「やっほー、来たぞー。」
「あ、いらっしゃいませ!」
ども。
再び仁っす。
2TOPと出勤してから2日後。
今日も姉ちゃんがやってきました。
「どーもー。」
「え!い、いらっしゃいませ!」
だ、誰…
このカッコいいお兄さん…誰っすか。
有「この前言ってただろ?こいつが遼。」
遼「遼でーす。ヨロシク。」
「じ、仁です!こちらこそヨロシクっす!」
ちょっとちょっと…
姉ちゃんの周りはイケメンフィーバーっすか?
それにしても今回は随分若いツバメを連れてきたんすね。
遼「仁君ってカワイイな。累と同じくらい?」
「えっ?は、はい。同い年です。」
カワイイって…
なにを言ってるんだ。
遼さんも同じくらいなんじゃ・・・
遼「仁くん、俺の弟になってよ。累がなかなか折れてくれないからさぁ。」
有「バーカ累は私のモンだ。勝手に手ェ出すんじゃねぇよ。それに仁は私の下僕だ。お前にはやらん。」
遼「えー、どっちかちょうだい。」
有「ダメ。」
ちょ、ちょっとタンマ。
「あ、あのぉ・・・遼さんって何歳なんすか?」
遼「俺?有希と同じ。」
「え・・・・えぇっ!?」
遼「なにそのリアクション。喜んでいいの、ダメなの。」
い、いやいやいやいや!
有「遼もオヤジだからなぁ。」
遼「お前も同い年じゃん。今のは自分に言ったのと同じだぞ。」
有「私は久しく年をとってないからな。」
遼「そうなのか。すげぇな。」
有「すげぇだろ。」
すごい。
何がすごいってそりゃ・・・
色々すごい。
遼「それにしてもいい店だな。」
有「だろー?いいとこ見つけちゃった。」
遼「俺も来よ。」
有「おー、来い来い。」
(似てる・・・)
遼さんには会って間もないですが・・・
この二人、絶対同類だ。
どこが似てるかって・・・
この適当そうな空気。
エアーっすよ。
「「 お疲れー。かんぱーい。」」
ハモってるし。
有「そうそう、ここ、あいつらもよく来るぞ。」
遼「あいつらって住人の皆様?そりゃ来るだろうよ。」
有「え、なんで。」
遼「だって・・・お前、良くここに来るんだろ?」
有「あぁ。」
遼「じゃああいつらも来るだろう。」
有「は?意味が分からん。」
遼「だろうなぁ。」
有「・・・遼のくせに。分かったようなこと言うな。ムカつく。」
遼「ムカつけムカつけ。」
有「ふん。」
うわ・・・
遼さんってボーっとしてるようで実は鋭い人だったりして。
遼「今日は?誰か来んの?」
有「分かんねぇ。今日は昼間から外に出てたからよ。後が怖いんで書置きはしてきたけど。」
遼「そ、じゃぁ後から何人か来そうだな。」
何を想像したのか、クスクス笑い出す遼さん。
有「まったく・・・来なくていいってのに。」
遼「なんで。あいつら楽しい奴らじゃん。俺は好きだけどね。」
有「じゃぁお前があの家に住めよ。交代してください。」
遼「えー、それは勘弁。あのオーラの中で生活できるほど俺は逞しくありません。」
有「そうか。じゃあ仕方ねぇな。」
遼「うん。」
(なにそれ・・・)
やはりこの2人って似てる。
流れる空気がふわふわーって感じだ。
「あ、あのぉ・・・・・・」
遼さんになら色々質問してもいいだろうか。
この前の2TOPには話しかける勇気もタイミングもなかったんで・・・
そろーっと右手を上げてみる。
遼「んー?なんですか仁君。先生に何でも質問してみなさい。」
有希さんと同じノリ。
さすが同類。
「あの、遼さんと有希さんはどういう・・・」
遼「俺達?えー、俺達ってどういう関係なんだ?」
有「私に聞くのか?お前先生なんだろ。生徒には誠意を持って答えなさい。」
遼「校長先生?」
有「そうだ。私は校長だ。」
なんすかそれ。
打ち合わせをして出勤してらっしゃったんでしょうか。
遼「あのねぇ仁君。俺らは実は、友達です。」
「・・・・・・・・・・。」
なんて普通の回答。
「そ、そうっすか。」
遼「そうだよ。とっても付き合いが長いんです。」
有「そうだな。長いな。」
そう言いながら今日もがんがんスピードを上げて酒を煽っていく姉ちゃん。
遼「そういえばお前。最近飲む量減ったよな。」
え、減ったの!?
これで!?
有「そうか?弱くなっちまったのかな。」
遼「少しは弱くなった方がいい。飲む量が少なくて悪いことなんかないだろ。」
有「うん、そうだよな・・・」
(え・・・)
なに、なに・・・?
姉ちゃん・・・
なんでそんな顔すんの?
今にも消えてしまいそうな
自嘲を含んだ小さな笑み
そんなの、今まで一度も見たことが無い。
なんだか・・・
悲しくなる。