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(はぁぁ-----ゲッソリ・・・)
現在午後5時15分
ようやく恐怖のアンティーク地獄から解放され、玲さんの車で走行中。
(やっと帰れる・・・)
薄暗くなった外の景色をボーっと見つめる。
長かった・・・
そして良くやった私。
名誉だってお釣りが出るくらい挽回できたはずだ。
帰ったらビールで祝杯しようと思う。
玲「透ちゃん、今日はありがとう。」
「いえいえ。」
玲「すごく助かった。」
「・・・。」
どうやら助かったらしい。
「それならまぁ・・・良かったですね。」
玲「うん、ありがとう。」
「・・・・・・・。」
キラキラリ・・・
そろそろ日も落ちるってのに、玲さんが笑うとなぜか車内が光り輝いた。
(なんだかなぁ・・・)
王子め、腹黒のくせにその笑顔はやはり反則だ。
可愛過ぎる。
玲「それでさ・・・」
「はい?」
玲「ついでにもう一箇所付き合ってもらいたいんだけど、ダメ?」
「え---」
も、もう一箇所ってまさか・・・
まさかのアンティーク4軒目!?
「あ、あの・・・ちなみにどちらへ?」
さすがにアンティークは無理。
もう食べられません。
玲「どちらへって、ホテルか俺の家。」
「・・・・・・は?」
玲「だからホテルか俺の家、どっちがいい?」
「・・・・・・・・。」
ちょうど赤信号で停まった車の中
柔らかな髪をサラリと流し
軽く首をかしげて
天使の笑顔で二択を迫る王子。
ていうか---
(ホテルor俺の家・・・?)
疲れのせいか笑顔のせいか、一瞬反応が遅れた。
だがすぐに身構えた。
そうだ、思い出せ。
どんなに笑顔が素敵だろうが
どんなに腹が黒かろうが
それ以前にこいつは
「エロス」と呼ばれる男。
「えーと、あの・・・せっかくですが自宅に帰ります。」
玲「・・・。」
「外も暗くなってきたし明日も仕事なんで。」
玲「やっぱり、そう言うと思った。」
「へ?」
さっきと一変。
今度はいたずらっぽく口角を上げる。
玲「今のは冗談。お腹すいちゃったし、今日のお礼もしたいからご飯食べに行こうよ。」
「・・・。」
玲「ダメ?」
「・・・。」
それって---本当に飯だけか?
最近の私は疑り深い。
もちろん君達のせいだ。
玲「ご飯に付き合ってくれたら忘れる。」
「へ?」
玲「薄情者の件は綺麗さっぱり忘れるから。」
「------。」
くそ、さすが腹黒・・・
ここでソレを出してくるのか。
「あーもう、分かりましたよ!付き合えばいいんでしょ付き合えば!」
玲「やった!実はお店予約してたんだよね。断られたらどうしようかと思った!」
「・・・。」
おいおい、全ては思惑通りってか?
どこまでも踊らされた気分。
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