-----要-----
「あーもう、分かんねぇ!!!」
スクリーンの中心を陣取る<エラー>の表示。
一体何度出てくれば気が済むんだお前。
「この、このこの!」
マイPCが機嫌を損ねてかれこれ2時間。
もはやどこをどう操作したらいいかも分からない。
叩けばいいのか?
「累たーん。なんで電話に出ないんだよー。」
ちなみにいつも助けてくれる累と連絡が取れない。
もしかして無視されてるとか?
それともまさか・・・
家で有希とイチャついてたりして。
(・・・けしからん。)
ということで
有希に電話してみた。
有『はいはーい。どしたー?』
電話越しに間抜けた声が聞こえた。
「あ、有希ちゃん?累って家にいない?」
有『累?あいつは明日まで研究室のお泊りでしょうが。』
うわ、そんなこと言ってたっけ!
累たーん、肝心な時に使えねぇなぁ。
「そうだったっけ・・・うーん、参ったな。」
有『どしたの。』
「PCが壊れちゃって。PCのことはいつも累に頼んでたからさ。」
有『あららそりゃ大変だ。急ぎなのか?』
「特別急用じゃないけど明日も使えないんじゃねぇ。」
参ったなぁ。
仕事になんねぇよ。
「いいや。誰かに当たってみる。」
誰か詳しい奴いなかったっけ。
色んな奴の顔を思い出し、消してはまた思い出してみる。
有『・・・有希様が直してやろうか?』
「へ?」
(直すって・・・)
そ、そういえば・・・
有希ってPCで仕事してるじゃないの!
もしかしてじゃなくても累よりやり手!
わぉ!俺ってついてるー!
有『その代わり今日の晩飯奢れ。』
ふふん、と勝ち誇ったような声色。
なにそれ意味分かんない。
ていうか晩飯おごれって・・・
安い報酬だなぁ。
「・・・そんなんでいいの。修理の見返りって。」
有『も、もっといいモンくれんの?』
明らかに声のトーンが変わった。
電話の向こうで身を乗り出してるのが想像できる。
全く、反応がお子ちゃまなんだよ。
「うーん。"俺"とか?」
有『・・・じゃぁな。一人で踏ん張れよ。』
「ごごごめん!嘘!嘘だって!!晩飯どこでも連れて行くから!」
有『ふむ。』
(危ない危ない・・・)
なんだかんだ言って結局来てくれるらしい。
とにかく助かった。
週末に仕事に追われるのはイヤだし。
有『じゃあ後でな。』
「ああ、気をつけて来いよ。」
有『了解。』
絶望的な方向音痴と聞いていたので道のりを詳しくメモさせた。
迎えに行ってやりたいが一応勤務中なんでね。
自力でどうにかしてくれ。
(あぁ疲れたぁ・・・)
PCと格闘すると時間がいくらあっても足りない。
目も疲れるし頭も使うし。
くそ、機械のくせに・・・
(休憩しよっと・・・)
あいつが来るまで少し時間がある。
コーヒーを用意し、タバコに火をつけた。
ゆらゆら立ち上る紫煙を見つめる。
あぁ
幸せ
コーヒーとタバコってなんでこんなに相性がいいんだろ。
やっぱあれか?
お前ら前世で兄弟だったんだろ?
---コンコン
幸せの真っ最中、部屋のドアが叩かれた。
(・・・・ん?)
有希じゃねぇよな。
どう考えても早すぎる。
じゃあ誰だ。
俺の安らぎを邪魔するのは。
「どうぞ。」
返事をして2、3秒後
まるで焦らすようにゆっくりドアが開いた。
そしてそこには
女が一人立っていた。