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「えぇぇーとっ!そ、そうだ話!お前の話は終わったのか!?」
咄嗟に話題を変えた。
そうしないとやばいような気がした。
(バ、バカか私は---!)
何が好きな女だ。
勝手に盛り上がって勝手にトキメクとは・・・
恥を知れ恥を!
「ほらほら話は!終わったのか!?」
晋「・・・なんで。」
「なんでって・・・私も話があるからだよ!」
晋「・・・。」
「と、とにかく離れろ!これじゃ話どころじゃない!」
思い切り暴れるとしぶしぶ体が離れた。
舌打が聞こえたがそこは無視。
「ななっなんだこの手は!」
晋「・・・・・。」
「放せ!早く!」
晋「チッ・・・」
やっと体が離れたと思ったら今度は手首を掴まれている。
このくっ付き虫め。
ていうか舌打ちすんな!
「そ、それじゃ仕切りなおすか!ほら、突っ立ってないで座れよ!私も座りたいんで!」
晋「・・・まだ。」
「なんだ!?」
晋「話。」
「は?」
晋「まだ終わってねぇ。」
「え、そうなの?オッケーオッケー。ちゃんと聞いてやるからな!」
晋「ん。」
「その前にいつまで手ェ握ってんだ!いい加減に放しなさい!」
晋「・・・。」
全く、寂しがり屋さんかお前は。
それにしてもまだ話があるらしい。
どうでもいいが次こそは穏やかな内容にしてもらいたいもんだ。
「透。」
「なんだ。」
晋「来い。」
「うわっ!?」
こいつの行動はいつも唐突だ。
突然歩き出す晋。
自然、手を引かれてバランスが崩れる。
首がカクンッと後に落ちそうになった。
「ちょ---引っ張るな!」
晋「・・・。」
「どこ行くんだよ!」
晋「・・・。」
問いかけに応えることなく歩き続ける晋。
そしてなぜか駆け足の私。
理由は聞かないでもらいたい。
ヤツが向かった先は一番奥の部屋だった。
---バンッ!
俺様はドアを乱暴に開け放ち、電気もつけずに進んでいく。
観葉植物
小テーブル
ブラックカラーのでかいベッド
シンプルなそれらが目に飛び込んでくる。
なるほどここは寝室か。
そういえば前回お邪魔した時はそのベッドで爆睡したんだっけ・・・
この前は見回す余裕なんて無かったがリビング同様、殺風景な部屋だな。
いやいやちょっと待って!
「なななんで寝室!?」
晋「・・・。」
「おおおいっ!」
晋「・・・。」
ちなみに小テーブルの上に綺麗に畳まれた私の服を発見。
晋が畳んでくれたんだろうか。
意外に几帳面な奴だな。
-----って違う!
「待て待て止まれ!ちょっと待--------お、ぁっ!」
飛んだ。
ベッドに向かって体が飛んだ。
「ぶっ!!」
一瞬の浮遊感の後、見事な顔面着地。
地味に痛い。
「ななっ何すんだ---ああぁ!?」
飛び起きた。
いや、飛び起きようとしたら肩を押されてベッドにリターン。
スプリングでピョンと体が跳ねる。
「何すんだコラ!嫌がらせのつもりか---ああぁ!!」
起き上がろうと挑戦するも再び押される。
しかも今度は転がしやがった。
そして押し転がしを二三度繰り返し、気付けばここは・・・
ベッドの中心。
(ちょ、ちょっと---)
顔の横に沈む両手。
見上げると視界には真っ暗な天井。
そして---
頼りない明かりに照らされる
ヤケに色っぽい、俺様。
「て、てめぇっ何しやがる!話があるんじゃなかったのか!」
ヤバイと思った。
大声出さないと呑まれると思った。
なぜなら、晋の表情がさっきと全然違う。
これは------「男」の顔だ。
晋「話ならある。」
「そ、そっか!それならリビングで聞いてやる!」
晋「透。」
「だから---」
晋「キスしたい。」
「-------はっ!?」
キ、キキ--
なんだって?
晋「触りたい。」
「えっ・・・は---?」
ああ、あのあの・・・・・え?
晋「お前を、抱きたい。」
・・・・・・・・え。
「なな、何言っちゃってんのおおお前・・・」
ダメだ。
さすがに動揺を隠し切れない。
だって仕方ないだろ?
元々イケメンにトキめかない体質とはいえ相手は最強の美男子、晋。
しかも現在、色気とフェロモン放出量が通常値を軽く超えてる気がする。
なんとなくクラクラするし。
いやいやそうじゃなくて!
どんな女子だって「お前を抱きたい」なんて真顔で言われたらうろたえるだろ!
いやいやその前に!
話ってそれ!?
晋「ダメか?」
ダメに決まってんだろー!!
ちょ---顔に触るな!
髪をクルクルするな!
色っぽい顔するなー!!
晋「透・・・」
「むむ無理!無理ムリむりMURI!もももしや溜まってんの!?だったら可愛い子紹介してやるから!」
晋「他の女なんていらねぇ。」
「ちょ、調子のいいこと言うな!それにっ---それにエッチすんのが怖いって何度も言ってるだろ!いい加減覚えろ!」
ピクッと反応する晋。
よーしその調子だ。
マジでそろそろ覚えてくれ!
晋「今度こそ、ちゃんと優しくする。」
ち、ちがーう!!
「そ、そういう意味じゃ---っ!」
言い終わる前に頬を優しく撫でられた。
そして静かにヤツの顔が近づいて来る。
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