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晋「目ェ逸らすな。」
「ちょっ---」
晋「透。」
「---っ!」
あまりの迫力に視線を切った。
だが無駄な足掻きだった。
顎を取られ無理矢理視線を奪われた。
晋「-----。」
「----ッ・・!」
正に獣の目だ。
睨んでるのか威嚇してるのか。
至近距離でギラつくソレに背中が震える。
抵抗?
もちろん抵抗できないわけじゃない。
あられもない格好だが片手と両足は自由。
突き飛ばすくらいは出来るかもしれない。
だがダメだ。
反抗したらいけない気がする。
ていうかなんで?
なんで怒ってんのこいつ!
晋「透。」
「------っ」
晋「撤回しろ。」
「えっ」
晋「なにが"終わり"だ。撤回しろ。」
・・・え?
「え、あの--」
晋「早くしろよ。」
「なな・・・なんで撤回しなくちゃいけないんだよ。」
晋「なんで、だと?」
(な、なんだよその顔・・・)
なんで分からないんだ、とでも言いたそうな呆れた顔を向けられた。
しかし大変申し訳ないが本気で意味が分からない。
だって---"終わり"を撤回しろ?
それはつまり
---お前との関係は終わらない
そう言い直せってことか?
え・・・なんで?
晋「お前は、俺のモノだからだ。」
ん
ん?
晋「俺のモノが勝手にいなくなるな。終わりなんて---絶対許さねぇ。」
「・・・。」
気のせいだろうか。
世にも奇妙な言葉が聞こえる。
「俺のモノって・・・何言っちゃってんのお前。」
晋「あ?」
「しかも許さねぇってなんだよ。まさかエロエロ関係を続行したいのか?AHAHAHA~。冗談ならもっと面白く--」
晋「冗談じゃない。続行だ。」
な---なんだと!?
「バ、バカヤローふざけんな!これ以上エロゲームには付き合えないって言っただろ!」
晋「ゲーム?」
「そんなにエッチがしたいならエロい女を探せ!そしてそいつとゲームを楽しんでくれ!」
晋「バカかお前は。ゲームなんか関係ねぇ。」
か、関係ねぇって---
え、関係ない!?
「なにワケの分からんことを!ゲームが関係ないなら私らの関係も終わりでいいだろ!」
晋「よくない。」
「よっ、よくないの!?なんで!」
晋「なんでって・・・分からないのか?」
「え!?え、えぇーと・・・!」
や、やばい。
さっぱり分からない。
晋「・・・はぁ。」
「す、すみません。説明をお願いします。」
晋「あのなぁ・・・」
「・・・。」
晋「お前が気になるからに決まってんだろ。」
-------
----------?
晋「言動も行動も。なぜかお前が気になって仕方がねぇ。」
「・・・。」
晋「だから俺のモノにすることにした。」
「・・・。」
晋「そして俺のモノは俺の傍にいる。当然そうあるべきだろ?」
「・・・。」
晋「なのにお前ときたら・・・一体何様のつもりだ。」
「・・・。」
晋「連絡するな?声もかけるな?」
「・・・。」
晋「お前こそつまらん冗談抜かすな。ボケるならもっと上手くボケろ。」
「・・・。」
晋「それに体にも満足してない。大体あのくらいで満足できるわけ--」
「ちょちょ、ちょっと待てーーー!!」
晋「?」
ちょっと待てマジで待て。
「・・・え?」
晋「あ?」
目の前の俺様・・・
普通だ、至って普通の表情だ。
決してギャグを披露している顔ではない。
じゃあなんだ?
さっきのアレはまさか・・・
こいつまさか---!
「もしかしてお前---私に惚れちゃった?」
まさか・・・
まさかまさかの、祝ゲームオーバー?
晋「・・・調子に乗るなよ。」
「・・・。」
晋「お前なんか全然好みじゃない。」
「・・・ですよねぇ。」
うわ。
おいおいそんなゴミを見るような目で見るな。
ちょっと聞いてみただけじゃないか。
いやいやそうじゃなくて!
それじゃさっきのはなんだ。
一体どういう意味・・・
晋「とにかく、お前は俺のモノだ。勝手に離れるのは許さねぇ。」
「え、え、あの、ちょっと待--」
晋「それにアレも約束しただろ。」
「ア、アレ?」
晋「忘れたのか?」
「え、えーと・・・」
アレって・・・
なんだったっけ。
晋「護ってやるって言っただろ。」
「・・・。」
まるでそよ風のような
穏やかなビューティフルスマイルを向けられた。
いやいやちょっとタイム。
(お、おいおーい・・・)
な、なにそのほんわか優しい笑顔。
ていうか護ってやるって・・・
確かに言われたのは覚えてるぞ。
でもなんでお前が私を護ってくれるんだ?
(え?ちょ、ちょっと・・・!)
