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---純---
(綺麗・・・)
何故か空にお猪口をかざす姫。
うん、多分変なこと考えてるんだろうけど---
月明かりに照らされて遠くを見る姫はとっても綺麗で
まるで本物の姫みたい。
有「そうだ。」
「え?」
有「今年の正月は私も仲間に入れてくれよ。」
「帰らないの?」
有「あぁ。」
突然思い出したかのようにこっちを見る。
正月帰らないって・・・・
姫もワケ有り家族ってこと?
有「驚かないくれよ?実は私の両親はな---」
「・・・・・・。」
有「・・・変人なんだ。」
「・・・そうだろうね。」
変人って、今更だよね。
だって姫のパパとママでしょ?
改めて言われなくても分かる気がする。
有「仲はいいんだけどさ。良すぎるのも問題っていうか。」
「どういう意味?」
有「ラブラブ過ぎて子供ほったらかし夫婦っていうの?母ちゃんなんか『お父さんみたいな人と結婚しなさぁい』ってのが口癖なんだぞ。」
「・・・その状況と姫が融合しない。」
そっち方面の変人か。
姫は全然恋愛色がないから・・・
両親と結婚の話をする姫なんて想像すらできない。
有「まったく、うざくてたまんねぇよ。だから正月なんて絶対家にいない。絶対二人で旅行行ってる。」
「面白い理由で帰らないんだね。」
有「小さい頃は深刻な悩みだった。」
「ははっ。なるほど。」
姫の小さい頃か。
見てみたいな。
有「だからさ。今年の正月は私も寂しくない。」
「!」
片膝立てて。
片手にはお猪口持って。
まるでどっかのカッコいいお兄さん。
なのに---
有「皆や純君と一緒にいられて嬉しい。最高の年明けになりそうだな。」
「・・・・・・。」
少し首を傾げて
軽く微笑みながら俺を見る綺麗な瞳。
場所の雰囲気もあるのかもしれない。
もしかしたら俺の目が錯覚を起こしたのかもしれない。
でも・・・
(・・・・・・う、ゎ・・・)
あまりにも女の子な姫を突きつけられて
心臓が、ドカンと鳴った。
(なんで・・・)
なんでそんなに可愛いの?
なんでこんなに・・・・
愛しいと思うんだろう。
有「うー、やっぱ寒いな。そろそろ中に戻るか?」
ぎゅっとお酒を喉に流し込む姫。
やっぱり外は寒かったのか、よいしょと腰を上げようとする。
その姫の手を
迷わずに引いた。
「う-----わっ!?」
そりゃあビックリするよね。
姫は体勢を崩して倒れ込んでくる。
そしてそのまま---
腕の中に閉じ込めた。
(・・・・・・細い。)
初めてかな・・・
こんな風に姫を抱きしめるのって。
触れたかったり
キスしたかったり
そういう気持ちはもちろんあるけど
それを押し付けようなんて思ってなかった。
でも今は
有「----ん!?」
唇も
思考も
温かさも
全部自分のものにしたい。
ゆっくり時間を共有できればいい
姫と自分の距離を急に引き裂かれるようなことは起こらない
そう思ってたけど---
ライブの時に現れた姫の昔の彼。
直接対面したわけじゃなかったけど
もやもやするような
締め付けられるような
とにかく・・・
嫌だった。
----『嫉妬』
多分、それなんだと思う。
あの人は姫に触れたことがある。
姫の特別になったことがある。
姫の心を手に入れたことがある。
---イライラする
この感情をどこにぶつければいいのか分からない。
そしてその気持ちと一緒に大きくなったモノ。
姫に対する『独占欲』
触れたくて
閉じ込めたくて
求められたくて
堪らない---
「・・・・・・っ・・・ぁ・・・」
(あー・・・すっごく気持ちいい・・・)
姫の唇はすごく甘くて、少し顎を上げると薄っすらと唇が開く。
そして逃げようとする姫を捕まえて、ゆっくり舌を絡ませる。
有「・・・・・ぁ・・・・ん・・・」
激しく攻め立てるキスも好きだけど。
今は繊細に、ゆっくりと繋がっていたい。
「姫・・・ちゃんと、息して・・・」
有「っ・・・じゅ、ん・・・!」
なんとか呼吸できたのを確認して、再び深く絡ませていく。
有「----待・・・・っ」
「・・・ダメ。」
家じゃこうはいかないだろ?
だから今だけ
もう少し、このままでいさせて・・・
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