変人だって。医者だって。

変人だって。医者だって。11 SAKURA∞SAKU second





「嫌じゃなかったんだな?」

有「へ?」






有希の首元に顔を埋めながら確認する。

あー、いい匂いがする。

情けねぇことにさっきは気付く余裕すらなかった。






「俺に抱かれるのは、嫌じゃないんだな?」

有「え!?そそそれはちょっとぶっ飛びすぎな質問じゃないっすか!?」

「その動揺は肯定していると見なす。」

有「えぇぇぇ!?」






まだ絡まっている指に力を入れる。


そういえばさっきは握り返してきたな。

やばい。

思い出したら幸せな気分になる。






「どうなんだよ。」

有「どど、どうって-----」

「言えよ。有希。」

有「そ、そんなの分かんねぇよ!」

「・・・・・なんだそれは。」






ずいぶんと中途半端な答えだな。

だがこれだけははっきり聞いておきたい。






「じゃぁ、さっきのは嫌だったか?」

有「----!」

「・・・有希。」

有「--------。」






しーん。






これは、黙秘を貫くつもりか?






「言わねぇなら・・・」

有「------っ!」






(これだけは絶対引かねぇ・・・)






逸らされていた顔を強引に軌道修正。

そして視線を捕らえて

ゆっくりと顔を近づけていく。






有「ま、待て!あのっ-----」

「・・・・・・。」

有「だからっ---え、と------」

「・・・・・・・・・・・・。」

有「------っ、っ、いぃっ-----嫌じゃなかった!!」

「・・・・・・。」

有「・・・・・・・・。」


「・・・相変わらず声でけぇな。」

有「-------ぅ・・・うるせぇ!!」








-----救われた。








さっき味わった衝撃が

じわじわと溶けていくような気がする。






(良かった・・・・・・)






顔を真っ赤に染める有希。

居たたまれなくなったのか、音を立てるように目が泳ぎだした。

そしてなぜか眉間に力を入れ

たまに様子を窺うようにチラチラと視線を寄越してくる・・・






(・・・・・・・・・・おいおい。)






おいコラやめろ。

そんな可愛い顔して

お前・・・・・






「・・・・・・じゃあ続き。」

有「は!?なななんでだよっ!!!」

「抱きたい。」

有「ななななにっ!!!?ダメだ!」

「嫌じゃねぇんだろ?」

有「え!そそそれはお前----!」






さっきの続きから続行させろ。

すっげー幸せな気分だったんだ。






有「もも、もう何もしねぇって言ったじゃねーか!」

「あー・・・・・」






言ったな。

そういえば。






「まぁ・・・さっきはな。」

有「な------お、お前・・・・っ!真樹と同じこと言いやがるんだな!くそ-----やはり同類!」






真樹?






「おいおい。こんな時にヤローの名前出すんじゃねぇ」

有「こんな時って・・・・とにかく!離れろ!」

「却下。」

有「ちょっ------孝!!」







全く







こいつには振り回されてばかりだ。







だいたい、俺の言葉が嬉しくて泣くなんて

嬉しいことしてくれるじゃねぇか。







「仕方ねぇなー・・・・・」








今日のところは大人しく引いておいてやるか。

風邪も引いてることだし----

あれ・・・・熱、下がってねぇか?






有「やや、やっと観念したか!」

「観念ってなんだよ。」






言いたいことは多々あるが

とりあえず、体を起こした。






「・・・・・・・・・。」

有「---?おい、さっさと退けよ。」

「・・・・・・・・・。」

有「おい!」

「お前・・・」

有「あ?」

「・・・・・・エロい。」

有「え?-------え、うぅぅわぁぁぁ!?ちょっとぉぉぉ!!」






中途半端に肌蹴てる胸元。

白い肌の至る所に散らばる俺の"シルシ"。

これはもう------

誘ってるとしか思えない。






有「ちょちょちょちょ待てェェェぃ!!!」






高速スピードで服を掴み、肌を隠そうとする。






「ふざけんな。」






なんてことすんだお前は。

とりあえず、邪魔な手はベッドに押し付けておく。






有「こらこらこらこら放せぇぇ!!」

「そんなの見せつけやがって・・・お前、挑発してんのか?」

有「お前がやっちゃったんだろうがぁ!」





あぁそうか。

やったのは俺だ。






「やっぱり続き・・・」

有「え!や、やややめろぉぉぉぉ!!」






無茶言うな。

こんな姿見せられて

我慢しろって方がどうかしてる。






有「待て待て待て待て!3秒待ってくれ!!」

「なんで3秒----」




---PiPiPiPi






有「・・・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・。」






電話。

有希のか。

誰だこんな時に。






有「・・・・・・・出ていいっすか。」

「無視しろ。」

有「あいつらの誰かだと思うんですが!出なかったら絶対すっ飛んで帰って来ちゃいますぜ!!」

「・・・・・・・そうだろうな。」






あいつらならやりかねない。

いや、俺の心配じゃなく有希の身を案じて間違いなく帰って来る。

ま、それなりのことは既にやっちまったけどな。






有「!」






仕方なく・・・

そう、仕方なくだ。






解放してやった。