「おはようございまーす。」
現在、午後20時。
夜なのになぜおはようなのかって?
それはね・・・
今日は出勤日なのである。
煌びやかなドレスに身を包み、ひと時だけ女らしくなれる夢のようなひと時・・・
(うっふん。今日もなかなかイかしてるぜ、あ・た・し!)
更衣室にあるでっかい鏡の前で女ポーズを決め込む。
「・・・・・・はぁぁぁぁ。」
違うんすようっふんなんてやってる場合じゃないんすよ!
前回ガキの件があった後、あっ子に素直に謝った。
そして退職届を受理していただこうと思ったのですが・・・
あ「あははは!有希ならやると思ったぁ!」
「あ、あっ子さん・・・」
とりあえず、大爆笑されたわけですね。
「あ、あの、それでですね、お店もほとんど行ってないんですが・・・そろそろ引退しようかと・・・」
あ「そっかそっか分かった。でもさ、最後に来週一日だけ代わって欲しいんだけど、ダメ?」
「ら、来週っすか。」
あ「うん。」
「・・・じゃ、じゃあそれが最後ってことで。」
あ「ありがと!宜しくね!」
てなわけで。
やってきました『来週』。
なんだかんだで例の事件があってから1カ月は経ってるからな。
これだけ時間が経ってればあのガキもほとぼりがさめてるかも・・・と思いたい。
(だ、大丈夫だよな・・・?)
ドキドキしながら出勤したわけだが・・・
ま、店の人に何も言われないところをみると、あの後ガキによるクレームがあったわけではなさそうだな。
とりあえず、今日だけ代理を務めれば任務完了ってことだ。
食いしばって頑張ろ。
「よし、行くぜ!ネネちゃん!」
ぶつぶつ言いながら輝く世界へ出陣する。
ス「あ!ネネさん。4番テーブルご指名です。真ん中の方。」
「・・・・・・・・・・・・。」
い、いきなり?
ご指名って・・・
ま、まさかぁ。
いやいや落ち着け。
今日は誰だ。
もしやあのガキじゃないだろうな!?
いや待てそれは有り得ないだろ。
だってあんなに固まってたもんな。
それに私が今日来るなんて情報、あいつら以外誰も知らん。
ていうか来られても困る。
どう接したらいいか分からない。
(どっちにしても行きたくねぇ・・・)
今日は一日ヘルプの鬼になってやる!なんて意気込んでたのに・・・
仕事が始まって早々いきなり挫かれた。
4番テーブル。
永遠に着かなけりゃいいのに。
が、数秒とかからないのが現実。
「失礼しまぁぁ------すぅ・・・・」
今日の担当は・・・
「早かったな。」
綺麗なお顔に不健康そうな顔色。
それがまた知的な雰囲気を醸し出す・・・
最近不機嫌度高めの
俺様孝様。
孝「何してる。早く来いよ。」
「・・・・・はーい。」
相変わらず足が長いっすね。