「知ってると思うが俺は簡単に諦められる人間じゃねぇ。」
「・・・そうですね。」
(・・・そうきたか。)
なんて答えるんだ・・・
と思ったらこいつらしい返事が返ってきた。
「今は返事はいらねぇ。」
「え?」
「言っただろ。俺に惚れさせてやる。」
「!」
なんかデジャビュだ。
前にも聞いたことがある。
「まぁ・・・まさか本気で言うことになるとは思ってなかったけどなぁ。」
「!」
もう一度強く抱きしめられた。
(・・・あったけー)
空気はひんやりしてるのに真樹の体温が暖かい。
それにやっぱりこいつの匂いって落ち着くっていうか
心地いいっていか---
「サンキューな。」
「・・・意味分かんねぇ。」
「分かんなくていいよ。」
まさかまたこんな気持ちになる日がくるなんて
思ってもみなかったんだよ。
「・・・お前のこと、好きだぞ。でも、恋愛するとして・・・応えられねぇんだ。ごめん。」
「・・・あぁ。分かってる。」
「返事しなくていいって言ったけどよ。他に好きな女子が出来たら・・・迷わずそっちに行け。」
「それは有り得ねぇ。」
「・・・・・・・・・・。」
その答えが嬉しかったのか悲しかったのかは分からないけど
無意識に真樹のジャケットの裾を握ってしまった。
「・・・・・・・。」
「・・・・・・・。」
なんか
沈黙が恥ずかしいっす。
「なぁ。」
「な、なんだ?」
ナイスだ帝王。
なんか喋れ。
「このままホテル行かねぇ?」
「・・・・・・・・・。」
・・・。
・・・・・・・・・・。
「・・・謝った方がいいか?」
「いや-----別に構わねぇよ。」
「・・・・・・。」
「--------逝け!!」
「------、----。」
言うまでも無い。
一発食らわせてやった。
「けっ!」
デリカシーの無いヤツめ。
さっきまでのドキドキ返せ!
「待て。」
「待たん。」
ったく・・・
お前からエロスを取ったら抜け殻か?
「謝る。」
「いらん。」
まぁ・・・でも
ちゃんと分かった。
お前が『男』だってこと。
好きになってくれて
マジでサンキュー。
「くっつくな!」
「いいじゃねぇか。」
「よくねぇよ!」
----------ナ・イ・ト・ワ・-・ク Part1(完)