SAKURA∞SAKU first

家族会議—–1 SAKURA∞SAKU first

「おはよーさーん。」
累「お、おぉ!」
純「お、おはよー。」
「・・・なんだよ2人とも。朝からどもりやがって。今日も変な奴らだな。」
累「・・・誰のせいだよ。」

 

リビングに行く途中、累と純君に会った。
累がボソッと呟くが聞こえないふり。

 

純「今日"も"ってなに、姫・・・」
「ん?」
累「今日はやけに起きるのが早いな。」
「あぁ、良く眠れたんだ。」
累「・・・そっか、それはよかった。」

 

昨日は停電で大変だった。

 

だが、意外にもぐっすり眠れて非常に気分爽快だ。

 

それに昨日のようにパニックの途中で意識が回復したのは初めてだったりする。

不幸中の嬉しいハプニングって言うのか?
この調子でトラウマ完全消滅を願う。

 

けど・・・

 

「あれ、なんだ?せっかく早起きしたのに私が最後か?」

 

リビングに入ると残りの3人も揃っていた。

 

真「早かったな。」
孝「・・・眠い。」
要「おはよ、有希ちゃん。」
「おはよーさん。」

 

(この3人が一緒・・・珍しいこともあったもんだ。)

 

軽く挨拶を交わし、毎朝の習慣。
100%ジュースをグラスに注ぐ。

 

「--っかぁ!やっぱ朝は100%だな!」
真「相変わらずのオヤジっぷりだな。」
要「まったく・・・」
「お前らも見習え。今からやらなきゃ立派な親父になれねぇぞ。」
要「え。」
真「・・・別になりたくねぇ。」
「強がるなよ。」
要・真「・・・・・。」
孝「・・・眠い。」

 

(うーん・・・)

 

私が早起きするのも天変地異の前触れかも知れないが・・・

 

なんだろうこの雰囲気。
皆さんの様子が激しくおかしいです。

 

何か用があるようには見えない。
なのにわざとらしく全員リビングに総集合。

変だ、変すぎる。

 

(まぁ、そうか・・・そりゃそうだよな。)

 

こいつらは昨日何が起こったのか分かんねぇんだもんな。

そりゃ気にもなるよな。
なるに決まってる。

 

(はぁ・・・)

 

実はパニックになってるときのことはあまり覚えてない。

 

遼から聞いたことはある。
それはそれは酷いもんらしい。

 

でも昨日は---

 

「あ、そういえば真樹・・・」
真「あ?」
「昨日はサンキューな。その、えっと・・・・・」
真「?」

 

なんて言えばいいんだあれは。

『抱擁』か?
『抱きしめる』ってのはなんか違うような

ちょっと刺激的すぎる気もするし・・・

 

「えーとその---抱っこ!抱っこしてくれてサンキュ!」

 

(えー・・・)

 

おいおい有希さん。
さすがに抱っこってのはないんじゃないの。

変な要素は無かったにせよ私らもう大人なんですぜ?

心の中で自分にダメ出し。

 

真「・・・・・・。」
要「だ、抱っこって・・・」
孝「ほう。あれは抱っこってヤツだったのか。」

 

肩でクツクツ笑う要とニヤニヤする孝。

さすがに今のは私の失言だ。

だが言ってしまったんだ。
もう無視するしかあるまい。

 

「真樹が近くにいてくれたからお前の匂いがしてさ。パニクってたんだけど・・・お前が近くにいるって分かったんだ。」
真「・・・気にすんな。いつでも抱いてやる。」
「・・・お前が言うとエロいな。」
真「そういう意味で言ってるからな。」

 

何入っちゃってんのこいつ。

さすが帝王。
朝から快調ですな。

 

「いーや、無視しよ。あ、孝もサンキューな!」
真「・・・・・・。」
要「有希ちゃーん。"無視しよ"って口に出てるよ。」
「あ、出てた?」

 

こりゃ失敬。
どうやら心の声が口から飛び出したらしい。

 

孝「で、なんだよ。」
「眠る前にぎゅってしてくれただろ?あれのおかげか良く眠れたんだ。」
孝「気にすんな。いつでも--」
「てめぇもエロいから止めろ。」
孝「何を今更。」

 

開き直るな。

 

真「なんで孝は"ぎゅっ"なんだよ。ていうか眠る前ってなんだ?」
孝「言えねぇなぁ。」
真「・・・てめぇ。」

 

別に言うほどのモンでもない。

ていうか孝・・・
なに勝ち誇った顔してんだ。

 

要「はいはい2人ともそこまでー。俺ら有希ちゃんに言っておかないといけないことがあるでしょうが!」
「え?」
要「純と累もこっちに座って。」
純「うん。」
累「分かった。」

 

(言っておかないといけないこと?)

 

2人がこっちにやってくる。

そしてキッチンテーブルには

やけに真剣な面持ちの住人共が勢揃い。

 

孝「お前も座れ。」
「・・・・・あぁ。」

 

そうだよな。

 

何事も無かったように
昨日のことをスルー出来るはずもねぇ。

 

(あーあ、嫌になっちまう・・・)

 

奴らと同じように席に着く。

 

そして異様な空気の中に突入した。