やっぱりエロス

やっぱりエロス 04 ~GAME








(はぁぁ-----ゲッソリ・・・)








現在午後5時15分

ようやく恐怖のアンティーク地獄から解放され、玲さんの車で走行中。







(やっと帰れる・・・)







薄暗くなった外の景色をボーっと見つめる。



長かった・・・
そして良くやった私。

名誉だってお釣りが出るくらい挽回できたはずだ。

帰ったらビールで祝杯しようと思う。







玲「透ちゃん、今日はありがとう。」
「いえいえ。」
玲「すごく助かった。」
「・・・。」







どうやら助かったらしい。







「それならまぁ・・・良かったですね。」
玲「うん、ありがとう。」
「・・・・・・・。」







キラキラリ・・・

そろそろ日も落ちるってのに、玲さんが笑うとなぜか車内が光り輝いた。







(なんだかなぁ・・・)







王子め、腹黒のくせにその笑顔はやはり反則だ。

可愛過ぎる。







玲「それでさ・・・」
「はい?」
玲「ついでにもう一箇所付き合ってもらいたいんだけど、ダメ?」
「え---」







も、もう一箇所ってまさか・・・

まさかのアンティーク4軒目!?







「あ、あの・・・ちなみにどちらへ?」







さすがにアンティークは無理。
もう食べられません。







玲「どちらへって、ホテルか俺の家。」
「・・・・・・は?」
玲「だからホテルか俺の家、どっちがいい?」
「・・・・・・・・。」







ちょうど赤信号で停まった車の中

柔らかな髪をサラリと流し
軽く首をかしげて

天使の笑顔で二択を迫る王子。





ていうか---







(ホテルor俺の家・・・?)







疲れのせいか笑顔のせいか、一瞬反応が遅れた。







だがすぐに身構えた。







そうだ、思い出せ。







どんなに笑顔が素敵だろうが
どんなに腹が黒かろうが

それ以前にこいつは










「エロス」と呼ばれる男。










「えーと、あの・・・せっかくですが自宅に帰ります。」
玲「・・・。」
「外も暗くなってきたし明日も仕事なんで。」
玲「やっぱり、そう言うと思った。」
「へ?」








さっきと一変。

今度はいたずらっぽく口角を上げる。








玲「今のは冗談。お腹すいちゃったし、今日のお礼もしたいからご飯食べに行こうよ。」
「・・・。」
玲「ダメ?」
「・・・。」








それって---本当に飯だけか?



最近の私は疑り深い。
もちろん君達のせいだ。







玲「ご飯に付き合ってくれたら忘れる。」
「へ?」
玲「薄情者の件は綺麗さっぱり忘れるから。」
「------。」







くそ、さすが腹黒・・・

ここでソレを出してくるのか。







「あーもう、分かりましたよ!付き合えばいいんでしょ付き合えば!」
玲「やった!実はお店予約してたんだよね。断られたらどうしようかと思った!」
「・・・。」







おいおい、全ては思惑通りってか?







どこまでも踊らされた気分。