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「いやーん!有希ちゃん久しぶりぃ!」
「良く来たね~!会いたかったよー!」
「・・・・・・。」
我が両親ながら・・・
非常にうざい。
有「おじさん!おばさん!お久しぶりっすー!!!」
令の言葉遣いに付き合うのは止めたらしい。
"もー"と言いながら有希の隣でピョンピョン飛び跳ねる令。
『ごめんごめん』と頭を撫でられている。
P「急に呼んでごめんなー。なんか会いたくなっちゃってさー。」
有希は両親とマブダチだ。
学生の頃は俺より先に帰宅していたことも度々あった。
まぁ・・・新名も一緒にね。
他にも仲間がいたんだが仲良しグループだったんすよ。
有「いえいえ!私の方こそずっと顔見せてなくてすんませんでした。」
M「いいのよぉ!元気そうで安心したわ!」
前はここの近くに住んでたんだが、あのことがあって有希は引越した。
きっと心機一転の意味で。
それ以来・・・
帰って来たことは無かったと思う。
今回だって内心辛かったんじゃないかと心配してる。
もしかしたら無理に笑顔を作ってくれてるのかもしれない。
有「もー、令の奴に"有希と一緒に実家に帰りたーい"なんて言われたらさぁ。誰が断るかってんだよなぁ?」
令「やだぁ!有希ったらぁ!」
なんてまぶしい満面の笑み。
全然辛くはなさそうだ。
M「お昼ご飯まだでしょう?食べて行ってね!」
有「いただきまーす。」
実家に帰ったからって何かイベントがあるわけではない。
今回の帰省の流れを簡単に説明すると
1、実家に帰りたいから送っていけと令に脅され
2、俺と2人きりで車に乗りたくないから有希も連れて行こうという我がまま妹の意見が見事に聞き入れられた。
ただそれだけのこと。
・・・あれおかしいな。
俺って結構人気バンドのリーダーなんすけどね。
行くとこ行けば『きゃー』の一つや二つ言わせてんだぜ?
それなのにどうよこの酷い扱われ様。
可愛い妹に『お兄ちゃんと2人で車に乗りたくない。』なんて。
リアルにショック。
P「ご両親は元気?」
有「元気だと思いますよ。しばらく会ってませんが。世界には2人しか存在してないと思ってますからね、あの人達。」
M「今頃どこにいるのかしらぁ。」
有「さぁ、寒いのは嫌だとか言って暖かいとこに行ってんじゃないですかねー。」
昼飯に出されたツナマヨサンドを頬張りながら『沖縄か?』なんて呟く有希。
暖かい場所を求めて・・・渡り鳥か。
相変わらずフリーダムな人達だな。
有希の両親は一言で言うと-----まぁ変人だな。
常に新婚気分。
つまりラブラブ夫婦だ。
見てるこっちが恥ずかしくなる。
有希も両親のことでよくからかわれていた。
M「そういえば有希ちゃん、随分やせたんじゃない?いっぱい食べてね!」
P「そうだなぁ。若い女の子はダイエットが命っていうもんなー。」
有「----!痩せました!?や、やった・・・ちょっと前に体重が上昇気流に乗ってしまいましてダイエットしたんすよ!」
M「あらぁそうなのー??」
有「やったぁ!努力した甲斐があったなぁ。」
P「あははは!おじさんはもう少しぽっちゃりしてる方がいいなぁ。」
有「そ、そっかなぁー、へへ!」
時系列が噛み合っていない。
「そ、それより。今からどっか行くのか?」
最近、やっとぽっちゃり騒動が落ち着いてきたんだ。
変に刺激されてまたウォーキングに付き合わされたら堪らん。
とりあえず話題を変えよう。
P「今日はママとジムに行くんだよ。」
M「そうなのー。やっと予約が取れてね!有希ちゃんが来るのが分かってれば日にちずらせたんだけどなぁ。」
有「いえいえお構いなく、急に押しかけちゃったんで!それにまた来ます。」
P「毎日でもいいんだよ。」
M「そうそう!」
有「パピーマミーと呼ばせてください。」
なんて平和なのほほんトーク。
それにしても有希の奴、俺よりずっと家族の一員っぽくね?
誰か俺に話しかけてよ。
仲間に入れてくれよ。
まぁ・・・自分の親と仲良くする有希を見るのは悪い気はしない。
構ってもらえないのは寂しいけど、そこんとこは我慢してやろうと思う。
令「じゃぁ有希。また今度ねぇ!」
有「あぁ、今度はゆっくり家に遊びに来い。」
結局令は昼飯が済むと友達に会うとか言ってさっさと出かけてしまった。
帰りは送ってくれる奴がいるらしく『お兄ちゃんはいらない』と言われた。
軽く・・・
いや、激しくショックを受ける。
P「有希ちゃん、今度は泊まりに来ておくれよ。おじさんと晩酌しよう。」
有「いいっすね!楽しみー!」
M「一緒にご飯作ろうね~」
有「喜んで!」
車から身を乗り出して手を振りながら
パピー、マミーも揃ってジムに出発した。
え、ちょっと待って。
俺は?
だれか俺にまたねーとか挨拶してくれたっけ?
(・・・・・・)
あんまりじゃね?
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