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「-----おぉ!」
まず目に飛び込んできたのはどーんと構えるでっかい扉。
そして扉を開けると・・・
そこは夢のヨーロッパワールドだった。
「こりゃすごい・・・」
『うっかり大公開!ヨーロッパの古城展!』なんてどんだけふざけたネーミングかと思った。
だが適当な名前とは裏腹に、古城展は家具や内装を見事に再現した本格的なものだった。
「プリンセスにでもなった気分だなぁ。」
天井には宝石を散りばめたような輝くシャンデリア
床には複雑な模様の上質なじゅうたん
あまりにもきらびやかなお姫様空間に、ついつい気分も舞い上がってしまう。
「あ!玲さん玲さん!そっちは寝室の間だそうですよ!」
玲「寝室の間かぁ・・・あ、透ちゃん見てよあのベッド。すっごい豪華だね。」
「ほんとだ。ていうかすっげぇでかい。中心まで移動するのが大変そう。」
玲「確かに・・・きっと端っこで寝てたんじゃない?」
「なるほどね。あ!アレはなんだ!?」
玲「え?どれどれ?」
(ちょっとすみませんよー。)
日曜だからか。
古城展はなかなかの賑わいだ。
家族連れやカップルの間をすり抜け先へ進む。
「玲さん早く早く!」
玲「待ってよ透ちゃん。」
(やば、なんだか楽しいかも・・・)
さっきまで全く乗り気じゃなかったのに展示品を見てるうちにすっかり楽しくなってた私。
ま、それも仕方あるまい。
こんな私も一応乙女所属。
城やら姫やら並べられて嫌な気はしない。
むしろウキウキワクワク有頂天だ。
玲「うわぁ、甲冑(カッチュウ)だ。なんだか迫力あるね。」
「そうですね。ていうかマジでこんなの着けて戦ってたのか?重くて動けなさそう。」
玲「でもかくれんぼには使えそうだよね。」
「おぉ!ナイスアイデア!」
ここはパーティーホールらしい。
だだっ広い部屋に大きなテーブル。
そして壁際には迫力満点の展示品がずらりとふんぞり返っている。
目の前の甲冑もしかり。
是非とも香織や直樹に見せてやりたい。
「ここって写真禁止なんですかね。」
玲「写真?えーと---あ、OKみたいだよ。」
「やった!それじゃ玲さん、宜しくお願いします。」
玲「えー、なんで一人で写るの?俺も透ちゃんと一緒に写りたい。」
「後でね。」
玲「もー。」
渋る玲さんに携帯を渡す。
そして強そうな甲冑さんにちょっと失礼
肩を組むフリして・・・
はいチーズ。
玲「あははっ!なにそのポーズ。変なのー。」
「普通に撮ったら面白くないでしょ?はい、次は玲さんね。」
玲「え、俺はいいよ。」
「ここまで来てなに言ってんですか!せっかくだから、ほらほら!」
玲「・・・。」
「?」
玲「・・・ふふっ」
「へっ?」
玲さんの腕を引くとなぜか突然笑われた。
一体何事だ?
「・・・どうしたんですか急に。」
玲「良かった。」
「え?」
玲「やっと笑ってくれたから。」
「は?」
わ、笑ってくれた?
玲「やっぱり・・・透ちゃんは笑ってる方が可愛いね。」
(え・・・)
一瞬、目を疑った。
なぜなら我々を中心に
世界が光り輝いたような気がしたからだ。
ぽん、と私の頭を撫で
軽く口角を上げて目を細める玲さん。
ほんの少し笑っただけなのに
なぜか背景にキラキラ輝く花が見える。
これはまさかアレだろうか。
噂に聞くあの有名な・・・
the・王子スマイル?
