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ライブから1ヶ月がたちました。
なんだかんだ言って成功に終わったらしい。
そりゃぁ良かった、うん。
純「姫、こっちも買おうね。」
「なんでも買っちゃう~!」
そして現在、私はすこぶる機嫌がいい。
それは何故か。
そう、それは何故か!!
京都旅行の日取り(仮予定)が決まったからっす。
純「ほらほら動かないで。」
「どうだ?」
純「うーん、似合い過ぎて困る!」
「え、そ、そう?」
『せっかくの旅行なんだから可愛い格好して行こうね』
という純君の言葉を素直に聞き入れ、今日はいつものように二人でお買い物なのだ。
いわゆる旅行準備ってやつですな。
「でもさ純君、旅行に行く頃にはこの服着れないんじゃね?」
純「ん?」
「だって季節が---」
純「姫はそんなこと気にしなくていいの。」
「え、そ、そう?」
ちなみに旅行予定日は数ヵ月先。
そんな先に着る服を選ぼうと言われても・・・
ま、実際のところ格好なんてどうでもいい。
行ければいいんだ、行ければ。
行ってしまえばこっちのもん。
(ふ、ふふふふ・・・)
京都に着いたら誰か一人を掻っ攫い、姿をくらまし行きたいとこ全部巡ってやる。
そうだな、狙い目は累か純君だ。
いける・・・いけるぞ!!!
純「ねぇ姫、今日は俺が勝手に選ぶからプレゼントさせてね。」
「うん-----って、え!?いやいやそれは困る!ちゃんと自分で買う---」
純「ダメ。じゃないと当日姫だけ置いてけぼりにするよ。」
「------有り難く頂戴いたします。」
純「はい、素直で宜しい。」
当日置いてけぼり?
なななななんて恐ろしいことを言うんだ王子。
想像しただけでも居たたまれない。
最近純君は新たな扉を開放し、何かに覚醒したようである。
何故か逆らえない。
なんの扉だ。
言ってみろ。
頼むから対策を練らせてくれ。
「うわ・・・・・こんなに買っちゃったのか?」
純「少ないくらいじゃない?もっと欲しかったんだけど。」
「いやいや・・・」
持ちきれないぞこんなに・・・
純「持てないから家まで届けてもらおっか。」
「は?」
届けてもらうって。
誰に?
純「ちょっと待っててね。」
「は・・・・・」
純君は最後に寄ったお店の人に何か言伝。
そしてニコニコ顔で戻ってきた。
純「お待たせ。じゃ、ご飯食べに行こ。」
「え・・・・荷物は?」
純「家まで届けてって言ってきた。」
「そんなサービスあったか?」
純「まぁ・・・・いいじゃん。」
なぜか言葉を濁し、サラッと私の手を握って歩き出す純君。
なんだなんだ。
君ってVIPか?
あの店のVIPなのか?
純「姫、何食べたい?」
「うーん。和食・・・・かな。あ、でも純君は?」
純「俺も和食でいい。」
「そうか?」
純「うん。」
和食決定。
ででーん。
自分で効果音をつけてみる。
とにかく---
そんな効果音が似合う店に連れて来られた。
和食屋さんのくせに"ででーん"ってなによ。
『いらっしゃいませ天宮様。』
女将さんらしき人が入り口で深々と頭を下げ、それはそれはご丁寧に挨拶にいらっしゃった。
純「どうも。」
『お久しぶりです。今日は可愛いお嬢様とご一緒なのですね』
純「はい。奥の部屋は空いてますか?」
『ご用意させて頂いております。』
純「ありがとうございます。」
「・・・・・・・・・・・・・。」
なんすかこのやり取りは。
どう反応すればいいんすか。
あ、お嬢さん呼ばわり感謝っす。
奥の部屋へ案内された。
おぉ、『奥の部屋』・・・・すげー。
いやいやいやいや。
ちょっと待てちょっと待て。
「ちょ・・・・ちょっと純君!」
純「ん?」
「ここ、こんなとこでご飯!?居酒屋で良かったんだぞ!?ちょーっとどこじゃないくらい敷居高くないかここ!?」
純「んー。和食っていったらここを思い出した。美味しいよ?」
「そりゃぁ・・・・・・・ありがと・・・・・」
純「うん。座ろ。」
「あぁ。」
純君と買い物に出る日はご飯を食べて帰る。
それが当たり前のように恒例になった。
毎回純君オススメの店に連れて行ってもらうんだが・・・・
これがまた凄いとこばっかり。
ごめんよ純君。
方向音痴ゆえ未だ店を覚えるのに至っていないのだ。
努力はしてる。
ただ私には方向感覚が備わってないのです。
「いつも連れて行ってもらってばっかりでごめんな?今度は私が連れてく。」
純「全然いいよ。姫が覚えられた所があったら教えて。」
「い、痛い。今の一言は痛い。」
純「ごめんごめん。でも連れて行きたい店がたくさんあるから全部行ってからでいいよ。」
「・・・・・有り難い。」
さほど大きくはないがとても日本風の部屋。
ジャパニーズ好きな私にはたまらない。
開かれた障子の向こうにはほんのり照らされた手入れの行き届いた庭が見える。
うん、正に"和"。
京都演習ですな!!!
「この部屋好きだー。たまらん。」
純「へぇ。姫ってこういうのが好きなんだ?」
「なんせ京都が好きなんで。ヨーロピアーンよりジャーパニーズが好みですなー。」
純「そうなんだ。」
「あぁ。歴史大好き。」
純「それって意外だった。」
「そうか?」
語り出したら止まりませんぞ?
聞いてくれるか?
聞いてくれるのか?
うざいと言われても喋るぞ。
純「ところで、日取りの目処がついて良かったねー。お正月過ぎてからだからまだ時間がありすぎだけど。」
あ、聞いてはくれないわけね。
「あー、ほんと待ち遠しい。」
テーブルに手をつき頬杖ついて遠くを見る。
そう、京都行きの予定は正月明け。
超寒くて人も多い時期なのだが、早く行きたくて溜まらずお構いなしに日程を組んだ。
それも仕方ない。
呼んでるんだよ京都が。
ま、全員の日程が合う日がそこしか無かったってのが一番の理由だ。
純「姫・・・・・無理してない?」
え・・・?
急に真剣味を帯びた声につられて純君を見る。
目が合うとなんとも複雑な表情・・・
「何のことだ?」
純「・・・話のこと。」
「あー・・・・・それのことか。」
話のこと。
つまりあいつらに色々と説明するってミッションのことだな。
ライブが終わって家に帰ってから、皆にもう一度"今度話す"って宣言した。
あの時・・・
修羅場だった部屋に純君と累はいなかったからな。
そしたらまぁ---
話すのは京都から帰ってからでいいって言われた。
非常に気を遣われてる。
「全然無理してない。もう決めたことだからな。」
純「それなら・・・・いいけど。」
純君の顔に影が落ちる。
やっぱり心配してくれてんだ。
(なんだかなぁ・・・)
純君は特に人の顔色に敏感だ。
育った環境か?
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