ビバ!京都(演習)!!

ビバ!京都(演習)!! 01 SAKURA∞SAKU second






「そういえば、純君って実家に帰ったりしてんの?」

純「実家?もう何年も帰ってないよ。」

「え、何年も?いいのか?」






親は心配しねぇのか?

なんだか言いにくい事情はあるみたいだが・・・

たまには顔とか見たいもんなんじゃねぇの、お互いに。






純「あの人は俺が何してても気にしないし気付きもしないよ。」






あの人ってのは・・・・父ちゃんか?






純「それにあっちには本妻の子がいるから面倒くさいんだ。」

「本妻の子・・・」






内容が現代チックじゃありませんな。

一昔前の昼ドラ的な話だ。






「・・・・・寂しくないか?」

純「寂しくないよ。それに、累は時々帰るけど要と真樹と孝も年行事で帰ることないし。正月なんかもずっとあいつらと一緒。」

「そ、そうか。」






桜館の皆さん。

そういうところは家族なんすね。

共通点はイケメンってとこだけじゃなかったのか。






純「それに、今は姫もいるしね。全然寂しくない。」

「えっ?」






綺麗な微笑みを頂きました。

やめろ。
君は美しすぎます。






純「俺、姫が桜館に来てくれて本当に良かったって思ってる。神様とか信じたこと無いけど、これだけは感謝してもいいかな。」

「そ、そうか?」

純「うん。」






随分可愛いこと言ってくれるじゃないの。

面と向かって言われるとすっげぇ照れる。






「・・・私もあの時管理人になって良かったって思ってるぞ。あ、私って管理人だったな。今度住人に変更してもらおう。全然仕事してねぇもんな。」

純「ははっ。別にいいじゃん。」

「そ、そっかな。へへ。」






ほのぼの会話を楽しんでいると、ついにお料理が登場。

これまたビックリするくらい凄いのが出てきた。

どうやって手をつけたらいいのか分からない。






純「姫、それ貸して?」

「これか?」






奇妙な料理が乗った皿を渡す。






純「はい、このまま食べていいよ。」

「え、あ、ありがと。」






どうやら殻・・・・殻なのかあれは。

とにかく食べやすいようにしてくれた。

やっぱり王子は優しい。






「----!!むっ、むむぅー!」

純「美味しいってこと?」

「むむむー!!」

純「あははっ」






な、なんすかこの食べ物はっ!?

なんとか伝えたい!

伝えたいんだが・・・

食に対するボキャブラリーが足りませぬ!

とにかく-----う・ま・い。






「こ、これが本物の和食!?知らなかった!」

純「大げさだなぁ。でも美味しいでしょ?」

「美味しいって言葉でまとめたらいけないような気がする。」

純「店の人が聞いたら喜ぶよ。」






クスクス笑いながらご馳走を綺麗に食していく王子。

慣れてるんだろうな、こういう店。

似合ってるし。






「これは?どうやって食べればいい?」

純「これはね-----」







純君に教えてもらいながら心行くまで料理を堪能した。

マジで---マジでマジで美味かった。

一生ありつけないかもしれん。
この感動を絶対に忘れまい。






純「そうだ。お酒飲む?」

「・・・日本酒、頂とうござる。」

純「いいねー。雰囲気にぴったり。」

「だろ?でさ。あっちで飲もう。」






指差した先。

縁側って言っちゃっていいのか?

それらしきとこ。




ちょっと寒いけど。

この雰囲気、思い切り堪能したいでしょー。






純「いいよ。でもちゃんと上着着てね。風邪引いたら大変。」


「えー。嫌だ。コート着て酒盛りなんて興醒めだ!」

純「もー、それじゃ寒くなったらちゃんと着るんだよ?」

「了解。」






時代劇に出てくるような酒が到着しました。

やばい。やばいっすよこのセット。

お盆に乗っけて庭の方へ向かう。






「うわぁ。やっぱ素敵だなこの庭。やば!月も出てんじゃん!」

純「ほんとだ。姫、寒くない?」

「大丈夫だ!寒さなんか感じません。」

純「それならいいけど。」






人それぞれ惹かれる物や雰囲気は違うんだろうが。

私は無性に日本風の空気に惹かれてしまうのだ。

前世も絶対日本人だな。


まぁ、お姫さんじゃないことは確かだけどな。

女性らしさが欠落し過ぎている。

良くて善良な農民Aってとこだろうか。






純「ここに座りなよ。」

「ありがと。」






木造の縁側にそのまま座りたかったのだが、それじゃ寒すぎだろということで座布団を拝借してきた。






「ではでは殿。ぐーっとやってくだされ。」

純「なにそれ。悪代官みたいじゃん!」

「あははー!確かに!」






時代劇の見すぎだな。

いかんいかん。

でも・・・






(なんだか落ち着くなぁ・・・)






白く消えていく息も

月明かりに薄暗く照らされる庭も

星がキラキラ輝く空も

全てが、綺麗だ。






(ジャーパニーズ万歳。)





とりあえずお猪口を上げて感謝した。