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気に入った—–3 GAME

<晋>

 

今日は久々に一日休みだった。

朝から買い物に出かけ、色々と用事を済ませてさぁ帰ろうと思ったんだが。
今日一日、飯を食ってないことに気付いた。

どこに行くか。

それはすぐに決まった。
しばらく行っていない知り合いの店。

じゃぁ誰と行くか。
それもすぐに決まった。

 

今回のゲームターゲット。

日下 透。

 

第一印象。

男なんじゃねぇの・・・と思った。
そして、面白そうな女だとも思った。
登場の仕方が凄かったってのもあるが少しだけ興味を引かれた。

第二の印象。

つまり顔合わせの時の印象だが、リアルに男かと思った。
そして変なヤツだと思った。

ゲームの期間を一ヶ月にしろとか体の関係は無しにしろとか。
今までのターゲットは誰かに落ちた後もゲームを続行したいと言う奴が多かった。

体の関係に至っては明白。
自ら進んで抱かれに来る女ばかりだった。

なのにこいつはどうだ。

「エッチは無しで!」と講義する姿勢は真剣そのもの。
マジで嫌がってるように見えた。

そして第三の、つまり本日の印象。

 

 

---何かが、おかしい。

 

 

(こいつ、もしかして・・・・)

 

ファミレスにいると言うので迎えに行った。

それはなぜか。
デートするからに決まってるだろう。

 

透「な、なんだ腹が減ってたのかー。だったらあんたも食べてけよ。」

 

逆に誘われてしまった。

別に構わないが初デートだからな。
今日のところは遠慮しておこうと思い透を連れ出した。

知り合いの店。
恐らくデートには打ってつけの女が喜びそうな店だったと思う。

透も喜んでいた。
まるでガキのように。

 

透「あー美味しかった!ありがとな!」
「別に。」

 

飯の後、帰ろうという雰囲気になった。

だが、もう少しこいつと一緒にいたい・・・
いや、探ってみたいという気持ちになった。

ドライブに付き合え、と言ったらいいぞ、と返事が返ってきた。
案外素直な奴だ。

 

ここまでは・・・まぁ良かった。

 

説明出来ない違和感を感じてはいたが。
これって一応デートとして成り立ってるよな、と思えたからだ。

だが

 

透「このっ・・・やるなぁ。じゃぁこれでどうだぁ!!」
『なんのなんのー!こ・れ・で・フィニーーーッシュ!』
透「甘いわぁ!!」
「・・・・・・・・・。」

 

イスに座り込み夢中でボタンを連打する透。
その左側に座る制服男子、同じようにボタンを連打。

俺はというと、透の右側に腰掛けその様子を眺めている。

 

透「ぃ---よっしゃぁぁ!勝利っ!!」
『あぁぁぁー!負けたー!!』
「・・・・・・・・・。」

 

現在、古びたゲーセンに来ている。

それはなぜか。
透のヤローが行ってみようぜ、と誘ってきたからだ。

 

『お兄さん強いっすねー!』
透「まぁな!この機種はかなりやり込んだからよ!」
『へぇぇ!』

 

地元の高校生だろうか。
いつの間にか仲良くなっていた透。

俺らの周りには制服姿の男子高生が4、5人溜まっている。
まるで自分まで学校帰りの気分に陥る。

 

いやいや待て。

 

この状況はなんだ。
これじゃまるで・・・

 

『お兄さん、良くここに来るんすか?』
透「初めて来た。たまたま通りかかったんだよ。」
『もしかして今からナンパっすかぁ?』
透「何言ってんだ。友達と飯食いの帰りだよ。」
「・・・・・・・・・・。」

 

(・・・・・これだ。)

 

飯を食ってる最中から変だと思っていたが、何が変なのか分からなかった。

が、このセリフで確信した。

 

こいつは・・・俺のこと男だと思ってない。

新入りの男友達と認識している。

 

『ととところで、お友達ってビックリするくらいカッコイイっすね!』
『俺もすっげぇ気になってた!どうやったらお友達みたいにカッコ良くなれるんすかね。』
透「ならない方がいいって!こいつはな、正常な心と引き換えにこの姿を手に入れたんだ。」
「なんだと。」
透「あはは!冗談だって!」
「・・・痛ェ。」

 

バシバシ肩を叩いてくる。
非常に痛い。

とにかく、この状況はなんだ。

さっきまでデートしてたんじゃなかったか?
俺の身に一体何が起こっているんだ。

 

透「晋、そろそろ行くか?」
「・・・あぁ。」
『また寄ってくださいよ!』
透「あぁ、またな!」
『お兄さんまたねー!』
透「あ、そういえば。私はお姉さんだからな!」

「「「・・・・・・・・・・・・え。」」」

 

放心する集団に背を向け店を出る。

出来れば俺も放心したい。
違う意味で。

 

透「あー、久々に楽しかった!」
「・・・そうか。」

 

車に乗り込み走らせる。
チラッと隣を見るとニコニコしながら外を見ている。

 

(なんだこいつ・・・)

 

見た目も中身もまるで男。
しかも俺を友達だと思っている。

 

(・・・・・・・・・・・・。)

 

とりあえずこの女に対する印象は。

 

---調子が狂う。