「だーかーらぁ。やんないって言ってるだろ!」
累「お願い!!有希しか頼める奴がいないんだ!」
「・・・・・。」
桜館にやってきて、軽く1ヶ月が過ぎ去った。
そんなある日の早朝…
我が心の弟、累が私の部屋にやって来た。
「3on3なんて・・・私を何歳だと思ってんだよ累たん。スポーツなんて何年って単位でやってないんだけど・・・走り出した瞬間アキレス腱がプッチーンてブチ切れたらどうすんの。」
累「大丈夫だよ!有希は参加するだけでいいから。ぼーっとしてればいいよ。」
「ぼーっとしてろって?皆がわーきゃー言ってる中心で突っ立ってろと?それに仕事終わらせないといけないの。爆発寸前なの。」
累「帰ったら手伝うから!」
何のイベントかは知らないが、本日、累は3on3に参加しないといけないらしい。
男女混合チームじゃないと資格を得られないようで元々女子が一人チームに入っていたそうだが・・・
その女子、昨晩原付で派手に転んで出場出来なくなったらしい。
ドジな奴め。
怪我は大してひどくなかったらしいので一安心だが私にとばっちりを飛ばすんじゃねぇよ。
「うーん。」
累「ダメか・・・?」
「・・・・・。」
こらこら累たんその顔はやめろ。
君のそれは危険すぎる。
断れなくなっちゃう・・・
累「有希・・・」
「あーもう!仕方ねぇなぁ!!!んな顔されたら断れねぇじゃんか!!」
累「え、ほ、ほんと?やったぁ!!有希大好きー!」
「こ、こらこら!」
子供のようにじゃれてくる累。
抱きつくのはやめなさい。
(く、くっそぉ・・・)
累たんのヤロー可愛い過ぎるんだよ。
どうしても「ねーちゃんに任せとけ!」って気分になってしまう。
今後のために何か策を練っておかねば・・・
累「じゃぁ行こう!」
「え、今から?」
累「もちろん!ほら、純も用意して!」
「あ、純君も被害者?」
純「あれ、姫を説得できたの?さすが累たん。俺は初めからメンバーだよ、姫。」
眠そうに2階から下りてくる純君。
どうやら彼は初めから巻き込まれていたらしい。
累「ふざけてないで早くしろ。」
純「はいはい。」
累「ほら有希も!」
「へいへい。」
純君も出るなら少しは心強い。
さすがに知らない奴らの中にポツンと置かれるのはイヤだからな。
自分、結構な小心者なのである。
「それにしても・・・本格的な試合じゃないんだろ?なんで無理して出る必要があんのよ。」
累「主催者がお世話になってる先輩なんだよ。」
「なるほど。」
そういえば累たんは義理堅い子だったな。
偉い偉い。
姉ちゃんは嬉しいぞ。
そうとなったら私もはりきっちゃう。
(こんなもんか?)
動けそうな格好にささっと着替えて部屋を出た。
邪魔になるので髪もアップ。
こんな格好久々だ。
「よ、お待たせ。」
階段下には既に純君と累が用意を済ませて待っていた。
純・累「・・・・・・。」
「え、なに。この格好じゃやばいか?」
なぜか押し黙る二人。
ちなみに桜館の住人共は時々このように固まる。
何度も言うが非常に失礼だぞ。
純「う、ううん。いつもの姫じゃなかったから・・・少し驚いた。」
累「う、うん。すごく可愛いよ。」
「そうか?今ならダンクかませそう。」
いざ--気合半分で出陣っす。