玲「透ちゃんどうしたの?なんだか顔が赤いけど。」
「え・・・」
玲「もしかして"可愛い"に照れちゃった?」
「可愛---?」
玲「透ちゃんって意外に女の子っぽいんだね。」
「い、いやそうじゃなくて・・・」
玲「ははっ、やっぱり可愛い。」
「え、えーとその・・・ちょっとお手洗いに行ってきますよ!」
勘違い玲さんを放ってお手洗いへ向かった。
背中にクスクス笑う声がぶつかるが無視。
思い切りフルスピードで早歩く。
---ガチャバタン
「・・・・・ふ、ふぅー」
お手洗いに駆け込み思わずため息。
ドアに背を預けると一気に力が抜ける。
「おいおい・・・」
なんだったんだアレは
何やってんだあの人
(ド、ドキドキする・・・)
初対面の時も思ったが、玲さんは良く笑う。
中には薄っぺらい作り笑いも混ざってるが
時々とっても素敵な笑顔を見せる。
不純物が一切含まれていないというか
汚れを知らないというか
とにかくその笑顔は
非常に、可愛い。
「ど、どうしちゃったんだ私は・・・」
笑顔が可愛いだなんて、相手は男だぞ?
しかも同い年の大人の男に対して・・・
だが困った。
なぜかドキドキが治まらない。
先に断っておくがトキめいてるわけじゃないぞ。
間違っても玲さんを好きになりそうとかそういう種類のドキドキではない。
ただ・・・
あの笑顔を見ると心がくすぐったいというか
こっちまでニヤけてしまうというか
とにかく---
無性に頭を撫で回したくなる。
「はぁ・・・と、とりあえず行こう。」
いつまでもここにいるわけにもいかない。
とにかく、今日は出来るだけ王子を笑わせないよう気をつけよう。
今度アレを見せ付けられたら無意識に頭に手が伸び--
玲「あ!透ちゃん!」
「------。」
お手洗いを出た瞬間
正面から満面スマイル爆弾を食らった。
ゆらり・・・
無意識に頭へ伸びるマイ右手。
すかさず左手で掴んだ。
玲「落ち着いた?もう大丈夫?」
「い、いやぁ、今のはかなり効いた---」
玲「さっきはからかったりしてごめんね?謝るから・・・離れないでちゃんと傍にいて?」
「・・・は?」
玲「透ちゃんがいてくれないと困る。」
「困る?」
玲「うん。」
なんで。
玲「頼むから、傍にいてね?」
「・・・。」
(や、やめろー・・・)
「困る」の理由は言わず再び微笑む玲さん。
その笑顔も普通に激カワ。
釣られて頬が緩みそうになる。
「・・・・・。」
玲「透ちゃん?」
「・・・努力する。」
玲「ありがとう。」
とにかく
名誉挽回と称したデートはスタートをきった。
---適当に付き合って適当に終わらせる
もちろんそのつもりだったのに
王子の笑顔にクラッときたり
無意識に手が伸びてしまったり
前半戦から思わぬ不安要素も発生。
(こんなでこの先大丈夫なのか・・・?)
そんな私の嫌な予感は---
色んな意味で見事に的中する。
玲「さぁ、本日のデートコース。2軒目の発表でーす!」
「・・・。」
え。
「マル秘。フランス貴族が愛したアンティーク博物館?」
玲「うん。」
「またアンティークですか?」
玲「楽しそうでしょ?」
一軒目のうっかり古城展。
ここではたっぷりアンティークを満喫。
正直、すごく楽しかった。
年甲斐もなく姫気分まで味わった。
そして次に連れてこられたのは博物館。
なかなか堅苦しい雰囲気だ。
で、内容はなんと・・・
なぜか再びアンティーク。
玲「やっぱり素材にこだわらないとダメか。てことは特注になるなぁ・・・」
博物館に入ったとたん何かの資料に夢中になる玲さん。
ていうか素材って何。
特注ってなんだ。
玲「透ちゃん、おいで?」
「・・・これ見るんですか?」
玲「うん。」
「・・・。」
資料館でよくあるアレ。
ミニシアターにやってきた。
上映内容は「フランス貴族の食卓」
正直言ってあまり興味が沸かない。
玲「・・・・・。」
「・・・・・。」
フランス貴族にでもなるつもりなのか。
隣を見ると真剣な顔で画面を見ている玲さん。
意味が分からない。
「フランス貴族の食卓」は20分程度で終わった。
しかしなんと、それからたっぷり1時間半
我々はアンティーク博物館をグルグル見学し続けた。
(えー・・・)
リアルに意味が分からない。
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