--真樹--
有「さぁ今日もこの時間がやってきました!それぞれ何かに・・・かんぱーい!」
千「なに言ってんだお前。」
夕飯を終え、いつも通り晩酌が始まった。
今日は有希の妹もどき、千秋も一緒だ。
それにしても世の中には凄い女がいたもんだ。
なぜなら千秋のヤツ、風呂に入っても軽装に着替えてもやはり男にしか見えない。
有希も最強の部類だと思っていたが上には上がいる。
しかも血縁。
これ以上こいつの家族に会いたくない。
有「お前と飲むのなんていつぶりだ?」
千「4年は会ってないからな。4年ぶり?」
有「4年かぁ。もうそんなに経つのかぁ。」
千「そうだ。」
4年も会わないって・・・・
一体こいつの家族はどうなってんだ。
純「随分会ってなかったんだね。県外に住んでるの?」
千「いや、隣町。」
純「え、隣町?」
千「気付いたら4年経ってた。」
間違いない。
こいつら家族揃って適当な連中だ。
遼「俺の実家の近くだもんねー。」
千「あぁ。この前職場の近くに引っ越したけどな。」
そうか。
遼と有希は昔からの知り合いだったな。
遼「千秋はまだ仕事続けてるのか?」
千「あぁ、もう6年目。」
遼「頑張ってんだなぁ。」
累「何の仕事?」
千「保育士。」
「「「--------え。」」」
千「・・・・・・・なんだよ。」
···幻聴か?
なんか妙な言葉が聞こえたぞ。
有「お前はちびっ子が好きだもんなぁ。ちなみに今回はまとまった休みが取れたのか?」
千「久々に1週間休み。」
待て待て待て待て話を進めるな。
誰も着いて行ってねぇぞ。
有「じゃぁゆっくりできるな。」
千「・・・あぁ。」
(・・・・・・・・。)
どうすりゃいいんだよこの違和感。
どこに気持ちを落ち着かせればいいのか分からない。
だって保育士ってお前・・・
こんな喋らない先生様がいていいものなのか?
母親から絶大なる人気を集めているのは間違いないと思うが・・・
千「お前は?相変わらずキーボードと戦ってんの?」
有「毎日死闘よ。」
千「マジで?今度教えて。」
有「いいぞ。」
それにしてもなぜこんな淡々と会話が進むんだ。
一体どんな育ち方をしたのか···
こいつらのガキ時代を想像すると寒気がする。
(調子狂う・・・)
それにしても有希の口の悪さは何らかの突然変異かと思っていたが、どうやら元々これらしい。
だがこれではっきりした。
有希はやはり女の面を被った男だ。
千「・・・・・それより有希。」
---呼び捨て。
4つ離れた妹って言ってなかったか。
いいのか、呼び捨て。
千「お前、随分酒を煽るようになったんだな。ペースも速すぎだ。もっとゆっくり飲めよ。」
有「・・・・・・・・・・・。」
(---------?)
こいつは・・・
『夢』のことを知らないのか?
有「・・・久々にお前に会ったからよ。嬉しいと飲んじまうじゃんか!気にすんな!」
千「それなら、まぁ・・・でもあんまり飲むな。」
有「・・・分かった。」
怪訝そうな表情はそのままに有希のグラスに水を足す千秋。
俺が同じことをしたら確実に殴られる。
だが有希は参ったなぁなんて言いながらそれを受け入れている。
有「サンキュ、千秋。」
千「・・・・・・・。」
3年前から見るようになったという夢···
そういや最後に飲んだのが4年前だって言ってたからな。
千秋のヤツは有希に何があったか知らないんだろう。
---妹にも言えないことなのか
恐らく
遼以外のやつらは同じ事を考えていると思う。