初体験

初体験—08 GAME



(最後まで話を聞けー!)






言ってやりたいのはやまやまだが叫んでる暇は無い。

事は一刻を争う事態だ。





---キスはダメー!!





頭の中で激しく警報が鳴り響く。

慌てて顔を逸らした。

そして体に圧し掛かってくるヤツの胸を押し返す。






でも







「待てっ---!」







さすがイケメン。
女を扱うテクレベルが半端じゃない。



頭の後に滑り込んだ大きな手。

その手に、まるで誘導されるように正面を向かされてしまう。






そして奮闘虚しく






形のいい薄い唇が、重なった。









「むぅー!!」(なにすんだコラー!!)







叫びたかったがグッと堪えた。

冷静になれ透。
口を開いたらこいつの思う壺だ!



熱い舌先が唇を撫でる。

時々リップ音を立てて吸い付き「早く開けろ」と促してくる。

だが残念だったな。
そんなんで開くほど私の口は甘くない!






ていうかなにこれ!
なんでこんなことになってんだ!






今の今まで真面目に話し合ってたのに・・・

色んな勘違いはあったけどいい感じで話し合いは進んでいたはずだ。



なのになんで突然ヤる気が芽生えたんだ!?



まさか、まさかの気まぐれか?

冗談じゃない!






「むむぅー!!」(ふざけんじゃねぇー!!)






またこのパターンかよ!
マジでふざけんなよコノヤロー!

これ以上ゲームなんぞの延長で遊ばれて堪るかぁ!







こいつらは勘違いしている。







どんなに顔が良くても
身長もスタイルも完璧だとしても

全ての女子がイケメンに抱かれたいと思ってるわけじゃない!





触れて触れられて気持ちいいと感じるのも
重なり合うことに喜びを感じるのも

それは相手が「好きなヤツ」だからこそだ!!

少なくとも私は好きなヤローに愛されながら抱かれたい!







(調子に乗るなよー!!)






何度も何度も気安く迫りやがって!

今日という今日は勘弁ならん!

このイケメン代表に天誅という名の説教を食らわせてやる!





その前に







「むむむぅー!!」(離れろー!!)







気合を入れなおして押し返す。

でもやっぱり





動かない!!







(---!)







スッと、晋の手が下へ向かった。

モゾモゾと服を漁る手。

これはもしかしてもしかしなくても・・・
服の中に侵入する気だ!






「むっ、むー!!」(やっ、やめろー!!)






説教する前にヤられるわけにはいかない。

侵入を防ぐべくありったけの力を込めて手首を掴み上げた。

これ以上好き勝手できると思うなよ!






しかし






ヤツの手はあっさり滑り込んできた。







「むむー!!」(ええー!!)







わき腹から腰、そして上に向かって肌を撫で上げていく晋の手。

たどり着いた先には私の可愛い下着ちゃん。
そして迷い無くホックに指が絡んだ。

さすがイケメン代表。
やること成すこと動作にそつが無い。






いやいや、まずい。






これはまずいっ!











「まっ待てーっ!!(むっむむーっ!!)












 あっ」











---間違えた!







気付いた時はもう遅い。







俺様がこのチャンスを見逃すはずも無く
ヤツの舌は躊躇無く侵入してきた。

余談だがホックもちゃっかり外された。







「---っ・・・んぅッ!」







貪るように舌が絡みついてくる。

僅かな抵抗すら許さないつもりか。
頭の後に添えられた手が動きを制圧する。



丁寧になぞられ、吸われて

逃げても逃げても追いかけられて
そして結局捕まって・・・





防ぎようの無いキスに翻弄されてしまう。








(ヤバイ---)








肌をなぞる手も
奪うように重なる唇も

溶けそうなくらい熱い。




いや、それ以上にヤバイのは








キスが、気持ちいい。








晋「・・・逃げても無駄だ。」
「---っ・・」
晋「・・・逃がさねぇ。」
「ん・・・っ!」







無駄?

確かにそうかもしれない。



体を押し返していた手も、気付けば力無くベッドに沈んでいて

逃げようと暴れていた体も捕獲された野良猫のように大人しくなってる。








やはり----晋のキスは、凶器だ。








認めたくないが気持ちいい。

しかもなぜか今日は






この前よりもずっと気持ちいい







(何とかしないと・・・マズイ・・・)







そんなこと分かってる。

でも







抵抗できない・・・







「し、ん・・・っ」
晋「ん。」






頭がふわふわする。
体からどんどん力が抜けていく。







キスに、溺れてしまう・・・