙汰がない。






要「考え事してんのかね。」

累「孝?大丈夫?」

「・・・仕方ねぇな、見てくる。」






ちょうどここから見えないところにあるコーヒーメーカー。

今度は塩なんぞを入れてかき混ぜてたりして・・・






「・・・って、お前・・・なにやってんの---」

孝「?」






いやいやちょっとちょっと---!






「バカ!溢れてるだろうが!」






手にマグカップを持ちどばどばとコーヒーを注いでいるうっかり者。

カップからあっついコーヒーが溢れてんのに---

慌てて孝の腕を掴み流し台へ。

そして水をドバっと出して手を冷やす。






「熱かっただろ!?これ絶対火傷してる!」

孝「・・・・・・。」

「どうしたんだよ!?変だぞお前・・・・・・え?」






コーヒーを浴びて少し赤くなった手。

そして・・・






「お前、なんでこんなに熱いんだ?」






掴んだ腕から伝わってくる異常に熱い体温。

こいつ、もしかして・・・






「孝、ちょっと屈んでみろ。」

孝「なんで。」

「いいから!」

孝「・・・・・・・・。」






眉間に皺を寄せながらも腰を低くする。

不審そうな表情は無視して額に手を当ててみた。






(うわ、おいおい・・・・・)






「お前、熱がある。」

孝「は?熱なんかねぇよ。」

「ある。すっげぇ熱い。」

純「え?孝、風邪?」

「多分な。」

孝「違う。俺は風邪なんか引かねぇ。」

「黙ってろ!まだ手ぇ冷やしとけよ!」






氷をビニールに詰め込む。

外科のお医者さんにとって手は命だろうが!

全く・・・負傷するなんてとんでもない。






累「どうしたの?」

要「風邪だって?」

真「マジ?」






皆がわらわらとキッチンに集まってくる。

よし、お前ら手伝ってくれ。






「今日は仕事休めよ。」

孝「は・・・バカ言うな。こんなの大したこと無い。」

「今のお前に診てもらっても助かるモンも助からねぇよ。調子が悪い時はちゃんと休め!」

孝「嫌だ。」

「・・・よしヤロー共。今なら孝様に勝てるぞ。やれ!」

「「「・・・・・・・・・・・・・・・。」」」

孝「------!」






専ら累に組み敷かれ二階の自室に引きずられて行く孝。

救急箱を持って同行した。






孝「仕事に遅れる・・・」

「今日は行くな。」

孝「仕事----」

「体調悪い時のために休みってモンがあるんだ。」

孝「・・・・・・・。」






弱々しく抵抗する孝のネクタイを取り、シャツのボタンを外す。

二階への階段を上ったただけなのに息が上がってるじゃねぇか。

熱が高い証拠だ。






孝「・・・・俺は脱がす方が好きだ。」

「バカかお前は。体温測るんだよ。」






熱がある時くらいエロスから解放されろ。






「ほら、体温計。」

孝「・・・熱なんてねぇよ。」

「早くしろ。」






しぶしぶ熱を測り出す。






要「お前が風邪引くなんて初めてじゃねぇ?」

真「お前も弱る時があるんだな。」

純「なんか可愛いね。孝。」

累「力も弱かったし。」






言いたい放題だなお前ら。






ピ・・・・






自分で取ろうとする孝の手を制止し、体温計を掻っ攫う。






「うぉ!!38度8分!高熱だぁぁぁ!!」

累「えっ!?そんなに!?」

孝「壊れてんだろ。」








その後-----

孝を心配するヤロー共をなだめて家から追い出した。

こういう時は『家族』になるらしい。

微笑ましい行動だが健康な方々はしっかり働いてきてください。






「私が診てるから。お前らは仕事に行け。」

純「一人で大丈夫?」

「心配するな。」

累「早く帰ってくるからね!」

「了解。」






管理人の務め・・・

ではないが、こういう時は引きこもりがちの仕事に感謝してもいいかもと思った。



奴らを送り出し瀬尾に電話をかけた。

孝が絶対休まないと言い張り、仕事先に連絡しようとしないからだ。






孝「だから・・・・大丈夫だって言ってんだろ」

「どこが大丈夫なんだ。現に動けねぇだろ。大人しく言うことを-----あ、瀬尾か?」

孝「・・・・・・・・。」






熱があるんだよ、と言った瞬間。

"やっぱり!!"

と返事が返ってきた。



どうやら昨日から調子が悪かったらしい。

今日はやばいかもと予想していたらしいので瀬尾がちゃんと休む旨を伝えてくれるとのこと。

さすがパシリNO.1。

いい働きをする。
今度何か褒美をやろう、うん。