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「---ぁッ・・・ぅ・・・」
指が引き抜かれると同時にのけ反った体が脱力する。
そしてポスッという音と共に体がベッドに沈みこんだ。
「ハッ・・・は---ぁッ---!」
(苦、し・・・)
心臓の音が凄まじい。
まるで暴走族のバイク。
いつ弾けてもおかしくない。
「ハァッ、ハァッ---ぅッ・・・」
苦し紛れに横を向く。
霞む視界に無防備に投げ出された自分の手が見えた。
(なん・・で---?)
素朴な疑問。
そして重大な問題。
---どうして私は、恐怖に堕ちない?
(キス、なんだろうな・・・)
どうして?なんて思いながら実は確信を持ってたりする。
---なぜ恐怖に堕ちないか
それは
キスに夢中になるうちに恐怖が消えるから。
いや、消えるってのは少し違う気がする。
正確に言うと---
キスに夢中になりすぎて恐怖を忘れるから。
(・・・どんだけキスが好きなんだよ。)
晋はキスが上手い。
それは認める。
でも私達は恋人同士じゃないし、キスを交わす間柄でもない。
しかもこれはゲーム。
晋にとってキスはただのオプション。
気持ちの篭ってない業務的な行為だと分かってるのに---
それでも私は、キスに感じてしまう---
(最低だな・・・)
なんて快感に貪欲な体だ。
我ながら自分に嫌気がさす。
「---ハッ・・・ハァッ---」
それにしても苦しい。
空気薄いんじゃないかこの部屋。
(眠、い・・・)
酸欠のせいか睡魔まで襲ってきた。
無意識に瞼が落ちてくる。
目を閉じた瞬間眠れそうだ。
それに今眠れたらきっと---
極上の---
安眠・・
---チュッ
「----ッ!?」
唇から-----リップ音?
大きな音じゃなかったと思う。
だがヤケに頭に響いて体がビクついた。
反射で上を見るとクスクス笑ってる晋。
晋「眠いのか?」
なんで笑ってるのか分からずボーっとしてるとそう聞かれた。
どうやら寝そうになってたらしい。
晋「寝るなよ?」
フッ、と笑って唇をなぞる。
ついでに頬を包み綺麗な顔を近づけてきた。
どうやらキスするつもりらしい。
いやいや、悠長に考えてる場合じゃないだろ。
晋「・・・なんだこの手は。」
ハッとした。
そして慌てて口を押さえた。
もちろん両手で。
晋「退けろ。キスしたい。」
「-----ッ!」
軽く睨まれる。
だが怯むわけにはいかない。
口を押さえたまま必死に首を横に振った。
(キスは---絶対ダメだ!)
今まで何度も何度もダメだと思ってきた。
だが今度こそマジで本気で真剣にダメだ!!
今この状態でキスされたら---
もう一度でも深く重ねられたら---
次はきっと
耐えられない。
「-----!」
フッと表情が緩んだと思ったら手にキスしてきた。
優しく啄ばむように
時々可愛い音を立てて
飽きずに何度も唇を押し付けてくる。
晋「早く退けろ。」
「-----。」
晋「まだ抵抗するのか?」
「-----。」
晋「ふーん・・・」
「-----。」
正にイタズラ小僧のように目を細める。
そして不敵に口角を上げ、ゆっくりと指に舌を絡ませてきた。
「---っッ!?」
小指、薬指、中指、人差し指
指先から関節、付け根まで
焦らすようにじっくり舐め上げてくる。
(な、なんだ---!?)
なぜか背中に震えが走る。
慣れない感覚だからか?
体が敏感になってるからか?
なんでこんなに---
晋「感じるのか?」
「---ぁッ!」
強引に手首を掴む晋。
そして自分に引き寄せ、見せ付けるように指に舌を絡ませてくる。
「やッ、やめろ---ッ!」
少しずつ濡れていく自分の指。
それがヤケに卑猥に見えて顔に熱が集まっていく。
---恥かしい
出来れば今すぐ逃げ出してしまいたい。
もっと出来れば気絶してしまいたい。
でも
(や・・やば・・・い-----)
私は、バカだ。
ほんのり濡れた艶やかな唇
イヤらしく指に絡みつく紅い舌
強烈な色気を放つソレらに目を奪われて
手を振り払うことすら出来ない。
晋「透・・・」
薬指へのキスを最後にシーツに押し付けられる左手。
未だ口を護っていた右手も難なくシーツ行き。
そして再び
唇が近づいて来る。
(ちょっと---待って・・・)
キスはダメだって言ってるだろ。
キスされたら確実に流される
そしてそのまま呑まれてしまう
(そんなの、イヤだ---)
流されるなんてイヤだ
呑まれるなんてイヤだ
絶対イヤだ
イヤだ--
「し、ん----」
イヤ、なのに---
近づいて来る唇を
どうやって拒否すればいいのか
分からない。
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