「MIKAMIミュージック?今日か?分かった、4時までには行く。」
久々にゆっくり仕事が出来ると思ったらこれだ。
急に行き先が増えた。
(MIKAMIミュージックか。面倒だ。)
目的地を思い浮かべてため息を一つ。
仕事柄、芸能人や歌手と会う機会が多い。
累や純から良く羨まれるが、煌びやかな世界にはあまり興味がない。
(4時・・・か。そろそろ出ねぇとな。)
とにかく、仕事は仕事だ。
他の用事を早く終わらせなきゃならない。
ジャケットを羽織って玄関へ向かった。
(・・・・?)
玄関に着くと・・・なんだこれは。
暗い影を背負った有希の背中を発見。
なんだこいつ。
なんでこんなに元気がねぇんだ。
「なんだ。お前も出るのか?」
有「あ、真樹・・・」
最近こいつの警戒網は隙だらけだ。
すぐ後ろに立ってるってのに警戒どころか驚く様子も見せない。
そんなことじゃ簡単に喰われるぞ。
有「まぁなー。本とは休みだったんだけどよぉ。」
「なんだ、面倒事か。」
有「仕事じゃないんだけどさ。メンタル面でグサグサくる面倒事でさ。」
面倒事?
しかもプライベートでメンタルグサグサ…
おいおいそれって・・・
夢に関係してることじゃねぇだろうな。
「・・・・大丈夫か?」
有「え?あ、あぁ大丈夫だ!なんだ?心配してくれてんのかぁ?」
「・・・・・まぁ。」
そりゃお前・・・
初めは良く飲む奴だなぁくらいにしか思ってなかったが、ここに来て3ヶ月。
ほぼ毎日あんな飲み方してるのを見ていたら心配にもなる。
そうまでして見たくないってことはこいつにとってよっぽど嫌な夢なんだろう。
それに時々・・・特に飲んでる最中に多いが
こいつは、めちゃくちゃ悲しそうな顔をする。
有「サンキューな。でも大丈夫だ。お前が心配してくれて元気も出たし。」
「意味分かんねぇ。」
有「分からなくていいよ。」
(なんだそれは。)
脳内で何が起こったのかコロッと表情が切り替わった。
そしてニコニコしながら玄関を出ようとする。
「どこまでだ?」
有「ん?目的地か?」
「あぁ。」
有「駅の近く。」
「送ってく。」
有「は?」
「今から行くところの近くだ。」
有「マジ?やったー!」
今日のこいつはなんとなくほっとけねぇ。
一人にしておきたくないというか・・・
都合よく場所も近ぇし、仕方なく送ってやろうかと思う。
有「真樹様ファインプレーっす!」
・・・なぜか敬礼してきやがった。
「・・・・相変わらずアホだな。」
有「・・・・とりあえず謝れよ。」
(ったく・・・)
基本、こいつの頭の中はさっぱり読めねぇ。
どうでもいいことはすぐに顔に出るくせに肝心な時にははっきり表に出さない。
「何やってる、行くぞ。」
有「う、うーっす。」
焦って玄関から飛び出す有希。
チラッと顔を見るとさっきの暗い影はどこにも見えない。
至っていつも通りのこいつだ。
(チッ・・・)
一体なんだったんださっきのアレは。
非常に不本意だが
なぜか気になってしまう。