姉ちゃん

姉ちゃん—2 SAKURA∞SAKU first

有「-----っ!」
「・・・・・。」

 

 

(柔らかい・・・)

 

 

唇と唇を触れさせていたかったから

しばらく、重ねるだけのキスをした。

 

有「--------。」

 

少しだけ離れて目を開ける。

有希はまぁ、放心状態って感じ。
予想はしてたけどね。

 

有「る・・・累たん・・・ど、どうしたんだよ・・・」
「・・・やめろよ。」
有「え?」
「今は---それで呼ぶな。」

 

今だけでいいから

まるで子供と接するような、そんな呼び方しないで。

 

分かってよ俺の気持ち。

 

俺は---

 

弟なんかじゃない。

 

 

 

 

「----好きだ。」

有「・・・え?」

 

 

「俺、有希が好きだ。」

有「ぇ----」

 

 

 

よっぽどビックリしたんだろう。
目を丸くして放心してしまった有希。

 

でも、そんな可愛い様子を観察してる余裕は無い。

 

ポカンと開いた唇を再び奪って

 

今度は深く繋がった。

 

 

有「----っ・・・ん・・!」

 

(やば・・・・すっげぇ気持ちいい・・・・)

 

逃げる舌を執拗に絡め取る。

いつもみたいにかわされるのはごめんだ。
絶対に逃がさない。

 

有「・・・んっ・・・る・・ぃ!」

 

やっぱり有希も女の子だ。

押さえた手を振り解こうとしてるけど全然抵抗になってない。

それに逃げようとするその仕草って

すごく煽られる・・・

 

有「・・・ぁ・・ぅ・・・・んッ・・・」

 

(可愛い声・・・・・)

 

酸素が足りなくなったのか、有希の体から力が抜けていく。

からかう時は一人前なのに・・・
こういうことには本当に慣れてないんだな。

 

でも、確かに有希は男の匂いがしない。

だからこそ自分の匂いでいっぱいにしたいって躍起になるのかもしれない。

自分のものに
自分だけのものにしたいって…

 

有「ん・・・ぁ・・・はぁっ!」

 

名残惜しかったけど、呼吸がやばそうだったからゆっくり唇を解放した。

 

有「はぁっはぁっ!ちょっ---待っ---!」

 

どうやら相当やばかったらしい。
酸素不足でうまく喋れないみたいだ。

 

有「はぁっ・・はぁっ・・・」

 

潤んだ目で恨めしそうに俺を睨みつける有希。
そして勢い良く顔を逸らされた。

それって、もうキスされないようにってこと?

でも--

綺麗な首筋が、見事に無防備だよ。

 

(いい香り・・・)

 

首筋に顔を埋めると甘いシャンプーの香り。
誘われるまま耳元にキスすると、有希の体が少しだけ反応した。

 

有「るる、累っ!ダっダメですよ!」

「・・・・・。」

 

(可愛い・・・すっげー焦ってる。)

 

それに分かってる。

これ以上はダメだ。
さすがに我慢できなくなる。

 

(はぁ・・・)

 

本当はもっと求めたい。

でも・・・
このまま続けたら絶対後悔する。

 

(頑張れ、俺。)

 

せめてもの抵抗。

洋服で隠れそうな胸元に

 

有「-----!」

 

キスマークをつけた。

 

有「る・・・累?」

「・・・・・・・。」

 

少し体を起こして有希を見下ろす。
そして動揺に揺れる瞳を真っ直ぐ見つめた。

 

 

「有希。」
有「と、とりあえず離れよっか!」
「俺は男だよ。」
有「え?」

「俺は男だ。弟でもない。だから・・・・・ガキ扱いするな。」

有「・・・・累。」

 

見上げてくる瞳はキラキラしてて
俺が映ってるのが分かる。

 

(ちゃんと・・・)

 

ちゃんと俺を見て。

 

「さっきの、嘘じゃないからな。」
有「へ・・・?」
「有希のことが好きだから。」
有「え・・・あ、あの・・・」

「有希は・・・俺のモノにする。」

有「えっ!?」

 

これでもかと目を丸くして見つめてくる有希。

 

(コラコラちょっと待って・・・)

 

そういう可愛い反応はダメだって。
せっかく離れたのにまたキスしたくなる--

 

「・・・・・。」
有「・・・・・。」
「・・・・・。」
有「えと・・あ、あの---累?」
「・・・有希って、今は恋愛しないんでしょ?」
有「え?・・・あ、あぁ。」

 

(ヤバイ・・・話題を変えよう。)

 

せっかく気持ちを伝えたんだ。
暴走しないうちにちゃんと言っておくことがあるだろ。

有希が恋愛しないっていうのは真樹情報。
あいつは何言ってるのか分かんねぇなんて言ってたけど・・・

 

「それって"夢"が関わってるんだろ?」
有「---!」
「そのせいで恋愛したくないんだろ?」
有「そ、それは・・・」

 

いい訳を探すように目を泳がせる有希。

でも、これだけ飲みに付き合ってたら分かるよ。
よっぽど嫌なことがあったんだろうし、恋愛したくないって気持ちも本当なんだと思う。

 

でも俺はやっぱり

 

有希が好きだから

 

「そんなこと言ってられないくらい…俺のこと好きにさせてあげるから。」
有「え・・・?」

「だから、覚悟しときなよ?」

有「-----!」

 

零れ落ちそうなくらい目を丸くする有希。

本当は唇を重ねたかったけど・・・
そんなことしたら暴走しそうな気がしたから

 

前髪を梳いて

 

額にキスをした。

 

有「・・・・お前は・・・バカだ。」
「ん?」
有「・・・物好きにも程がある。」
「有希を好きになる奴は物好きなの?」
有「そうだろ。」
「じゃあ物好きで構わないよ。」
有「------。」

 

誰になんと言われても

この気持ちに、嘘はない。

 

 

有「はぁ…」

「------。」

有「・・・ありがとな。」

「---------っ!」

 

 

この体勢のまま話を進めたのを

今になって後悔した。

 

 

「・・・お礼はいらない。」

 

 

恥ずかしそうに微笑みながら
あまりにも綺麗にあまりにも可愛く笑うから

軽く、理性が飛びそうになった。

 

 

その後、部屋に帰れと勧める有希を押し切って無理矢理仕事を手伝った。

時々近づくと有り得ないくらいビックリしてくれるもんだから、その度にニヤけてやった。

有希は拗ねてたけど。

 

 

弟を卒業できたのか
男として意識してもらえたのか

それは良く分からない

 

でもとにかく・・・

 

覚悟しててよね。

 

絶対、諦めないから。

 

有「やっと終わったー!!」
「お疲れ様!」
有「あー疲れた。すっげぇ眠い。」
「一緒に眠ってやろうか?」
有「なっ!バ、バカか!さっさと部屋に帰れ!」
「えー、ヤダ。」

 

 

 

そういえば…
今日はキスしても殴られなかったけど

 

 

 

なんで・・・?

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・姉ちゃん(完)