同類

同類—3 SAKURA∞SAKU first

「心配じゃ・・・ないんすか?」

 

少し、付け入った質問をしてもいいっすか。

 

遼「心配?」
「有希さん、桜館に住んでるんですよね。あの家、イケメンで飽和してるから・・・」

 

俺だったらすっげぇ心配。
いてもたってもいられない。

 

遼「心配だよー。でも有希の奴、変人だからね。見かけで好きになることがないから。」
「-----確かに。」

 

さすが長い付き合い。
分かってらっしゃる。

 

遼「でもねぇ。桜館の奴らと知り合いになったら余計心配になった。」
「え?」
遼「あいつらいい奴らばっかじゃん。見かけもも中身もフィーバーされたらどうしたらいいか分かんないよな。」
「・・・・・・・・・・・。」

 

そんなことないっすよ遼さん・・・

あんたもめちゃくちゃカッコいいっす。

普通、ライバルに対してそんな風に言えないよな…

 

「…そんなことないっすよ。」

 

こんなことしか言えない俺。
なんだか虚しい。

 

遼「あれれ、なんでそんな顔するかな。もしかして仁君・・・有希のこと好きだったりする?」
「えっ!?」

 

ニコッと笑いながら問いかけてくる遼さん。
そして何故か動揺する俺。

 

「す、好きだなって思うこともあったんすけど。どっちかというと・・・あの人は心の中の姉ちゃんなんです。」

 

素直に口から出てきた。

多分・・・・・・本音だ。

 

遼「そっか。でもあいつ、兄ちゃんの方が似合うんじゃねぇ?」

 

クスクス笑われた。
まぁ、言ってることは分かるんすけど…

 

「有希さんって確かにカッコいいんすけど・・・何故か姉ちゃんって方がしっくりくるっていうか・・・」
遼「…そっか。」

 

相変わらず優しく笑う遼さん。
氷をカラリと鳴らして酒を煽る。

 

(・・・カ、カッコいい。)

 

やばいぞ。

最近の俺の心臓、やたら男子にときめいてしまうんですけど・・・

いやいや違うよ。
至ってノーマルです。

 

遼「仁君にそう思われて有希も嬉しいと思うよ。」
「そ、そうっすか?」
遼「うん。あいつが羨ましい。」

 

遼さん。

俺。

俺っ---

 

「俺、遼さんの弟にもなりたいっす!!」
遼「え…えぇ!マジ!?やったー!リアルに嬉しいんだけど!」
「へ、へへっ!」
遼「じゃあ『仁』って呼んでいい!?」
「何とでも呼んでください!」
遼「よーし!仁!兄弟の杯だ!飲め!」
「うっす!!」

 

弟にしてもらった!

 

「あ、あの・・・」
遼「ん?」

 

今まで聞きたいと思ってて
でも聞いたらいけないと我慢してきたことがある。

 

 

「有希さん・・・なんで毎日酒を煽るんすか?」

遼「------。」

 

 

あ・・・

 

これは…

 

失敗した…?

 

「あ、あの、すみません。付け入ったこと聞いちゃって--」
遼「・・・そうしないと眠れないんだよ。」
「え?」
遼「簡単に言うとね・・・あいつは毎日やけ酒してんの。」
「・・・・・。」
遼「でも理由は聞かないでやって欲しいな。言いたい時は自分から言うと思うから。」

 

桜館の人達が理由を聞こうとして、誰かに止められるのを時々見かける。

それはきっとあの人たちも理由を知らなくて
そして知りたいからなんだろう。

 

(そうか・・・)

 

遼さんは知ってるんだ。

 

いろんな意味で

 

遼さんは有希さんの特別な人なんだ。

 

「・・・分かりました。」

 

色々分からないことだらけだけど・・・
姉ちゃんには深入りしちゃいけない何かがある。

それは分かった。

 

遼「ありがとう。」

 

フッと微笑む遼さん。

その笑顔はやっぱりカッコ良かったけど

なんとなく寂しそうに見えた。

 

『こんばんはー。』
「いらっしゃいませ----あ!」
遼「あれ、やっぱり来た。」

 

いらっしゃいませ、皆さん。

 

純「あれ、遼じゃん。」
累「ほんとだ!」

 

今日のメンバーは累と純。

 

純「あれ、姫は?」
遼「おトイレさんに行ってる。もうすぐ帰って---ほらきた。」

 

あ、女の子に声かけられてる。

 

有「あれ、やっぱり来たのか?今日は別に良かったのに。」
累「ダメだよ一人飲みは。」
有「遼と一緒なんだからいいだろ?」

 

そういえばこの2人も本当に女遊びしなくなったよなぁ。
もう随分女子を連れてるのを見てない。

 

累「うーん、まぁ許す。」
遼「なんだよ累。いい加減俺の弟になれよ。」
累「えーヤダ。」

 

それにしても兄ちゃん。

桜館住人達と打ち解けるなんて・・・
それだけでも尊敬に値するっす。

色んな意味ですごすぎ。

 

遼「くそー。でも仁は俺と兄弟になったんだぞ。」
有「は・・・はぁ!?」
遼「そうだよなぁ?仁。」
「は、はい!」

 

そ、そうなんす!!

 

有「マジかよー!!ちょっと待て。仁とお前が兄弟って事は・・・遼も私の下僕ってことに--」
遼「バカ言うな。そう簡単に俺を落とせると思うなよ。」
累「えー、結構簡単そう。」
純「うん、俺もそう思う。」
遼「-----。」
有「ぷぷ!ドンマイ!」

 

さっきと一変。
ワイワイ騒ぐ姉ちゃんと兄ちゃん達。

 

その顔はとっても楽しそうで・・・

 

この人達にはいつも笑顔でいて欲しいと思った。

 

 

 

 

・・・・・・・・・・同類(完)