同類

同類—01 SAKURA∞SAKU first

「やっほー、来たぞー。」
「あ、いらっしゃいませ!」

 

ども。
再び仁っす。

 

2TOPと出勤してから2日後。
今日も姉ちゃんがやってきました。

 

「どーもー。」
「え!い、いらっしゃいませ!」

 

だ、誰…

 

このカッコいいお兄さん…誰っすか。

 

有「この前言ってただろ?こいつが遼。」
遼「遼でーす。ヨロシク。」
「じ、仁です!こちらこそヨロシクっす!」

 

ちょっとちょっと…
姉ちゃんの周りはイケメンフィーバーっすか?

それにしても今回は随分若いツバメを連れてきたんすね。

 

遼「仁君ってカワイイな。累と同じくらい?」
「えっ?は、はい。同い年です。」

 

カワイイって…

なにを言ってるんだ。
遼さんも同じくらいなんじゃ・・・

 

遼「仁くん、俺の弟になってよ。累がなかなか折れてくれないからさぁ。」
有「バーカ累は私のモンだ。勝手に手ェ出すんじゃねぇよ。それに仁は私の下僕だ。お前にはやらん。」
遼「えー、どっちかちょうだい。」
有「ダメ。」

 

ちょ、ちょっとタンマ。

 

「あ、あのぉ・・・遼さんって何歳なんすか?」
遼「俺?有希と同じ。」
「え・・・・えぇっ!?」
遼「なにそのリアクション。喜んでいいの、ダメなの。」

 

い、いやいやいやいや!

 

有「遼もオヤジだからなぁ。」
遼「お前も同い年じゃん。今のは自分に言ったのと同じだぞ。」
有「私は久しく年をとってないからな。」
遼「そうなのか。すげぇな。」
有「すげぇだろ。」

 

すごい。

何がすごいってそりゃ・・・
色々すごい。

 

遼「それにしてもいい店だな。」
有「だろー?いいとこ見つけちゃった。」
遼「俺も来よ。」
有「おー、来い来い。」

 

 

(似てる・・・)

 

 

遼さんには会って間もないですが・・・

この二人、絶対同類だ。

どこが似てるかって・・・

この適当そうな空気。
エアーっすよ。

 

「「 お疲れー。かんぱーい。」」

 

ハモってるし。

 

有「そうそう、ここ、あいつらもよく来るぞ。」
遼「あいつらって住人の皆様?そりゃ来るだろうよ。」
有「え、なんで。」
遼「だって・・・お前、良くここに来るんだろ?」
有「あぁ。」
遼「じゃああいつらも来るだろう。」
有「は?意味が分からん。」
遼「だろうなぁ。」
有「・・・遼のくせに。分かったようなこと言うな。ムカつく。」
遼「ムカつけムカつけ。」
有「ふん。」

 

うわ・・・
遼さんってボーっとしてるようで実は鋭い人だったりして。

 

遼「今日は?誰か来んの?」
有「分かんねぇ。今日は昼間から外に出てたからよ。後が怖いんで書置きはしてきたけど。」
遼「そ、じゃぁ後から何人か来そうだな。」

 

何を想像したのか、クスクス笑い出す遼さん。

 

有「まったく・・・来なくていいってのに。」
遼「なんで。あいつら楽しい奴らじゃん。俺は好きだけどね。」
有「じゃぁお前があの家に住めよ。交代してください。」
遼「えー、それは勘弁。あのオーラの中で生活できるほど俺は逞しくありません。」
有「そうか。じゃあ仕方ねぇな。」
遼「うん。」

 

(なにそれ・・・)

 

やはりこの2人って似てる。
流れる空気がふわふわーって感じだ。

 

「あ、あのぉ・・・・・・」

 

遼さんになら色々質問してもいいだろうか。

この前の2TOPには話しかける勇気もタイミングもなかったんで・・・

そろーっと右手を上げてみる。

 

遼「んー?なんですか仁君。先生に何でも質問してみなさい。」

 

有希さんと同じノリ。
さすが同類。

 

「あの、遼さんと有希さんはどういう・・・」
遼「俺達?えー、俺達ってどういう関係なんだ?」
有「私に聞くのか?お前先生なんだろ。生徒には誠意を持って答えなさい。」
遼「校長先生?」
有「そうだ。私は校長だ。」

 

なんすかそれ。
打ち合わせをして出勤してらっしゃったんでしょうか。

 

 

遼「あのねぇ仁君。俺らは実は、友達です。」

「・・・・・・・・・・。」

 

 

なんて普通の回答。

 

「そ、そうっすか。」
遼「そうだよ。とっても付き合いが長いんです。」
有「そうだな。長いな。」

 

そう言いながら今日もがんがんスピードを上げて酒を煽っていく姉ちゃん。

 

遼「そういえばお前。最近飲む量減ったよな。」

 

え、減ったの!?
これで!?

 

有「そうか?弱くなっちまったのかな。」
遼「少しは弱くなった方がいい。飲む量が少なくて悪いことなんかないだろ。」
有「うん、そうだよな・・・」

 

 

(え・・・)

 

 

なに、なに・・・?

 

姉ちゃん・・・
なんでそんな顔すんの?

 

今にも消えてしまいそうな
自嘲を含んだ小さな笑み

 

そんなの、今まで一度も見たことが無い。

 

なんだか・・・

 

悲しくなる。