BAR・Black Part2

BAR・Black Part2 / 1 SAKURA∞SAKU first

『私っどうすればいいんですかぁぁ!』
「えっ----えぇぇとぉ・・・」

 

ただ今、何故か隣で女子が泣いております。

 

仁「陽子ちゃん大丈夫?酔っ払っちゃったかな」
「よよ陽子ちゃん!気分悪いならそろそろ帰った方が・・・」
陽「い・や・で・すぅ!!!」

嫌・・・だそうです。

 

現在午後22:45

 

今日は累に教えてもらった店。

下僕、仁が働いているBAR・Blackにお邪魔している。

友人の遼と会う約束をしているのだが、今日は用事があるらしく会合の時間が夜中からなのだ。

で、それまでの時間潰しにここに足を運んだわけですが・・・

 

『有希さぁん!別れるの!?別れないの!?どっちなんですかぁ!!?』

 

こちらも一人で来ているらしい初対面の陽子ちゃん。
どうやら甲斐性無しの彼氏について悩んでいるらしい。

 

陽『何度やっても懲りないんです。彼、パッチリ目で足首の細い人に目が無くて・・・見かけたと思ったらすかさず飛びついちゃって。』
「ふんふん。」
陽『もう今回で13回目の浮気なんです!』
「ふ・・・・・ふーん。」
陽『私なんて目もぱっちりじゃないし足首も細くないし・・・どうすればいいんですかぁぁぁ!?』
「え・・・えぇぇ!?」

 

平日のためかお客さんもそこまで多くない店内。

お願い陽子ちゃん。
もう少し大人しく喋ってくれ。

内容ももはやギャグにしか聞こえない。

 

仁「よよよ陽子ちゃん大丈夫?」
「そそそそうだぞ!ゆっくり息はいて落ち着きなさい!」

 

仁と二人で必死に酔っ払いを介抱する。

それより私も早く酒を摂取しなければいけないんですが。
陽子ちゃんに構ってる場合ではない。

 

陽「嫌ですぅぅぅぅ!どうやったら足首が細くなるか教えてくださいよぉ!私、私っ!骨太なんですー!!」
「そっ---そんなん知るかぁ!!」
仁「うゎゎゎ有希さーん!!」

 

誰かちゃぶ台持って来い!
私に酒を飲む暇を与えてくれェェ!!

明らかに周りからクスクスと笑い声が聞こえてくる。

絶対私も同類と思われてるんだろう。
一体何故だ、何故こんなことになったんだ。

 

陽「っ・・・・ぅー有希さぁん。」
「・・・・・・・・・。」

 

まったくー。

 

「陽子ちゃんさぁ、まだまだ若いんだからよ。そんな変な趣味持ち浮気性の男なんかやめてもっといい男探せばいいじゃん。」
陽「そっそんなぁ!私、彼のこと好きなんですよ!!」
「だったら泣いてないでちゃんと話し合え!それでも止めねぇならお前が公正してやれ!」

 

くだらない話に半切れ。

いい加減絡むのは止めてくれ。
私は酒が飲みたいんですよお嬢さん。

 

仁「おぉぉぉ!」

 

カウンターの中にいる仁がパチパチと手を叩く。

ふざけてんのかお前は。
全然嬉しくない。

パチパチパチパチ---

 

「・・・・・・・・・・。」

 

何故かちらほらと拍手が聞こえるのは気のせいだろうか。

 

「ど、どうもお騒がせしまして。」

 

取り合えず辺りを見回して頭を下げておく。

非常に恥ずかしい。

 

陽「有希さんっ!私、やってみます!!」
「おぉ!がつんとやってやれ!」

 

どうやら頑張ってみるらしい陽子ちゃん。

前向きになることはいいことだと思うぞ。
とりあえず、私にも前向きに酒を煽らせてください。

 

「仁!次!」
仁「はいよ!」

 

やっとボトル2本目。
今日はかなり遅いペースだ。

時間まであと1時間。

急げ。このボトルまでは飲んでしまいたい。

タバコ片手にグラスを傾ける。
気分は早食い大会だな。

 

陽「有希さんって・・・なんでそんなにカッコイイんですか?」
「-------今度はなんすか。」

 

隣から視線を感じるなぁと思っていたら犯人は他でもない陽子ちゃん。

しかもなんだ?
今度は私をカッコいいと?

 

陽「彼女いるんですか?」
「ぶぶっ!」
仁「よよよよ陽子ちゃん!?」

 

ななななんと!
とうとう私を本物の男だと思い始めたか!

 

「あああああのぉ!私はこんな格好してますが中身は普通の女子なんで!至ってノーマルっすよ!なので彼女なんていません!」
仁「そうだよ陽子ちゃん!よく見て!有希さんは女の子だよ!」
陽「もし彼と別れたら付き合ってくれませんか?」
「よよ陽子ちゃーん!頼むから話を聞いてくれよぉ!」

 

周りからは再び笑い声。

もう、マジ勘弁。
誰か助けてくれよー。

 

 

「…お前、さっきから何やってんだ。」
「・・・・へ?」

 

 

急に上から声が降ってきた。

反射で見上げると、そこには…

 

「あ、帝王。」
「・・・てめぇ。」
「スミマセン、真樹様。」

 

 

エロスの帝王、真樹。