初体験

初体験—04 GAME




「なな、なんだ!?」






ビックリして後を振り返る。

そして振り返って更にビックリ。







「えっ!?」







なぜならそこには----







「な、なななな!?」
葵「し、晋さん!?」
香「しし、晋ちゃんだー!」
直「・・・・・・・・。」






どこからともなく現れた晋。

ビックリしすぎて「な」しか言えない。






『ちょっ---すっごいイケメン!』
『う、うわぁ!あんな人見たことない!』
香「や、やだっ!晋ちゃん今日もカッコイイ!!」
葵「し、晋ちゃんてなんすか!?俺も晋ちゃんって呼んでいいっすか!」
直「・・・・・・・。」
「・・・・・・・。」






急に現れた色男に色めき立つギャラリー。

便乗して舞い上がる香織と葵。

私と直樹は声も出ず。







「な、なんだよお前!なんでここにいるんだ!?」
晋「お前がここにいるって言った。」
「へ!」






私がここにいると言った?

そんなバカな!







晋「透。」
「な、なんだ。」
晋「・・・・・・。」
「なな、なんだよ!」







(ちょ、ちょっと・・・)






なんでそんな目で見るんだよ。


上から向けられる真っ直ぐな視線。

最後に見たのがあの顔だったからか、ストレートな視線に怯みそうになる。







晋「来い。」
「は?」
晋「話がある。」
「へ・・・」






は、話?






晋「早くしろ。」
「え---」






急な展開に呆然としていると再び腕を引かれた。

ていうか、話?
お前も話があるのか?






---謝るチャンス






ふと頭に浮かんだ。

明日連絡しようと思ってたがまさかのナイスタイミング。

こういうのは早めに済ませるのがベストだよな?

酒も入っていい気分だし、勢いで謝ってさっさとすっきりしてしまった方がいいのでは・・・






「よし分かった!どこで話す---」
葵「あ、あの晋さん!良かったら飲んでいきませんか!今から玲さんも来るらしいっすよ!」
晋「玲?」
「は!」






(しまった---)






すっかり忘れてたが玲さんが来るんだった。

30分くらいで着くって言ってたからな・・・
もうすぐ来るんじゃないか?







「晋、やっぱ今日は中止だ。明日じゃダメか?私も話したいことがあるんだけど---」
晋「急げ。邪魔されたくない。」
「へ。」






掴まれた腕に力が篭った。

そして急かすようにグッと引っ張られる。


いやいやちょっと待て。






「あ、あのさ。もうすぐ玲さんが来るんだよ。さすがにすっぽかすわけには---」
晋「これで足りるか?」
「え?」
葵「え!あの!これは---!」






カウンターに金を置く晋。

ピカピカの諭吉が1人.2人.3人.4・・・

ていうか多過ぎだろそれ。
3人分どころじゃない。

----って違う!






「ちょ---何考えてんだお前!自分のは自分で払う!」
晋「いいから、行くぞ。」
「良くない!ちょ、ちょっと待て---」
晋「早くしろ。」
「え、あ、おいっ!」
香・直「--------。」






正に一瞬。

カウンターに置いていた携帯とタバコをポケットに突っ込まれた。

そしてカバンと上着を奪われ腕を引かれて強制起立。






「おぉおい!コラコラコラコラ!!」
直「--------。」
「ちょ---こここけるこけるっ!!」
香「--ぇ---あ、あの---」






あっという間に出口に引っ張られていく。

あの香織でさえも何も言えない。
問答無用の俺様っぷり。






「かか香織ッ!直樹ぃ!!」

香・直「・・・・・・・・。」
葵「晋ちゃんっ!やっぱ超カッコイイっすー!!」







意味不明な葵の叫びを背中に浴び







そして引きずられるまま退店完了。







もう、お見事!としか言えない。