なんで頭を撫でるんだ。
なんでソフトタッチなんだ。
なな、なんで髪にキスするんだ!?
「おおお前っ---やっぱ私に惚れてんだろー!!」
晋「は?」
「とぼけんな!言うことやること熱っぽいんだよ!」
晋「何言ってんだお前。ワケ分かんねぇ。」
「そ、それはこっちのセリフだバカヤロー!」
晋「?」
(どど、どうしちゃったんだよこいつ!)
お前は俺のモノ?
気になって仕方ねぇ?
挙句の果てには護ってやる?
おまけに大切なものに触れるかようなVIP扱い。
まるで「好きだぜ」と言われてるような気がしてならない。
まさかお前、マジで私のこと---
いやいやもちろん勘違いだって分かってるぞ。
だがこの思わせぶり&不審な行動はなんなんだ?
そもそも自分が今どんだけ優しい顔してるか分かってんのか!?
晋「・・・透。」
「なな、なんだ!」
晋「お前・・・顔が紅い。」
「---え!!」
晋「なんでそんな顔してんだよ。」
「-----っ私に聞くな!自分で考えろ!」
晋「・・・。」
どうやら私は赤面しているらしい。
とりあえず顔を逸らしてみた。
人と話すときは目を見て話せ?
無茶言うなコノヤロー。
恥ずかしすぎて目なんか見れるか!
(おいコラ落ち着け透----!)
ジョークだ。
きっとこれは晋なりの俺様ジョークなんだ。
そうだ、絶対そうだ!
とにかく動揺してる場合じゃない。
深呼吸しろ。
ヤツのペースに呑まれるな!
「すーはー!すーはー!!」
晋「・・・。」
(えええーと-----!)
と、とにかく話だ、話を戻そう。
何だったっけ。
なにを話してたんだったっけ・・・
---ゲームを終わらせる
ああそれだ!
ゲームなんてもうウンザリだって話だ!
「あああのあの!ちょっといいですか!」
晋「---!」
恥辱心をねじ伏せてヤツを睨み上げた。
まだ顔が赤い?
そんなの構うものか!
「えーと!さっきの話の続きなんですけどね!」
晋「・・・。」
「やはり!ゲームともお前ともおさらばしようかと思います!」
晋「・・・。」
「でで、でも!ま、護ってやるって気持ちはその・・・ありがとー!」
晋「・・・。」
「でも私は大丈夫なんで!だからもう連絡は---!」
晋「なぁ・・・」
「あ、あの!とりあえず話を聞いて--」
晋「その顔・・・ヤバイ。」
「え!?」
顔がヤバイ?
え?
それって・・・ブサイクってことか!?
晋「・・・可愛すぎる。」
「・・・。」
それはそれは色っぽく目を細めて
爆弾発言を投下しやがった。
(私が---かか、可愛い、だと・・・?)
ほ、本当にどうしちゃったんだよ晋。
何か辛いことでもあったのか?
それともまさか・・・
マジで私が可愛く見えてるのか!?
晋「お前・・・なんでそんなに可愛いんだ?」
「・・・。」
どうやらこいつの目には
リアルに可愛い私が映ってるらしい。
(・・・重症だ。)
ダメだと思った。
ムリだと思った。
出来れば今回でゲームともこいつとも縁を切りたいと思っていたが
今日のところは諦めようと思う。
だってどう考えても
今のこいつはまともじゃない。
前々から不思議なヤツだとは思っていたが
今は特に
何を言っても無駄なような気がする。
「あ、あの、どうもありがとう。」
晋「・・・。」
「ところで・・・話は今度でいいからさ。そろそろ帰るよ。」
晋「なぁ・・・」
「聞いてんのか?ちょっと退いてくれよ。いい加減服を着させ---」
晋「抱きたい。」
「・・・。」
今度はなんだ---
晋「そそられた。抱かせろ。」
「・・・・・・・・・。」
予想以上のミラクル発言に
立ってもないのに立ちくらみを覚えた。
---高原晋
雄雄しいオーラと造形物のような綺麗な容姿
スラリと美しい体は身長182cm(香織情報)
しかも肩書きは堂々の医者
多くの女子がきゃー!と騒ぐだろう。
ほとんどの女子が理想の男!と叫ぶだろう。
だが・・・
「いっ---いい加減にしろーーー!!」
性格面に---激しく難有り。
「まま、待て!触るな!ちょ---手ェ放せ!!!」
晋「おいコラいい加減にしろよ。」
「は!?」
晋「それ以上可愛い顔すんな。抑えられなくなる。」
「-------!?」
ここまで話の噛み合わない・・・
不思議な人間に出会ったのは初めてだ。
頼む。
マジで---頼むよ誰か。
「やや---やめろぉぉぉーーー!!!」
誰でもいい。
こいつの取扱方法を教えてくれェ!!
-----------------GAME・初体験(完)
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