ビバ!京都(演習)!!

ビバ!京都(演習)!! 03 SAKURA∞SAKU second


---純---






(綺麗・・・)






何故か空にお猪口をかざす姫。


うん、多分変なこと考えてるんだろうけど---

月明かりに照らされて遠くを見る姫はとっても綺麗で

まるで本物の姫みたい。






有「そうだ。」

「え?」

有「今年の正月は私も仲間に入れてくれよ。」

「帰らないの?」

有「あぁ。」






突然思い出したかのようにこっちを見る。

正月帰らないって・・・・

姫もワケ有り家族ってこと?






有「驚かないくれよ?実は私の両親はな---」

「・・・・・・。」





有「・・・変人なんだ。」

「・・・そうだろうね。」






変人って、今更だよね。

だって姫のパパとママでしょ?

改めて言われなくても分かる気がする。






有「仲はいいんだけどさ。良すぎるのも問題っていうか。」

「どういう意味?」

有「ラブラブ過ぎて子供ほったらかし夫婦っていうの?母ちゃんなんか『お父さんみたいな人と結婚しなさぁい』ってのが口癖なんだぞ。」

「・・・その状況と姫が融合しない。」






そっち方面の変人か。

姫は全然恋愛色がないから・・・

両親と結婚の話をする姫なんて想像すらできない。






有「まったく、うざくてたまんねぇよ。だから正月なんて絶対家にいない。絶対二人で旅行行ってる。」

「面白い理由で帰らないんだね。」

有「小さい頃は深刻な悩みだった。」

「ははっ。なるほど。」






姫の小さい頃か。

見てみたいな。






有「だからさ。今年の正月は私も寂しくない。」

「!」






片膝立てて。

片手にはお猪口持って。

まるでどっかのカッコいいお兄さん。

なのに---







有「皆や純君と一緒にいられて嬉しい。最高の年明けになりそうだな。」

「・・・・・・。」






少し首を傾げて

軽く微笑みながら俺を見る綺麗な瞳。





場所の雰囲気もあるのかもしれない。

もしかしたら俺の目が錯覚を起こしたのかもしれない。

でも・・・







(・・・・・・う、ゎ・・・)







あまりにも女の子な姫を突きつけられて

心臓が、ドカンと鳴った。






(なんで・・・)






なんでそんなに可愛いの?

なんでこんなに・・・・







愛しいと思うんだろう。







有「うー、やっぱ寒いな。そろそろ中に戻るか?」






ぎゅっとお酒を喉に流し込む姫。

やっぱり外は寒かったのか、よいしょと腰を上げようとする。






その姫の手を






迷わずに引いた。







「う-----わっ!?」






そりゃあビックリするよね。

姫は体勢を崩して倒れ込んでくる。

そしてそのまま---




腕の中に閉じ込めた。






(・・・・・・細い。)






初めてかな・・・

こんな風に姫を抱きしめるのって。




触れたかったり
キスしたかったり

そういう気持ちはもちろんあるけど

それを押し付けようなんて思ってなかった。






でも今は






有「----ん!?」







唇も

思考も

温かさも







全部自分のものにしたい。








ゆっくり時間を共有できればいい

姫と自分の距離を急に引き裂かれるようなことは起こらない

そう思ってたけど---



ライブの時に現れた姫の昔の彼。



直接対面したわけじゃなかったけど

もやもやするような
締め付けられるような

とにかく・・・

嫌だった。







----『嫉妬』







多分、それなんだと思う。





あの人は姫に触れたことがある。

姫の特別になったことがある。

姫の心を手に入れたことがある。





---イライラする





この感情をどこにぶつければいいのか分からない。

そしてその気持ちと一緒に大きくなったモノ。






姫に対する『独占欲』






触れたくて
閉じ込めたくて

求められたくて

堪らない---






「・・・・・・っ・・・ぁ・・・」






(あー・・・すっごく気持ちいい・・・)






姫の唇はすごく甘くて、少し顎を上げると薄っすらと唇が開く。

そして逃げようとする姫を捕まえて、ゆっくり舌を絡ませる。






有「・・・・・ぁ・・・・ん・・・」






激しく攻め立てるキスも好きだけど。

今は繊細に、ゆっくりと繋がっていたい。






「姫・・・ちゃんと、息して・・・」

有「っ・・・じゅ、ん・・・!」






なんとか呼吸できたのを確認して、再び深く絡ませていく。






有「----待・・・・っ」

「・・・ダメ。」






家じゃこうはいかないだろ?





だから今だけ






もう少し、このままでいさせて・・・