Felt happiness

Felt happiness 03 SAKURA∞SAKU second







『ちょっと散歩しようぜー』






実家に帰ってきたのに当の住人共は揃って外出。

イベント終了。
何もすることがなくなってしまった。


どうしようっかな。
さっさと帰るか。

と思っていたら先に口を開いたのは有希。





意外だった。




ここら辺はあの頃の軌跡が多すぎて・・・
あんまり思い出したくないんじゃないかと思ってた。






有「おぉー!この店、まだあったのか。」






懐かしそうな顔をしながら隣を歩く有希。

無理をしているようには見えないが、本当のところは分からない。






有「うわー、この公園も懐かしい。」






少し歩いた先には中途半端な広さの公園。

確かに、あの時はここが溜まり場だった。

授業を抜け出した時。

そして抜け出した時。
更に抜け出した時。

学校休んだ時も放課後は集合。

あれ、授業受けてなくね?




とにかく、バカみたいにここに集まってた。






有「ブランコじゃー!」






嬉しいのか遊具へ飛びつく有希。

俺はでっかい木の下のにあるベンチに座った。





有「ふんふんふーん!」





気分がいいんだろうか。

鼻歌を歌いながらぐんぐん空に近づいていく。

有希さん。

忘れてると思いますが今日の君はミニスカです。
パンツ見えそうなんすけど。





あの時はまさか…

こうやって2人でここに来るなんて想像すら出来なかった。



有希の隣には常に新名がいた。

好きだったけど伝えることも無かったし、伝えようとも思わなかった。

周りの奴らも俺も、あいつら結婚すんだろうなぁって疑ってなかった。

結婚式呼ばれてもちゃんと祝福しようって決意したこともあったな。



有希が幸せならそれで良い。

心からそう思ってたと思う。
それが俺にとっての幸せでもあるって・・・








有「おい。」

「-----ぉおっ!?」






急に現れた有希のドアップ。

変な声が出た。
かなりビビッた。






有「なんでそんなに驚くんだよ。」






ケラケラ笑いながら隣に座ってきた。

ブランコはまだ小さく揺れてる。

真正面から近づいて来たはずなのに全然気付かなかった。






「べ、別に。」

有「感傷に浸ってたのか??」






ニヤニヤ顔で覗き込んでくるもんだから髪をくしゃくしゃにしてやった。






有「や、止めんかぁ!」

「変な顔するからだろ。」






甘酸っぱい思い出と現在の想いがごちゃ混ぜになってる。

本人を目の前に思い出すと・・・

なんとも恥ずかしい。






「寒くないか?」






このままじゃ恥ずかしさで顔に熱が集まる一方だ。

とりあえず別の話をしよう。







有「寒いぞ。冬だからな。」

「・・・・そりゃそうだ。」







寒いらしい。

そういえば上着を着てないよこの子は。

ただでさえ露出の多い格好してんのに。

外に出るのに上着無しって。
鈍いにも程があるんじゃないっすか。






「着てろよ。」

有「は?いやいいって!そういうつもりで言ったんじゃ---」

「風邪引いたら困る。」

有「風邪引かねぇから!」






なぜか焦り出す有希。

俺だって言われたから貸してやろうなんて思ってねぇよ。






「いいから。着てろ。」






腕を引いて・・・上着で包んだ。

近くなった有希の顔が、少しだけ紅潮する。






有「あ・・・・ありがと。」







なにそれ。







可愛すぎる。