有「でも・・・量が減ったのはいいことだよな?」
遼「あぁ。そのまま減り続ければいい。」
有「・・・飲まなくても寝れるようになるかな。」
遼「なる。」
有「・・・そっか。」
いつになく弱々しく見える姉ちゃん。
そして労わるように返事を返す遼さん。
あぁそっか…
遼さんも姉ちゃんのこと・・・
まったく、罪な姉ちゃんっすね。
「い、いつから友達なんすか?」
これ以上、姉ちゃんの悲しそうな顔を見たくないと思った。
自分まで悲しくなるし
それにこれ以上気持ちが揺れると変な勘違いしそうなんで・・・
有「いつから・・・・遼とは高校から一緒でさ。で、大学も一緒だったんだ。」
遼「そうそう。考えればマジで長いな。」
姉ちゃんの顔から憂いが消える。
うん。
やっぱりそういう顔の方が似合ってるっすよ。
有「今は落ち着いてくれたけどさぁ。こいつ、すっげぇ悪ガキでよー。」
何を思い出したのか姉ちゃんがクスクス笑い出した。
遼「こらこら変なこと言うなよ。仁君よ弟になってくれ大計画、俺は諦めてないんだからな。」
有「ん?」
遼「嫌われちゃったら店に来づらくなるじゃん。」
有「そりゃ大変だ。まぁ、ヤンチャだったよなぁお前は。」
怖そうには見えない遼さん。
でもヤンチャだったんだろうなーと思う。
遼「可愛いヤンチャ坊主ってことで紹介してくれよ。」
有「今更かぁ?」
何を思い出してるんだろう。
2人にしか分からない過去を見つめて・・・・
なんかいいっすね。
2人ともいい顔してますよ!
有「それよりお前、まだ結婚しねぇの?」
突然…
姉ちゃんがぶっ飛んだことを言い出した。
遼「・・・しねぇな。相手いないし。」
姉ちゃん・・・
有「お前、ずっと女作らねぇけど・・・もしかして女嫌いかなんかか?」
姉ちゃん
遼「そんなわけないでしょー。俺、女の子大好きよ。」
有「ふぅん。でも高校・・・・何年の時だったか。それ以来お前が女の子連れてるの見てないな。」
遼「そうだろうなぁ。」
姉ちゃんっ!!
有「なんで--」
「男には色々あるんすよ!!ねっ遼さん!!」
遼「・・・そうそう。お前も一応女だから分かんねぇよ。」
有「んだと…こういう時だけ女扱いすんなよ。」
姉ちゃん・・・
有「ま、いいや。ちょっとおトイレさんに行って来る。」
遼「あぁ。」
(あぁぁぁぁぁ・・・)
日頃からこういうやり取りを見てる俺の気持ちも察して欲しい。
専ら男性陣に対して、激しく同情します。
遼「ありがとね、仁君。」
「へ・・・?」
遼「助けてくれて。」
「え・・・」
カウンターに頬杖着く遼さん。
そしてニッコリ笑顔をもらった。
遼「仁君の思ってる通りだよ。俺、あいつが好きなの。」
「-----!」
ス、ストレートっすね。
遼「でもね、気持ちを伝えるつもりはまだないからさ。このことはシークレットでお願いします。ヨロシクね。」
「は、はい。」
遼さん。
本当に不思議な空気の人だ。
簡単に言えば姉ちゃんを男にしたような人?
そのまんまか。
とにかく…
遼さんってすっごく深い優しさを持ってるんだと思う。
---あいつが好きなの
そう言った後
ドキッとするくらい優しい表情を浮かべた。